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最終話:「夜中に学校へ忍び込んで、屋上で星を見ませんか?」
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「夜中に学校へ忍び込んで、屋上で星を見ませんか?」
放課後の屋上。
怪しいお誘いがあったのは、夏休みの前期夏期講習、最終日のことだった。
今日でしばらく屋上へ来ることはないと思っていたから、それはすごく魅力的な案だった。
「面白そうではあるけど、夜に学校へ入ったりして、警備とかは大丈夫なのか?」
「それなら心配ありません。防犯のロックがかかっているのは校舎内だけで
番外編:あなたの知らない物語
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「つぎにあったときは、ぜったいはれにするから・・・・・・」
田んぼに挟まれたあぜ道を走っていく、一台の車。
離れていくあなたの方を向きながら、私は両手をぎゅっと握りしめた。
「せかいも、あなたも、わたしがはれにしてみせるから・・・!」
私の住む家の隣の家にあなたがやって来たのは、今から8年前、私が小学校2年生の時の夏休みのことだ。
隣の家といっても、私の故郷は例え
第8話:「あら、屋上で会うなんて奇遇ですね」
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「あら、屋上で会うなんて奇遇ですね」
放課後の屋上。
「・・・・・・これでもう何度目の奇遇だよ」
「こんなところでばったり出会うなんて、もう運命じゃないでしょうか。いや、運命だ」
「いや、反語表現下手くそか」
俺がいつものように屋上で寝そべっていると、扉を開けてあいつが現れた。
実に6日ぶりに。
「お久しぶりですね、先輩。元気にしてました?」
あいつは俺の横にちょ
第7話:「雨の日まで屋上に来るなんて、バッカじゃないですか?」
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「雨の日まで屋上に来るなんて、バッカじゃないですか?」
放課後の屋上。
扉を開けるやいなや開口一番、あいつは言った。
屋上に傘など持ってくるわけもないので、扉の上に申し訳程度にある小さな屋根の下、俺達は立っていた。
年上に向かって馬鹿とは随分乱暴な言葉だが、まさにその通りだと自分でも思う。
だって、お前が来るかもしれないだろ。
そんな柄にもない言葉が喉まで出てきて
第6話:「先輩って友達が全くいない寂しい人間じゃないですか」
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「先輩って友達が全くいない寂しい人間じゃないですか」
放課後の屋上。
「あれ? もしかして俺、喧嘩売られてる?」
「そんな可哀想な先輩のために、今日は手作りおやつを作ってきました!」
あまりにも失礼な前置きがあったが、それもいつものことなので受け流す。
今は3時過ぎ。胃袋の昼シフトは一段落終わり、次の業務を受け入れる体制が整っている時刻だ。
「手作りおやつ? クッ
第5話:「ふふふ、ゆうべはお楽しみでしたね」
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「ふふふ、ゆうべはお楽しみでしたね」
放課後の屋上。
「いや、その言葉の使い方は間違ってるぞ」
週の始まり、月曜日。
週が変わっても今日も今日とて、あいつは飽きもせず屋上にやって来た。
まぁ、それは俺も同じなんだけど。
「えー! だって私、昨日はすっごく楽しかったですもん!」
まぁ、それは俺も
「・・・って何考えてんだか、俺」
「へ?」
「あ、すまん、何でもない」
第4話:「ところで先輩、賭け事はお好きですか?」
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「ところで先輩、賭け事はお好きですか?」
放課後の屋上。
当然のように今日も俺の横に来たあいつから、突然そんな質問をされた。
賭け事と言っても俺は学生の身分だからパチンコや競馬に興じたことはない。
「まぁ、普通」
「そうですか。じゃあ先輩、私と賭けをしませんか?」
「賭け?」
「はい。ルールは簡単です。私が先輩の考えていることを当てたら私の勝ち。外したら私の負けで
