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Kei
2021年7月27日 00:52
久方の中なる川の鵜飼舟いかに契りて闇を待つらむ (新古今和歌集・夏・二五四・藤原定家朝臣) 前回に続き今回も「鵜飼舟」の歌を取り上げました。定家の歌です。 前回↓↓↓ 鵜飼はこの時代には既に定番の歌題になっています。さらに鮎を殺す鵜飼の来世を心配しちゃう系の詠み方は有力歌人が何人も詠んでいるんです。上の投稿で紹介した崇徳院や慈円の歌もそうです。慈円の歌が詠まれた『六百番歌合』では
2021年7月22日 23:41
ほととぎすと五月雨の時期が終わります。夏の葉が茂り暑さが本格化する夏が来ます。『新古今和歌集』の夏歌もようやく多様性を見せ始めました。鵜飼舟あはれとぞ思ふもののふの八十宇治川の夕闇の空 (新古今集 251 前大僧正慈円) この歌は三つのアイディアとそれを貫く一つの物語で構成されています。一つ一つ確認しましょう。1,鵜飼舟あはれとぞ思ふ 鵜飼いは『万葉集
2021年7月21日 21:09
本年度の隠岐後鳥羽院和歌大賞のテーマ「舟」で和歌を詠む試み、その2です。 『万葉ことば事典』(大和書房 2001年)は『万葉集』での船の詠み方を五つの類型に整理しています。1)羈旅の歌の景物として 例 我が船は比良の港に漕ぎ泊てむ沖辺な離りさ夜ふけにけり(二七四)2)船に都への思いを託す 例 香島より熊来をさして漕ぐ船の梶取る間なく都し思ほゆ(四〇二七)3)入唐使の船 例
2021年7月12日 18:25
「隠岐後鳥羽院和歌大賞」が作品を募集している。全国でも珍しい「和歌」の作品募集だ。 案内を読んでみよう。 隠岐は承久の乱の後に歌聖・後鳥羽院が京の都からお遷りになった日本海の離島です。院は二〇年近い歳月を隠岐 (現、 海士町) でお過ごしになられました。 海士町では島根県後援のもと 「隠岐後鳥羽院和歌大賞」 の作品を募集いたします。 隠岐は承久の乱の後に歌聖・後鳥羽院が京の都からお遷
2021年6月21日 22:48
梅雨の気配が遠くなった。空は雲を浮かべているけどわりと青い。今年の梅雨は降る日と晴れる日のけじめがはっきりしているみたいだ。 昨日、父の日参観で幼稚園に行った。次男は僕の似顔絵を用意してくれていた。息子の頭に残る僕が笑顔であることにホッとした。 こめかみが赤い。赤いというか、赤の何かがほとばしっている。なんだか無口な東洋系の凄腕スナイパーに狙撃されたみたいだ。 幼稚園の先生が「似顔絵の
2021年5月5日 09:05
風呂で長男とおしゃべりをする。小2の長男は数字とお金が大好きだ。「1垓円あったらどうする?」「デリバティブ合わせても地球上にそんな金はねえ」とか。 時々繰り返される質問に、「無限より1少ない数って何?」がある。息子は「最強」と同じレベルで「無限」が気になっている。その最強に一歩届かない数字を知りたくなったんだと思う。無限に届かない、無限を見据える数字。答えはまだ思いつかない。神に近い人は無
2021年5月1日 19:07
春休みの宿題をしない生徒を放課後残し、担任団が代わる代わる監督しながら学習させている。なかなか終わらない。4月が先に終わった。花を待つ頃の課題は花散らす風が薫りてなほぞ残れる 仕事を終えて家に帰ると妻が息子と戦っている。宿題をぜんぜんやらない。妻が庭仕事をしていると勉強部屋を抜け出してくる。弟や妹と遊び出す。 仲がよさそうで何より。後は僕が引き受けた、というほど頼りがいのある夫じゃない
2021年5月1日 06:30
時間割が変更され、一時間目に授業をすることになった。授業準備が終わっておらず焦る。予定を繰り上げ20分で予習を完了させ、準備を整えた。新緑のようなマナコを向けられて脳を絞った僕はウスキイロ☆ ☆ ☆ 『新古今和歌集』の夏歌では、衣替えの後に卯の花の歌が並ぶ。白く可憐な花だ。現代ではおからの異名にもなっている。卯の花のむらむら咲ける垣根をば雲間の月の影かとぞ見る(白河院) 「雲
2021年4月25日 21:39
朝に娘と二人でちぎったソラマメを、夜に妻が焼いて出してくれた。名産地で収穫した採れたてのソラマメだ。旨くないわけがない。冬風に耐えて貯めたるソラマメの熱がはじけて奥歯にあたる 昼過ぎ、妻と結婚してから毎年(ただし昨年を除く)お邪魔している素麺屋を訪れた。駐車場の隅から伸びる長い階段の下に店舗がある。 6年前、長男の左右から僕と義父とで手をつなぎ、一歩一歩階段を降りた。今日は長男が義母を
2021年4月20日 22:47
息子は今日まで出席停止だ。いよいよ明日は登校が許される。 あんまり出かけないものだから、とうとう「今日一日あったこと」を息子が僕に聞いてきた。どんな勉強をしたか、他のみんなと何をしたか。 いちいち答えた。「こくごのおべんきょうをしたよ」「みんなでテストのまるつけをしたんだよ」。 パッとしないな、と思った。息子に語れるような一日を送ろうと思った。100文字の日記ノートの欄外を字が取り囲
2021年4月20日 00:14
コロナ禍の中、外出できない日が続く。妻は24時間甘え続ける子どもたちにうんざり気味だ。朝から叫ばれる「ママが良い!」への返答にも毒が混ざる。食パンに包丁を引く「ママが良い!」 「ママは良いです」おいその切れ味☆ ☆ ☆ 桜が過ぎると夏になる。夏は、春や秋と比べると歌が少ない。気持ちは分かる。 僕の心がまだ春の花の美しさに引き留められているせいだろうか、『新古今集』の次の歌が気になっ
2021年4月11日 22:48
息子がPCR検査を受けた。陰性だった。 結局僕も息子たちも、職場や学校を2日休むことになった。できることは待つことだけだった。公園にも行かないから体力は使わないが、ニキビが複数個できた。 陽性反応を示してしまった子やその保護者の方々はどれだけの心労だろうか。隔離され、世の中において行かれるような二週間。特に自宅にいることが多い方、近所の人と交渉が多い方は、世間の目を気にしながら過ごすスト
2021年4月11日 00:07
息子のPCR検査待ち2日目。ただただ引きこもる。出前館アマゾンプライムネットスーパー籠城道具が揃いすぎてる 全員7時には起床した。朝食作成には長男(7歳)が参加し、希望者に卵焼きが振る舞われた。子どもたちは卵焼きをチョイス。大人は妻特製の目玉焼き。息子たちそして娘よその卵命に届かぬ卵 旨いね 学校の時間割に従って午前中を過ごすことにした。1,2時間目は図工。ぼかし絵制作。「できな
2021年4月3日 23:12
糸くずになるまで身を裂くピーマンはそれでも吾子の口に入れず気をぬるみ桜も衣を脱ぎつらむ吾子が毛布を蹴飛ばし寝居り2歳はちゅう4歳はぎゅう7歳は顔を背けておやすみなさい☆ ☆ ☆ 上の二首目「気をぬるみ」は、眼前の景色を下句に、その景色から想像する桜の姿を上句に詠んだ。 実景→想像という手法がちょっと似ていて、この歌が気になった。吉野川岸の山吹咲きにけり峰の桜は散りはてぬらむ