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もう大丈夫だよ(詩315字)
ここにいたんだね
ずっと ずうっーっと
気付かないでいて ごめんね
もう 大丈夫
これからは一緒だよ
1人じゃないよ
ママも一緒
トントン いるかな?
そうか
悲しくなったのだね
大丈夫
むかし、むかし、
悲しかったおもいでなんだよ
いまじゃないよ
一緒にママが好きな音楽を聴かない?
そして、一緒に歌おう
きっと、気持ちが落ち着くよ
トントン トン いるかな?
そうか
胸が痛く
変わらぬ街 3話(完結)
オレがこの仕事に就いてから半年が経つ。社長は兄である吉田不動産のおじさんと瓜二つの顔なので面接の時には笑いを堪えるのに必死だった。仕事の内容は清掃だけではないことが、分かり始めていた。【人】なのだ。どんな仕事でも人が関わらないものは無いのかもしれない。そう思うようになった。
仕事は、ゴミ屋敷の掃除からスタートした。その家によって、ゴミの量も全然違うのは当たり前だけど、天井まで積まれた部屋を目にし
ドリームキャッチャー【短編小説】
背もたれに体を預けて空っぽの部屋を見ていた。引っ越しの業者が、手際良く段ボールを運び出している。
私の荷物は案の定、少ない。
そもそも物がないんだもの。
「えーっと、指定されたお荷物は以上ですが何か他にありませんでしょうか」
帽子を取り、日に焼けた顔で聞いてくる。
優しい事に、目線まで合わせて。
「大丈夫です、搬入もよろしくお願いします。私も後から行きますので」
逞しく筋肉が付いた腕で帽子を