短歌と和歌と

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【新古今集】時雨と涙

しぐれつつ袖も干しあへず足引きの
山の木の葉にあらし吹く頃
(新古今集・冬歌・563・信濃)

(訳)
何度も降る時雨に
袖も干してはいられないよ
この足引きの
山の木の葉に
激しい風が吹く頃は

 あなたは何度も降る時雨のせいで袖が濡れたままだって主張する。でも雨が降る中出かけて舞でも舞うの?
 そんなはずはないでしょう。あなたの袖が濡れているのは時雨の他に理由があるはず。きっと時雨のふりをした

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【新古今集】ごめんね紅葉

初時雨しのぶの山のもみぢ葉を
あらし吹けとは染めずやありけむ
(新古今集・冬歌・562・七条院大納言)

(訳)
今年初めの時雨が降り葉を染めた
しかし耐えがたい思いが秘められた信夫の山の
情熱のもみじ葉を
激しい風などに吹いて飛ばせようと思って
色濃く染めたわけでもなかったろうに

 歌人名がいかめしいが女性だ。藤原実綱の娘で七条院に仕えた女房だったらしい。実綱はどうも中納言止まりだったみたいだ

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【新古今集】嵐の気配

 車中で3歳の娘が突然クイズを出した。
「これなんでしょうか」
 どれやねん。
「いちばん、うさぎちゃん」
 おお可愛い。
「にばん、うま」
 ちょっと距離を感じるな。
「さんばん、ユニコーン」
 こないだぬいぐるみをあげたもんね。
 まあ仲が良さそうな一番が正解だろう。
「うさぎちゃんだ」
「ママさんば~ん」
 妻が参戦した。
「ぶぶーはずれー」
 違ったらしい。
「せいかいは、うまとユニコーン

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【新古今集】紅葉と紅涙

木の葉散る時雨やまがふ我が袖に
もろき涙の色と見るまで
(新古今集・冬歌・560・源通具)

 正体が分かりにくい歌だ。
 作中の袖に降り注いでいるのは時雨なのだろうか。それとも涙なのだろうか。

 分からん。

(訳)
木の葉が散る
散る木の葉に時雨が入り交じっているのか
私の衣の袖に
こぼれがちな涙が落ちる
その涙の色に染まって見えるほど

貴方に小さな幸せが訪れますように。

【新古今集】赤い涙と山嵐

木の葉散る宿に片敷く袖の色を
ありとも知らでゆくあらしかな
(新古今集・冬歌・559・慈円)

 「片敷く」は独り寝の象徴だ。

さむしろに衣片敷き今宵もや
我を待つらん宇治の橋姫
(古今集・689)

 恋人が来るのを待ち続ける橋姫の振る舞いも「片敷き」だった。

 慈円の歌でも橋姫のように誰か待つ人がいるのかも知れない。待ちつつ裏切られているのかもしれない。「片敷き」にはそういう雰囲気がある。

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【新古今集】寂しい山里

おのづから音するものは庭の面に
木の葉吹きまく谷の夕風
(新古今集・冬歌・558・藤原清輔)

 この歌は「山家落葉」という題があって詠まれたものだ。歌の舞台は山里。冬に山なんか行けばそりゃ寒い。誰もいなくて当たり前だ。なんでそんな所を舞台に和歌を詠んだのか。

 由来は海を渡るようだ。『歌枕歌ことば辞典 増補版』は

『万葉集』にはまったくよまれていなかった「山里」が、『古今集』以後、このように

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【新古今集】孤独に嵐

日暮るれば逢ふ人もなし正木散る
峰のあらしの音ばかりして
(新古今集・冬歌・557・源俊頼)

 これはまた寂しい紅葉。

 日没後に逢う人がいない宣言です。山に滞在しています。一人の孤独な夜が来ます。
 それから正木。正木は柾葛という植物の別名です。古今集の

深山には霰降るらし外山なる
まさきの葛色づきにけり
(古今集・神遊びの歌・1077)

以来人気の紅葉歌材です。色づく姿が愛されました。

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【新古今集】大井川と流れる紅葉

高瀬舟しぶくばかりに紅葉葉の
流れてくだる大井川かな
(新古今集・冬歌・556・藤原家経)

 大井川は現代でも紅葉の名所。大井川の観光情報を発信している「大井川で逢いましょう」によれば紅葉スポットだけで5つあるそうです。しかも「Best」です。厳選の5カ所なんですね。

 新古今集でも大井川を歌うのは三首目です。現代風に言えば「大井川の紅葉歌Best3」でしょうか。
 一首目の554番歌はあえて

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スキ…になりそうです。

【新古今集】紅葉のしがらみ

散りかかるもみぢ流れぬ大井川
いづれ井堰の水のしがらみ
(新古今集・冬歌・555・源経信)

(訳)
川面に散りかかる
紅葉、そのままゆうらりゆらり流れない
まったくもって大井川
紅葉と堰とはどちらが本当の井堰なのか
水せき止めるしがらみなのか

 この歌は元ネタの

山川に風のかけたるしがらみは
流れもあへぬ紅葉なりけり
(古今集・秋下・春道列樹)

が念頭にないと分かりづらいと思います。念頭に

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【日記と短歌と新古今集】寝ぼすけ息子・朝の月・紅葉と筏士

 息子たちは朝が弱い。目がなかなか覚めない。目が覚めた後もご飯を食べる手がゆっくりだ。
 小学2年生の長男が通う小学校までは徒歩で30分ほどかかる。一昨日は7時30分に家を出て学校到着刻限の8時に間に合わなかったらしい。昨日は7時25分に出たが間に合わなかった。冬の寒さで足が遅くなっているようだ。

 ご飯を食べるのが遅いのは身体が目覚めないからかもしれない。そこで今朝は6時20分にベッドから引き

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幸せです…。