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スタッフJの歩み

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#コラム

東京から富山に移った今『あのこは貴族』はどう映る?

東京から富山に移った今『あのこは貴族』はどう映る?

デパート内部にある高級志向のカフェは、私をのぞいてご婦人ばかりだった。どうしても、ちょっといいスイーツと共に紅茶を飲みながら読みたい本があった。

山内マリコさん作の『あのこは貴族』。電車に揺られながら「第一章 東京(とりわけその中心の、とある階層)」を読んで、文章を追う勢いは加速するばかりだった。これは天井が高くソファがひろく紅茶がおいしい、上品なお店でめくるべき本だ、そう直観してまさにその通り

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コオロギせんべいの時代

コオロギせんべいの時代

コオロギせんべい食べない?とヒトに勧められた。何も主張しない、その辺のスナック菓子と変わらないシンプルな体裁である。行ったら“つい”何かしらを買ってしまうことで定評の、◯印良品で売られていたのだという。

なるほどもうそんな時代か。白くて少し灰色のまあるいせんべいを見て、手に取りたかったけれどでもやめた。

「甲殻類アレルギーだから、それに近い成分を含むムシも危ないと思う」
事実である。コオロギな

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Kindle出版で旅館をデジタルに放ちたい。

Kindle出版で旅館をデジタルに放ちたい。

どうも、富山市の旅館で商品開発に携わったスタッフJと申します。

今回は初めてのKindle出版に挑戦しました。紆余曲折ありましたが、その過程を共有できたら、と思ってこのnoteを執筆いたしました。簡単だよ!といえるほどカンタンではなかったような......。

↑ 完成品です!!
『Ryokan: a Japanese style inn』

販売価格は250円。Kindle Unlimited

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あの年、クリスマスマーケットで。

あの年、クリスマスマーケットで。

引っ越してきた10月、早くも富山は寒かった。家具家電も揃っていないので、薄い寝袋をフローリングに敷いて、そのまま寝た。真っ白な平面の壁は、年季が入ってその分だけ暖かみがあった。でもそれだけで。とにもかくにも寒かった。私は太平洋側で生まれ育ったのである。

しばらく経つと、祖母から小包が送られてきた。そういえば新居の住所を伝えていたかもしれなかった。小さい割に案外どっしり重かった。それもそのはずで、

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主役の白えびに代わって

主役の白えびに代わって

富山といえば白えび。
駅なかに白えび。
寿司屋に白えび。
居酒屋に白えび。
スーパーに白えび。
ポスターに白えび。

ところで私は白えびを食べたことがございません。一度エビの名がつく居酒屋さんで白い塊の乗ったネタを口に運びかけたら、すかさずそこにいた人が「それ白えびだよ!」と注意してくれたのでした。危ない、呼吸困難で救急車にお世話になるところでした。一度も食べたことがないのだからそれが白えびだとも

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