第3話:「昨日は一度ならず二度も人間の急所を突いてすいませんでした」
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「昨日は一度ならず二度も人間の急所を突いてすいませんでした」
放課後の屋上。
階段を上り、外へ出るための重い扉を開けると、今日はあいつが先にいた。
そして、俺の姿に気付くとすぐさま走り寄ってきて、開口一番頭を下げた。
人が謝ってるのにそれを無視するのもなんなので、仕方なく俺は応える。
「ん」
「私、恥ずかしくなるとつい手が出てしまって・・・・・・ごめんなさい」
つ
第2話:「今日も相変わらず貴重な青春の一コマを浪費してるんですね」
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「今日も相変わらず貴重な青春の一コマを浪費してるんですね」
放課後の屋上。
「・・・・・・」
今日も、あいつはやって来た。
昨日俺が会話に乗ったことに気を良くしたのか、今日も俺のすぐ横から一方的に話しかけてくる。
だから俺はこれ以上エスカレートしないよう、今日も頑なにまぶたを閉じて聞き流す。
「先輩、青春は一度きりですよ。屋上で寝転がる以外にすることはないんですか
第1話:「世界は、思い通りにいかないから面白いんだと思います」
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「世界は、思い通りにいかないから面白いんだと思います」
放課後の屋上。
いつものように屋上で寝転がっていた俺に向かって女はそう言った。
いや、正確に言えば女だと思われる声がした、だろう。
なぜなら俺は屋上の扉が開く音がして以降、目をつぶって無視を決め込んでいるので、その声の主の姿を確認していないから。
そいつは先週のある日、突然屋上に現れると、それから毎日来るよう
情動的で嘘つきなボクと、論理的で正直な君。
「え、ちょっと、こんなにひどい雨なのに迎えに来てくれないの!?」
駅の改札口を出てすぐ、女子高生がスマホに向かって叫んでいたのに出くわした。
「だって家まで15分かかるんだよ? いや、傘買えばって言われても今月もうお金な・・・って、もしもし!」
その子はそのままスマホに話し続けるが、その様子を見るに相手に切られてしまったんだろう、もしもし以外の言葉に変わることはなかった。
彼女は屋根のある一番端ま
4/11「林檎」 花言葉:偉大
「林檎」
花言葉:偉大
『私が生徒会長に当選した暁には、本校の自由な校風をより推奨し、生徒の自治的な活動をさらに活発にできるように致します!』
『次回生徒会選挙では私、足立 輝(てる)に一票をお願いします!』
「お疲れさま、輝くん。今日の演説もとってもステキだったよ~♪」
「ありがとう、息吹」
お昼休み。校内放送で選挙活動のための放送を終えた輝くんが、教室へ戻ってきた。
「そんな輝くんにごほ
4/10「ハナミズキ」 花言葉:私の思いを受け入れて
「ハナミズキ」
花言葉:私の思いを受け入れて
「恋をしてから、世界が薔薇色だよ」
そう言って、遼(りょう)は照れ臭そうに微笑む。
ある日の放課後、いつものように遼との帰り道。
君の顔が薄紅色をしているのは、世界が一日の終わりへ向かう時刻だからか、それとも。
「それはそれは、うらやましいことですねぇ」
「うらやましいって言うくらいなら、瑞稀(みずき)も早いとこ好きな人見つければいいのに」
「そん
4/8「さくらんぼ」 花言葉:真実の愛
「さくらんぼ」
花言葉:真実の心
「大変! あたしの彼氏ってロリコンかもしれなげふっ!」
あたしが自分の言葉を言い終わる前に、後頭部に衝撃が走った。
「って~・・・・」
頭を押さえながら真上を見上げると、そこには手刀を振り下ろした佐藤 稔(みのる)が見えた。
「ちょっと! いきなり何すんの!」
「人をロリコン呼ばわりするなよ。叩くぞ」
「もう叩いてるよ!」
「あ、あの~・・・」
あたしと稔が言
4/7「菜の花」 花言葉:前向き
「菜の花」
花言葉:前向き
「ふふふ、ゆうべはお楽しみでしたね」
「いや、その言葉の使い方は間違っているぞ」
月曜日の放課後。
先週の金曜までは一人で歩いていたこの川沿いの土手の上を歩く帰り道も、今は二人だ。
「えー! 昨日は映画行って、お買い物もして、とっても楽しかったじゃないですか!」
隣を歩く女、香菜が半歩前に進んで俺の顔を見る。
金曜まではただの部活の後輩だったこの女子も、あいつの決死