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消雲堂綺談

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私は怪談奇談が好きで、身近な怪異を稚拙な文章にまとめております。
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#妖怪

妖異戊辰戦争「江戸城」

妖異戊辰戦争「江戸城」

薩長土肥(実は西洋の妖怪率いる悪霊たち)に率いられた倒幕軍が江戸城に向っています。

江戸城内には倒幕悪霊軍を迎え撃つために亀姫、朱の盆率いる「妖怪たち」が待ち構えています。

亀姫の援軍には本栖湖の纐纈城主もいます。

まずは先鋒の朱の盆が駿府に飛び、悪霊倒幕軍の首領・西郷隆盛(実は吸血鬼ドラキュラの末裔が化けている)を暗殺できるか偵察に向います。

朱の盆は箱根を越えようと飛翔していると、箱根

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百物語10「妖刀」

百物語10「妖刀」

出版社で働いていた時のことだ。

家電メーカーH社の子会社(システムエンジニア企業)が僕の顧客のひとつだった。そこの取材対応してくれていたのがF課長だった。彼は刀剣マニアで、たくさんの古刀を所有していた。実際に見たわけではない。彼自身と彼の部下たちから聞いた。

彼が所有している刀剣には値打ちがあるものも多く、「資産として集めてるんです」と言っていたのを記憶している。なかでも特に鎌倉時代の古刀のこ

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Dream Diary「妖怪」2021/8/15

Dream Diary「妖怪」2021/8/15

*毎日、夢ばかり観ているし、夢の素材が欲求不満っぽくてイヤだな。

僕はたくさんの女の人の中にいる。そこに妖怪が部屋の中に入ってきて一人ずつ殺していく。僕は妖怪退治の呪文を唱えながら、その妖怪と戦うけれども、結局呪文が通じなくて負けてしまう。妖怪は僕を見て笑っている。

*このほかにもいくつか夢を観たが、メモするのを忘れてしまった。記憶の欠片もない。

茂庭山(もにわやま)1

茂庭山(もにわやま)1

僕の母の旧姓は「茂庭(もにわ)」なのです。岩手県一関市の山奥の神社の神主の家に生まれたんです。茂庭の元は、福島県にある飯坂温泉の奥にある伊達郡茂庭地域が源です。斎藤実盛(現在の埼玉県熊谷を本拠とした)の近親であるという山城国愛宕郡八瀬(現在の京都府)に住んでいた斎藤行元を初代としています。

僕の父は3回結婚していて、2回目の結婚(僕には腹違いの姉がいます。会ったことはありません)の際に飯坂温泉で

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「ばけ物に骨を抜かれし人の事」諸国百物語(江戸怪談集 下 高田衛 編 岩波文庫)より

「ばけ物に骨を抜かれし人の事」諸国百物語(江戸怪談集 下 高田衛 編 岩波文庫)より

京都七条河原にある墓地に化け物が出るという言い伝えがあった。いつの世でも若者たちは傍若無人で分別もないものだが、ここでも化け物の祟りを恐れることなく金を賭けて肝試しをやることになった。要は、夜中にその墓地に杭を打ち目印となる紙を付けて来るというだけのことだったのだが…。

若者のひとりが早速それを実行した。杭を打ち紙を付けてから帰ろうとしたところへ、どこからともなくひとりの老人が現れた。老人の年は

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「会津須波の宮、首番という化け物の事」諸国百物語(江戸怪談集 下 高田衛 編 岩波文庫)より

「会津須波の宮、首番という化け物の事」諸国百物語(江戸怪談集 下 高田衛 編 岩波文庫)より

会津の須波神社(会津若松旧城下にあった諏訪神社のこと?)に首番(しゅばん 朱の盆と同じ)という恐ろしい化け物が出るという…。

ある夕暮れに25~26歳の侍ひとりが須波神社の前にさしかかった。「神社には化け物が出る」という噂があり不安になったが、そこに同じ年頃の若い侍がひとりやって来たので良い連れができたと一緒に歩きながら話しかけた。

「ここには首番という化け物が出ると聞いたがお主は知っているか

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土方と亀姫 拾壱

土方と亀姫 拾壱

深夜…板垣退助と伊地知正治が率いる東征軍が母成峠を制圧した後、翌日の猪苗代攻撃のために母成峠の防塁から沼尻にかけて兵を休めて駐屯しているところに、森林をかき分けて偵察に来た新撰組の島田魁は、磐梯山と吾妻山の2方向から大きな炎がもの凄い速さで筋状に進んで来るのを目撃した。よく見ると炎は、三丈(約9m)ほどもある燃える車輪だった。正体は妖怪「火車」だった。
「業火だ…」島田が呟いたように、火車の炎は、

