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7月21日(水) 隠岐後鳥羽院和歌大賞②

 本年度の隠岐後鳥羽院和歌大賞のテーマ「舟」で和歌を詠む試み、その2です。

 『万葉ことば事典』(大和書房 2001年)は『万葉集』での船の詠み方を五つの類型に整理しています。

1)羈旅の歌の景物として
 例 我が船は比良の港に漕ぎ泊てむ沖辺な離りさ夜ふけにけり(二七四)
2)船に都への思いを託す
 例 香島より熊来をさして漕ぐ船の梶取る間なく都し思ほゆ(四〇二七)
3)入唐使の船
 例 海神のいづれの神を祈らばか行くさも来さも船の早けむ(一七八四)
4)恋歌
 例 楽浪の志賀津の浦の船乗りに乗りにし心常忘らえず(一三九八)

5)七夕
 例 ひさかたの天の川に舟浮けて今夜か君が我がり来まさむ(一五一九)

 今回はこの五つの類型で詠んでみましょう。恋歌とか恋の表現が生々しくて困りますけど。

 1)羈旅の歌の景物

風に舞ふ雲は我が船追ひて来よこのひとときの友とならなむ

2)船に都への思いを託す

行く船よ都の人の我恋はば月を眺めて居りと伝へよ

3)これは無理。

4)恋歌

あかねさす日の入る方に舟は消ゆ我が物思ひのなど果てもせぬ

5)七夕

星合の夜は恨めし我が方に君乗る舟を寄する風もがな



 

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