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現代俳句 作品集 6 〜風のおと〜


「 風のおと 」
~現代俳句集〜

釈迦の弟子るいるいとして鐘の秋

旅どこにたどりついても露けさよ

たびびともすすきの穂わた草千里

みずからをなつかしみつつ今年酒

松山よどの句碑からもあきのこえ

赤とんぼ時代とどまることしらず

菊の香よふる里よりもなつかしく

我のひとよ和のひとびとよ月見酒

菊いちりん今へとつづく香りこそ

京都タワー月日ぐるりと秋の暮れ

ゆうぐれてどの道からも秋のこえ


都市たかく灯ともってこそ流星群

しずかさにとぶ秋蝶のゆうぐれよ

さしてより秋蝶の野よ日のひかり

温め酒だまっていてもにぎやかよ

丘のそらはからんころんと鐘の秋

奏上のこえに夜明けてあきまつり

町じゅうが喜怒哀楽よあきまつり

石手寺の寂びきわまって秋のこえ

身にしみて茜のそらよ飛鳥乃温泉

黙として自分のなかのあきのこえ

このいえのいくとしつきが柿の秋


屋根屋根に日ざしがしみて峡の秋

城あとよ風にただようあかとんぼ

秋惜しむこつぜんと街ゆうばえて

ゆく船の千々のあかりよ明けの月

明けぞらよ鈴虫がふるすずのおと

みごとな日みごとな雲よすすき原

飛鳥寺そのむかしからあきのくれ

中華街あかあかとしてあきの灯よ

流星よ嶺々のうえまた屋根のうえ

小豆島オリーブの実に晴ればれと

海ばらのここにも島よ秋刀魚焼く


城映えて山あかあかとあきのくれ

スカイツリー真ん中に置き流れ星

カラスいま街燈の上ハロウィンか

マンションよ夜風のおとに残る虫

曼珠沙華朝日にいろをとりもどす

散りやまず銀杏大樹のかげのうえ

屋じょうよ秋かぜという街のおと

大どおりいっぽいっぽの果てよ月

虫鳴いて生死の果てのかぜのおと

身にしみて時計がきざむ時のおと

瀬戸内海千々にきらめきすすき原

10月13日〜11月3日
発表日順

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