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現代語俳句への旅 52 終 〜空港〜
「 空港 」
~現代俳句集〜
青葉木菟消えて神社のちんもくよ
ゆうべんは銀ちんもくは金冷し酒
吹かれれば風にもなれる涼しさよ
パソコンよ昼はコーヒー夜は麦酒
身ひとつに満天の星キャンプの火
夏の月待たれているということか
向日葵がひまわりらしく立つ地球
その声をやしなう山よほととぎす
寺のなか別のせかいのふうりんよ
夏菊よちいさいことのうくつしく
喜をかたり悲をかたりして蛍の夜
◇
もくもくと雲もくもくと田草取り
もの言えばただあかあかと夕焼空
よいきおくだけがのこって時計草
しずかさよとどろきおちる滝の空
あきこ忌の明星ひとつかがやくか
ゆめはゆめ職場はしょくば昼寝覚
おもいでのなかでひとつよ夏祭り
ひとりずつちがう明日待ち夏休み
梅雨満月潮を引きよせ引きよせて
かたつむり水から進化して来たか
老人はなにを聞いてもふうりんよ
◇
かきつばたあやめあじさい流水園
渓流がひかっていれば山女魚棲む
大くらげ地球まかせのまいにちよ
生麦酒そそぐもわもわもわもわと
棒高跳びただなにもかも汗になれ
おくれればおくれたみちの日々草
くりかえしくりかえす夏祭りこそ
町じゅうがひとつにけぶる夕立よ
あおぐとはさびしいことよ月見草
浴衣着ていまはむかしを楽しめよ
交番をけぶらせているゆうだちか
◇
かなしさに涼しい月のあってこそ
生きてきた眼にありありと蟻地獄
その果てに空あることよ尺取り虫
だまるときひとつになって夕焼よ
うたた寝て凍ったころかみぞれ酒
淋しさをうつくしくして手花火よ
ねむってもねむっても覚め百日紅
青あおと嶺々青あおとキャベツ畑
かなしみをかたりつぐとき蛍とぶ
ネクタイをすずしく解いて金曜日
ながくながいわかれの虹の空港よ
5月30日〜6月17日
発表日順
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