日常のふとしたきっかけでいとも容易く僕の思考は支配される
頭の中は映像で溢れてもう目の前なんて見えなくなる
僕は雨にうたれてずぶ濡れのまま叫んでいたり
運命の奴隷になって打ちひしがれていたり
手に入れられなかったものを思い出しては苦しんだり
そうやって溢れてくる映像にのしかかられて潰されてしまう
もうそうなったら動けない見えない
どうすれば自力で立ち上がれるのかわからなくて
何度考えても答えなんてわからなくてそれでも考えるしかなくて

「調子どう?」

なんて、君は僕の肩にそっと手を置く
ぱっと光が差す、足元数ミリしか見えなくなっていた僕の視界に
はっとして僕は君の顔を見る
君は僕をしっかりと立ち上がらせてくれる
いつだって僕がこうなると君は必ず来てくれて、何てことないように声をかけてくれる
ああ、また救われたな
僕も何てことないように

「ああ、行こうか。」

いつも、ありがとう。

#小説 #短編小説

ありがとうございます。サポート代はマイク等の機材費の足しに使わせていただきます。環境が整えば音声作品を投稿する予定です。