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【新古今集・冬歌18】北風小僧がやってきた

いつのまに空のけしきの変るらむ
はげしき今朝の木枯の風
(新古今集・冬歌・569・津守国基)

いつのまに
空の様子が
空高い秋から峻烈な冬へと 変わるのだろう
気がつけば激しい 今朝の
木枯らしの風

 季節の変わり目が人の意識の切り替わりを凌駕する勢いでやってくるというのは和歌の世界では定番の詠みぶりです。たとえば『千載集』の冬歌の冒頭は

昨日こそ秋は暮れしかいつの間に
岩間の氷うすごほるらむ
(千載集・冬歌・387・藤原公実)

まさに昨日
秋が終わった日を過ごしたばかりだ
昨日の今日というのに いつの間に
岩の間の氷が
薄く張るのだろう

でした。現在も季節の変わり目には平均気温が三日で5度とか10度とか下がることもあります。あながち空想世界の歌というわけでも無いのかも知れません。

 今回の歌はその定番通りの詠みぶりと言って良いでしょう。平安時代的な「季節の変わり目あるある」です。

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