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短編小説

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夏休み

夏休み

夏には小さい頃から田舎の親戚の家へ行くのが恒例行事だった。
午前中は宿題の時間だったが、昼ご飯を食べたら虫かごと虫あみと水筒を持たされて外で遊んで来なさいと暑い中へ放り出されるのが常だった。
わたしはどちらかというと外で遊ぶより家で本を読む方が好きだったので、それに関しては毎年苦痛の夏休みだった。

それでも逃げ道というのはあるものだ。
わたしは家から放り出された後、いつもの場所へ、ポケットに文庫

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サワガニ

サワガニ

「こんなところで…」

道の先にはうすくて赤い甲羅のサワガニ
最近の強い日差しに干上がりつつもゆっくりと横歩き
だいぶ下ったところに川があるからそこから来たのだろう

「そっちに水辺はないよ」

もちろんサワガニは進み続ける
このままだと車に轢かれるか乾ききってサワガニの一生は終わるだろう
わたしはハサミで切られないようにサワガニの甲羅をそっと持って川へと歩く

「最近は暑いでしょ

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知らないでしょ

知らないでしょ

あーーーー、だるい…
朝に目が覚めて体のだるさを感じたけれど
寝れば治るだろうなんて安易に思ったわたしを殴りたい
治るどころかなんだか熱が上がってる気がする

"こりゃ病院行かないとだめなやつかなーめんどくさいなーひとり暮らしってつらいなー"

などとぶつくさ言いながらもかかりつけの病院の診察券を見ると、午後の診察受付終了時刻までもうぎりぎりだった

"やばいやばい週末サークルあるからそれまでには

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幸せな世界

※この話はフィクションです。実在の人物や団体とは一切関係ありません。
※特定の人物や組織を傷つける目的は一切ありません。
※残虐なシーンがあるので苦手な方は注意してください。
※専門的な知識は間違っている可能性があります、ご了承ください。

—病院にて

「ああ!私たち、なんていい時代に生まれたのかしら!!」

「本当だね!これで俺たちの子も健康に生まれて、将来何不自由なく幸せに暮らせるだろう

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カメラ

「ねえ!こっち向いてよ」

「いやだ、どうせまたカメラこっち向けてるんでしょ!」

「それは…そうだけど…」

僕は彼女にカメラを奪われて手持ち無沙汰
まあそのカメラは元々彼女のものなんだけれど

「ちょっと来てよ、これ!きらきらしてる!宝石見つけちゃったかも!」

「あー…それただのガラスだと思うよ、触ったら怪我しちゃうから気をつけてね」

「ちぇっ、夢のないやつ」

そう言って彼

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天井

「なんだかね、狭い部屋にいて天井を感じるの」

彼女は言った

「何をしてても、楽しくても、悲しくても天井があって窮屈なの
どんな感情もそこからはみ出ることがなくて、
あるときはわたしが天井から自分を見ているような気にすらなるの」

「急にどうしたの?」

「ごめん…わたしも上手く説明できないんだけど、今までこんなことなかったから
その、君と…繋がってるときですら幸せなはずなのに天

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言葉

「君は何につけても考えすぎてしまう節があるみたいだね。」

「そう?」

「ああ、僕は基本的に何も考えてないよ。」

「何も考えない?私の頭の中はいつでも思考がぐるぐる巡ってるわ。」

「ほら、ずっとそうしていたら気づかないうちに疲れてしまうよ。」

「そう…なのかしら…」

「もちろん考えることは悪いことではないけれど、大抵のことは何も考えなくても上手くいくものさ。」

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日常のふとしたきっかけでいとも容易く僕の思考は支配される
頭の中は映像で溢れてもう目の前なんて見えなくなる
僕は雨にうたれてずぶ濡れのまま叫んでいたり
運命の奴隷になって打ちひしがれていたり
手に入れられなかったものを思い出しては苦しんだり
そうやって溢れてくる映像にのしかかられて潰されてしまう
もうそうなったら動けない見えない
どうすれば自力で立ち上がれるのかわからなくて
何度考えても答えなんて

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夏恋

もう仲良くなってだいぶ経つ
でも完全に2人きりでどこかに行く、というのはまだだった
わざわざそういう約束をしなくても毎週会えるんだから、いや、そうだからこそわざわざそういう約束をするのが照れくさかったのかもしれない
夏が好きだと度々主張していた彼女も
同じことを考えていたのかもしれない

夏は待ってくれないんだから

僕は恥ずかしい気持ちを何とか押し込めて夏に乗り遅れないように、彼女と花火

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怪物

わたしは走っている
怪物に追いつかれないように

苦しい
足がもたつく
もう解放されたい
もう真っ直ぐな道しか見えなくなった
この重荷に耐えられない
声が出ない
視界がかすむ
怖い
押しつぶされる
いっそ死んでしまいたい
そうしたら解放されるはず

…本当にそうだろうか
もうずっと怪物から逃げている
逃げきれるのか?逃げ切った先に何が待っている?

わたしは急ブレーキをかけて振り返って叫ぶ
「かか

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