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#百物語
百物語 18「人を喰らう話」
六国史のうち、平安期に編纂された、清和、陽成、光孝天皇の代である天安2年(858)から仁和3年(887)の国史「日本三代実録」には以下のような話が掲載されています。(中公文庫 日本の歴史「平安京」から)
①
8月のある晩、午後10時頃に、内裏(天皇の居住地域のこと)・武徳殿東縁の松原の西に美しい女が三人、東に向って歩いていると、ひとりの男が松の木の下に佇んでいた。これがなかなかの美男で、ひとり
百物語15「忘れ物」
雨が降っていた。
僕は船橋から最寄り駅までの電車に乗っている。
車窓のガラスには進行方向から後方に向けて雨水の筋が走っていく。車窓の外に光る街の電光看板の灯火を雨水の筋が引っ張っては消えていく。
数駅に停車したあと僕の最寄り駅の灯りが見えた。電車は少しずつブレーキをかけながらゆっくりと駅のホームに入っていく。僕は早めに降車の準備を始める。せっかちなのだ。
電車が停車してホームのプラットホーム