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タクシー運転手とワガママな8人の乗客者たち#21
乗客 編集者と漫画家 中編2/2
瞳が輝く水科の表情に俺もビビるっての。こんな場所で、また。ドンパチをおっぱじめるつもりなの。あの日の事を知らない、若い世代なのか。ひょっとして、ひょっとしなくても。俺のことを知らない世代だとしたら、とんでもない。
「え。あンたってさぁ? 喧嘩売る相手、間違えてないかぁ?」
大馬鹿野郎って称号を与えたいところだ。さて、こんな大馬鹿野郎より、どうにも邪魔なの
タクシー運転手とワガママな8人の乗客者たち#20
乗客 編集者と漫画家 中編1/2 厄介な乗客
「そんなに難しい話し、なんですか。尾田さん」
俺の言葉に、目を輝かせていたはずの空知も、しゅんっと悲しそうな表情になっているのを見かねたのか、彼の横で水科が俺に言う。
「まとめる必要なんかないですよ。始まりから終わりまで。きっちりと、話して下さい」
胆の座ったものの言い方には俺も苦笑しか出ない。あんたはどこまで、何を知っているんだよ。どうにも
タクシー運転手とワガママな8人の乗客者たち#18
乗客 酔っ払い 後半 語ることはもうない
――『何がって。お前が言う、運転手の尾田って奴ぁさぁ~~? 巻き込まれているだけなんじゃねぇの? 異世界の中の異世界の日本人ってなだけだろう。あっちにとって、こっちは――《異世界》そのものじゃんか』
瀧澤が笑って持論を唱えた。言われてみれば、確かにそうだとも思った。
異世界に転生すれば異世界人だろうし。でも、異世界に自ら行ったのなら、それは異世界
タクシー運転手とワガママな8人の乗客者たち#17
乗客 酔っ払い 前編 ほんの少しだけ、話しを聞いて欲しい
ありのままに起こったことを話すぜ。何が、どうしてそうなったかってのは説明なんか不可能さ。酔っぱらっていた僕に期待するだけ無理って話しだ。
ズキズキズキズキズキ。
「あー~~……頭が痛いッ」
◆◇
それは北の恵み食べマルシェに来ていた時だ。丁度、地方から旭川に帰って来ていた友達に会いに来ていた。イベントには、たまたま、遭遇した
タクシー運転手とワガママな8人の乗客者たち#16
乗客 老人 ④ いつか、覚えていたら、話しをしょう ジャアアぁあ~~……
「っはぁー~~気持ち悪ぃ~~」
近くのセイコマに寄ることを告げて、俺はトイレに駆け込んだ。レフトコーナーがあって、ゆったりと出来る快適空間な場所だ。たまに、こういった場所でゆったり、まったりとサボってコーヒーを飲むのが、また至福の時だ。
「尾田っ! 全部、吐いたか!? 全く、今も変わらずか!」
糞野郎が腰を上げて
タクシー運転手とワガママな8人の乗客者たち#15
乗客 老人 ③ 《最果て》と悪霊の真っ黒な砂「どうなったと、言われましても。彼とは……」
言い辛いことだってことを、察してはくれないのか。この糞野郎は。それを忘れて厄介な客断定をしてしまったことに、俺は馬鹿だなぁ、と内心で舌打ちをするしかない。後の祭りってもんだ。
「その。あぁっと? 最果てなんちゃらって場所に着いて、すぐに下ろさずに、観光したんだろう??」
「観光はさせてもらいましたね」
タクシー運転手とワガママな8人の乗客者たち#14
乗客 老人 ② あの時、一番、苛立った日 それにしても、このじぃさんを見て、思い出す奴って。
一体、誰だっけかな。
こんな横暴な人間なら、俺は忘れないだろうし。
いや、あっちにいた野郎なのかもな。
でも、それにしたって。
一回でも一瞬にしたって、普通なら思い出せそうなものなのに。どうにも、頭が、脳も反応しない。
つまりは、大したことのない存在感でどうでもいい程度だったってことなのか
不眠症魔女さんと規格外追放おにねーちゃん騎士くん #24
アララギ=アファガードが【薬師専攻グレイアプ魔法学校】に入学するにあたり、本人の知らないところで働きかける影があった。
1 魔女 ジーナ=リッチ
(何。薬師の資格が欲しいってのかい)
なんやかんやと手放した息子を遠くから見守る彼女は息子の頑固たる決意に感銘をし、
(ならば。母がここでなら伸び伸びと然り、きちんと教育が受けられる環境を作ってやろうじゃねぇか)
自身の息がかかる魔女や噂や