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土方と亀姫 拾

土方と亀姫 拾

「私たちを助けるとはどういうことですか」照姫が大多喜丸に言った。
竹子は照姫がさざえ堂の突き出し屋根に向って独り言を言っているように思えた。
「照姫、にしゃは会津のさだめを知らぬであろう」オンボノヤスが言った。
「会津のさだめ…」
「もう終いじゃ」
「薩長は峠を越えて猪苗代に入ろうとしておる。それをわがらが猪苗代でとめてやろうと言うておるのじゃ」大多喜丸が笑った。
「照姫様、会津のさだめとは何でご

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土方と亀姫 柒

土方と亀姫 柒

朱の盆もまた亀姫と同じく、猪苗代氏から藩祖の保科正之を経て、今の藩主である松平容保まで代々仕えてきた妖怪なのだった。

保科正之とは二代将軍徳川秀忠の庶子(御落胤)である。正之の母・静は、秀忠の乳母に仕えたが、その際に秀忠に見そめられて関係を結び、慶長16年(1611)に正之を産んだ。将軍職を継げる庶子ゆえに命を狙われる可能性が高いため、秘匿されて江戸城北の丸に邸を与えられていた武田信玄の娘・見性

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土方と亀姫 陸

土方と亀姫 陸

*プロットもなしに感覚だけでテキトーに書いているので辻褄が合わないこともあると思われます。真面目に読むのはおやめ下さい(笑)。

「朱の盆…」

「んだっぺ」

「変な名前の化け物だな」斉藤が笑った。

すると、朱の盆が斉藤を睨んだように見えた。朱の盆の目は大山椒魚の目のように小さいからわからない。ただ彼の紅い身体は怒りに満ちて、さらに朱の色を増した。

「食ってやる」朱の盆は畳を這うように亀姫の

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土方と亀姫 伍

土方と亀姫 伍

照はさざえ堂の中に異様な雰囲気を感じた。

「どうかなさいましたか」竹子が照の様子に気がついた。

「物の怪がおりますね」照は表情を変えずにこたえた。竹子は一瞬驚いたが、先ほどの話から続いて照が冗談を言っているのだと思った。

「照姫様、お戯れを…」

「誠でございます。竹子さんには見えませぬか」照はさざえ堂の入り口の突き出した屋根の上を指さした。そこには照が言うように大きな尾のある腹の2匹の大き

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土方と亀姫 参

土方と亀姫 参

「ふふふ、情けないのう。そなたらは京での戦いに負け、江戸に逃げ帰ったと思うや、甲州でも負けた。近藤を見殺しにし、その後も負け続け、この会津でも負け戦か。ほんに情けないのう」
土方は落ち着いていた。もしかすると猪苗代城の高橋権大夫の姫君かもしれないからだ。高橋は会津藩士で猪苗代城代をつとめていた。
「これは手厳しい。確かに負け戦続きで誠に情けのうござる。して、失礼とは思いまするが、高橋権大夫様の娘御

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土方と亀姫 弐

土方と亀姫 弐

「何者だっ!」斉藤が愛刀の鬼神丸国重を抜いて土方の前に出た。

鬼神丸国重は、摂州(現・大阪府池田市)の刀匠、池田鬼神丸不動国重が天和2年(1682)に作刀した業物で、刀長は2尺3寸1分(約67センチ)。

土方も和泉守兼定の鯉口を切って身構えた。和泉守兼定は、関(現・岐阜県関市)の刀匠兼定のことで、4代目以降は会津藩の祖、保科正之が会津に連れ帰り、お抱え鍛冶とした。土方の刀は11代目の会津兼定が

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土方と亀姫 壱

土方と亀姫 壱

東征軍に制圧された母成峠を脱出した斉藤一は猪苗代城に辿り着いた。城には先に土方歳三が着いていた。土方は母成峠に向う途中で東征軍の一部に攻撃され、そのまま猪苗代城まで逃げてきたのだった。斉藤は土方の表情をうかがいながら「これからどうされますか?」と聞いた。返事はなかった。土方は敗走の悔しさからか目が虚ろで呆けた表情をしていた。

「奴らは思いもしなかったところから来やがった」土方は斉藤の顔を見ずに呟

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