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🚲訪日解禁に向けて、中国のサイクリングブームを知る🚲

皆様初めまして!Webメディア・行楽で編集長を務めている徐と申します。

徐吟之(じょ ぎんし)

復旦大学中国文学専攻。
記者経験を経て行楽に入社後は、編集長として、行楽の編集チームのマネジメントに従事。
日本文化に詳しく、日本文化にフォーカスを当てた記事が得意。
約10年間で日本の39都道府県に赴き、訪日取材回数は100回以上。
2019年日本政府観光局講師中国における日本イベントの講師も多数務める。


私たちは普段、中国人富裕層向けにWechat(微信)やWeibo(微博)を通して、日本の最新トレンドを中国に発信しています。
いわば日本のトレンドのスペシャリストです。

また、私たちは中国のトレンドのスペシャリストでもあります。
私たちは中国の読者が日本のどんな情報を求めているのかを知るため、中国のトレンドも日々チェックしているのです。

そこで、このnoteでは「行楽が現地で発見した、意外と知られていない中国のトレンド」を紹介します!




中国はいまサイクリングブーム

今回紹介するトレンドは、中国のサイクリングブームです。

昨今、日本ではアウトドアが一大ブームになっていますが、中国でも同じ現象が起きています。
Wechatの友達の投稿を見ていると、スノーボードやフリスビー、キャンプ等のアウトドアを楽しんでいる人がまあ多いこと。

その中でも特に多いのが、サイクリングの投稿です。

かく言う私もその一人です


コロナ前、中国の都市部における主な移動手段は地下鉄やバス、タクシーでした。
しかし、ここ数年で三密回避や運動不足解消のために自転車で移動する人々が急激に増え、サイクリングがブームになりました。

実際、都市部における自転車の平均販売台数は、去年(2021年)の同時期よりも4割増加しており、供給が追いついていないというデータもあります。

ただ、ブームの要因はコロナだけではありません。


中国・自転車ブームの要因

① 「映え」


冒頭でも紹介しましたが、Wechatのモーメンツ(LINEのタイムラインに似た機能)には、サイクリングの写真が溢れています。
サイクリングの写真と言っても、必死にペダルを漕いでいる写真ではありません。
「映え」を意識して、自慢の愛車を撮影したものです。
今や自転車は、車のようにステータスになる存在になっているのです。
なので、自ずと高価でお洒落な自転車が人気になってきます。

例えば、定価16万5千元(日本円で約340万円)のエルメスの自転車は8月11日に中国でネット販売が始まりましたが、なんと3日で売り切れてしまいました。
(参考記事:325万円のエルメス自転車が完売 どうしてこんなに高いのか

② アプリの活用


Wechatだけでなく、RED(小红书)という中国のインスタに似たアプリでもサイクリング関連の投稿が増えています。

自転車の選び方や組み立てから、サイクリングコースの紹介、街角のスナップ写真まで内容は様々で、自転車は「バズりやすい」コンテンツになっています。

試しにREDで「サイクリング」と検索してみると、愛車の写真や自転車の旅行記など100万件を超える投稿がヒット。

REDの投稿の一例
オススメの自転車グッズをシェアしている

また、フィットネスアプリを使えば走行距離や時間を記録することができ、その記録をREDやWechat、Weiboにシェアして自分の頑張りを見せている人も多くいます。

Weiboの投稿の一例
アプリを使った走行記録と道中の写真をシェアしている


③ 脱炭素政策と自転車旅スポット


脱炭素化が進められている中国では、環境にやさしい旅行が推奨されており、自転車旅も注目を集めています。

例えば、上海から高速鉄道で2時間の場所にある杭州の千島湖という観光地は、中国でも有名なサイクリングスポットになっており、多くのレンタサイクルがあります。
ここのサイクリングコースは距離が長過ぎず、整備も行き届いているので初心者でも安心して楽しむことができます。

他にも、東洋のハワイと呼ばれる海南島のサイクリングも人気があり、島をレンタサイクルで一周する旅行スタイルが人気となっています。

千鳥湖のサイクリングロード

また、サイクリング上級者にはチベットや四川省、青海湖、新疆ウイグル自治区等の中国内陸部を10日~1か月かけて旅する人も多く、昨今のブームで長距離の自転車旅に挑戦する人も増えているそうです。


観光地がすべき、"サイクリング環境"の整備

コロナ禍とSNSの拡散がきっかけで火がついたサイクリングブーム。
政府の方針にも沿っているので、ブームはまだまだ続く見込みです。

そして中国から自由に訪日できるようになった際には、コロナ前よりも日本でサイクリングをしたい中国人観光客が増えるでしょう。

なのでサイクリングロードのある観光地は訪日解禁前の今から、中国人観光客向けに知名度を上げておくことをお勧めします。

たとえば日本ではサイクリストの聖地として知られているしまなみ海道ですが、中国での知名度はあまり高くありません。
瀬戸内海の美しい景観や、温泉、グルメが楽しめるしまなみ海道のサイクリング。
中国での知名度が上がれば、訪日解禁後確実に人気が出る筈です。

ただ、実はサイクリングロードの無い観光地も中国人向けにサイクリング環境を整備する必要があります。
というのも、中国の国際免許証は日本国内で使えないからです
なので、サイクリングロードの有無に拘らず、中国人観光客にとって自転車は移動手段として重要な存在です。
それに自転車移動は手軽に途中下車ができるので、メインの観光地だけでなく、道中で色々な場所に立ち寄ってもらう事もできます。


私たち行楽は今後の訪日再開に向けて、しまなみ海道をはじめとする日本各地の観光地の中国における知名度アップを図っています。


この記事を読んで中国のトレンドを知って、訪日解禁後のコンテンツ作りの一助にして下されば幸いです。

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