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連載小説・海のなか

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とある夏の日、少女は海の底にて美しい少年と出会う。愛と執着の境目を描く群像劇。
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2021年7月の記事一覧

海のなか(19)

海のなか(19)

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 なぜ、あんなことを言ってしまったのだろう。
自分の言葉を反芻するたびに嫌気が差した。
 『夕凪、あたしが探してこようか?』
 自分でやったことのはずなのに。あんなことをしてしまった自分がわからない。あたしは夕凪を避けていたはずなのに。あの子に会いたくない、はずなのに。
 こういう時がある。勘ではまずいとわかっている。悪い予感に急かされながら、それでも選んでしまう。まるで愚かさに毒さ

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大人になったからこそ、描けるもの。

大人になったからこそ、描けるもの。

連載小説・「海のなか」について。

どうも。
クロミミです。
最近やっとこさ最新話を更新いたしました、連載小説「海のなか」。今回はこちらの作品を制作するに至るまでの話を少しだけしたいと思います。お付き合いください。

話を始める前に、まだ読んだことのない方の為に、簡単な「海のなか」のあらすじをご紹介。

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引っ込み思案で無口な少女、夕凪は幼馴染に誘われ、夏休みの海に出か

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小説・海のなか(18)

小説・海のなか(18)

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 教室を出るとともに、また俺は囚われてしまった。
 あの問題。未来という問題。
 考えたくないと思えば思うほど逃れられなくなる。泥濘に足を取られ、はまり込んでゆく。もう誰のせいにもできない。逃げていた俺が悪い。空っぽな俺が。別に逃げ続けられるとたかを括っていたわけじゃない。
何も考えていなかった。ただ、それだけ。
 これからどうするのか。どうすべきか。どうなるのか。
 もし問いかけたな

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小説・海のなか(17)

小説・海のなか(17)

※※※

 こういうことは苦手だ。俺は再確認する様に噛み締めた。我ながら、とことん裏方気質というか。こういうことはきっと佐々木なんかに向いているに違いない。けれど、悔いてももう遅い。断りきれなかった俺が悪い。クラスメイトに少し抜けると伝えたら、この看板を押し付けられてしまった。
「ホットドッグ〜、ホットドッグはいかがですか〜2年B組のホットドッグ。中央広場にてやってまーす」
 お決まりの台詞を口

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小説・『海のなか』(16)

小説・『海のなか』(16)

※※※


「だめ、サヤ。まだ目は伏せてて!マスカラ失敗する」
 愛花がピシャリと言った。我ながら私も往生際が悪い。ここに座ってからもう、15分は経っている。愛花はなおも腰をかがめてマスカラを塗り重ねていた。メガネをとったせいで、全てが霞かかって見える。
 ああ。らしくないことをしている。
 まだ、わたしの身体の内では不安に心臓が暴れていた。
「ねえ、もう良くない?ほら、この後シフト入ってるしさ

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