4月10日 世界に巻き込まれた僕と、西行の当事者意識

 息子のPCR検査待ち2日目。ただただ引きこもる。

出前館アマゾンプライムネットスーパー籠城道具が揃いすぎてる

 全員7時には起床した。朝食作成には長男(7歳)が参加し、希望者に卵焼きが振る舞われた。子どもたちは卵焼きをチョイス。大人は妻特製の目玉焼き。

息子たちそして娘よその卵命に届かぬ卵 旨いね

 学校の時間割に従って午前中を過ごすことにした。1,2時間目は図工。ぼかし絵制作。「できない!」を連呼する長男をなだめすかす。妻の提案を受け入れた長男は、最終的に満足いく作品を制作できたようだ。それにしても、教科書というものはよくできていると感心する。

数万の失敗を経てクレヨンをぼかす技術が吾子に届いた

 少々算数もたしなんだ。ネット上にダウンロードできる教材を多くの人が用意してくれている。長男は「ちびむすドリル」が気に入ったようだ。感謝しながらプリントアウトした。

盗まれた掛け軸を追う忍者にも筆算をする理由があった

 昼食前に娘(2歳)が寝た。妻は昼食用意後に娘を寝室に置きに行く。
 昼食のパスタを食べると僕も眠くなる。次男も眠いようで、なんだかうとうとしていた。昼寝をしたり、マンガを読んだり、本を読んだりした。穏やかだ。

レクイエムだとか言いたくなるほどにPCRを待つ午後がある

 引きこもりは動かない。おなかが空かない。夜は焼き鳥とコロッケを妻が出してくれた。少なめに食べた。食後は娘のリクエストで、ニンテンドースイッチのマリオパーティをプレイ。全員参加で堪能した。

全員の肌を抱きしめ笑顔見たまだ大丈夫まだ大丈夫

 そろそろ、「家を出ないでできること」のカードがつきる。明日のPCR検査が陰性であることを切に望む。

☆ ☆ ☆

 現実と対峙すると、西行法師の歌がいやに身に染みる。

世の中を思へばなべて散る花のわが身をさてもいづちかもせむ
                   (新古今・雑歌上)

 春が来れば花が咲く。花が咲けば散るを思う。はかない美、けれどそれは、きっとすべてに当てはまる。
 無常。西行の歌はきっと、それを歌った歌だ。
 無常。世界がそうであるということを納得することは簡単だ。しかしそれが自分ごととなると、どうか。

 世界が新型コロナに覆い尽くされていることと、自分がそれに対峙していることと。当たり前のようで、当たり前でない。さて、僕はわが身をどうしよう。

この世界を
思えば無常、それが当然だ。
咲けば散っていく桜の花のように。
しかし今、散るのは私自身、さて
どこにもっていこうかね  

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