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消雲堂自分史 阿武隈川

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駄目な人間の私が、どうやって生きてきたのかを再確認するマガジンです。自分のためのものですが、興味のある方はどうぞご覧下さい。
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#母

「宣告」

「宣告」

 2014年まで神奈川に住む母の定期検診について行っていた。

 その数年前に母が脳梗塞になってから、少し呂律が回らなくなったので、その病院で言語リハビリ治療を行なっていて、ついでに血圧やコレステロールなどの健康面も診てもらっていた。その甲斐あって母は普通に話せるようになっていて、肉体的にも元気になっており、翌年には白内障の手術をする予約もしていた。

 その年の11月に、いつものように定期検診に

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ディレイな涙

ディレイな涙

2015年1月9日のちょうどお昼頃に母が死んだ。

「一般的には早朝や深夜に死ぬのに、なんで、あんたは青天の真っ昼間に死ぬのだ?」と思ったら涙も出てこなかった。母が死んでも泣けなかったのだ。妹は泣いている。それが医師や看護師を前にしてのことなので芝居じみた妹の姿を見て「(男女差別ではないが)こんなときには女は便利だな」と心の中で笑ってしまったのだった。

母の遺体をしげしげと見ても、無事に葬儀を終

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カルチャースクール4「母」

カルチャースクール4「母」

昨日はカルチャースクール講師の日でした。熱波の中をスクールまで15分歩いていきました。熱中症対策としては濡らした冷感タオルを首に巻き、塩分と糖分がほどよく混ざった飲み物を飲みながら歩きました。

前回は出席者がひとりだけでしたが、今回は3人揃いました。ほっと一息。さて、お馴染みの「最近の出来事」を語っていただきます。

Aさんの出来事

コロナのためにテレビを観る時間が増えた。なかでもオリンピック

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死に逝く者 「薬局」

死に逝く者 「薬局」

あの日、僕とかみさんは、相模原の病院で処方された母の薬をもらうために神奈川県大和市南林間駅の近くにある薬局内のイスに座っていた。外は雨が降っている。

「降ってきたね。傘忘れちゃったね…」かみさんが薬局前の道を眺めながら言った。

「うん…」僕は気が抜けたように頷いた。

この1週間前に、僕は「母は肺がんの末期であり、高齢で手術ができぬ事、余命3ヶ月ほど」であることを、かかりつけの医師に伝えられて

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死に逝く者「煙草」

死に逝く者「煙草」

写真は我が母、我が妻、痩せている僕であります。

社会が嫌煙に流れる中で、映画やドラマを観ると、その内容に必要もないのにタバコを吸うシーンがあってイヤになります。何だか感染に効力がないとして「マスクをしない」方々の困った思考に似たイメージがあります。

2014年11月26日「破滅派」に投稿。

僕は18歳から40歳ぐらいまでタバコを吸って(ふかして)いました。当時勤めていた出版社では男性社員の多

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「死に逝く者…母の場合」2014年11月~2015年1月の日記

「死に逝く者…母の場合」2014年11月~2015年1月の日記

2014年

11月13日に東林間東芝病院の医師に母の肺に癌があるようで、しかも末期癌であり、年齢からして余命僅かであろうことが伝えられた。その後、大和市立病院を紹介されて診察を受けるが、医師が気に入らず、国立相模原病院で診察を受ける。この翌日に咳が酷く、救急車で相模原病院に入院。

「2014年11月13日 東林間 東芝病院にて…」

「お母さんのレントゲン写真を見て、水が溜まっていたので、もし

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