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エッセイ・コラム・日記

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#お酒

2022年1月28日

2022年1月28日

今日は自分にとってとても大切な日だ。
理由は誰にも言わない。
理由を知っていた人も、もう忘れているかもしれないけれど。

ただこの日は、3年前にバーボンを飲む日と決まった。
本当はワイルドターキーのマスターズキープが良かったのだけれど、行きつけのbarには置いていなかったので8年。
少し焦げたキャラメルのような、濃厚な甘い香り。
それでいて、どっしりとして荒々しい。
美味しい。
小さなグラスの黄金

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予行演習

予行演習

寒さで手先が痺れる。
こういう時、死にゆく時も同じなのだろうかとふと考える。
死んだら無なのだから、感覚が無くなる過程があって然るべきだ。
呆ける前の祖母に最後に会った時、「死ぬのが怖い」「最近何も感じなくなってきた」と言ったのはそういう意味なのか。

生きている間に経験することの出来ないことなのだから、きっと誰もが少なからず不安を感じたり緊張したりするだろう。
それを可能な限り穏やかな形で迎えた

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新年の句

新年の句

古年の
記憶を肴に
酒を呑む

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昨年たった一度会うことが出来た大切な人との思い出を、スルメのようにしがみながら。
その人とはそれからずっと会っていないし、会える目処も立っていない。

母が魔女だった時

母が魔女だった時

 4歳ぐらいのある日、眠れずに部屋を出るとぼんやりとした灯りのみがぼうっと影を作る暗い部屋に母が一人佇んでいた。灯りをよくよく見ると、とても小さな炎だった。
「……」
母は無言だった。薬草のような香りが匂いが立ち込めていた。やがて炎が消えると、その炎を支えていた器を口に運んだ。
「魔女の嗜みってやつよ」
保育園で読んだ絵本の中の魔女を鮮明に思い出した。全身を覆う黒い服を着て、派手な装飾品を身につけ

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