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エッセイ

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#大学

言えなかったこと。

言えなかったこと。

忘れもしない。

高校生の時、韓国語の授業があった。

その授業では、生徒は1人ずつ立って韓国語で例文を読む場面があった。

「わたしは日本人です。」

不思議だった。全員が、この例文を読まされる。

わたしは、エジプトと日本のハーフだ。

エジプト人だ。とも、日本人だ。とも言えない。

嘘ではないけど、本当でもない。

先生は、ここには日本人しかいない、と思ってるのか。

大げさに聞こえるかもし

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なんにもない。

なんにもない。

肩書きをなくした。

おじさまたちに受けがいい大学名も、

大人の人と関わるときに大目に見てもらえる権利も。

何者でもなくなってみたかった。

"える"というデータベースの上にしか存在できないのがなんだかもどかしい。

今の人生に不満は全くない。

むしろ、こんな人生を経験させてくれて、本当に感謝したい。

だからこそ、もしも真っ白になったら、何を描くだろうか。ということをやってみたい。

何者

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学生という立場

学生という立場

怖かった。

身ぐるみを剥がされた気がした。

なんにもできないわたしの、唯一の隠れみのだった「学生」という立場。

ぬくぬくとその中で好き勝手言ってたのを、急に外の世界に放り出されたみたい。

今までは、何を言っても所詮「学生」という枠の中での発言だった。

着付け講座を開いている学生

大学を辞めたい学生

好きなことで好きなように生きたい学生

あったかいところであれやこれや言ってるだけの学

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