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旅
聞耳である。今日は朝から珍しく青空が広がり、以前から行ってみたかったロンドン漱石博物館 (http://soseki.intlcafe.info/) を訪れた。夏目漱石はロンドンに1900年から約…
ひそひそ声と柔らかい沈黙
ぼくらは墓地にいる。
穏やかな風。
一面の青空。
広々とした線路沿いの土地に
立ち並ぶ十字架。
花に囲まれ、手入れの行き届いたお墓もあれば、
荒れ果てて野草に埋もれたお墓もある。
墓地を突っ切る緩やかな上り坂を
ぼくらは無言で歩いている。
子供の頃、
じいちゃんが亡くなった。
生まれて初めてのお通夜。
ひそひそ声で話す黒ずくめの大人たち。
父さんは何度話しかけても黙ったままで
母さんはぎゅうっと
ぼくの友達レイモンド
大学で待ち合わせをする。
いろんな国の学生たち。
見たことのない装い。
嗅いだことのない匂い。
行き交う人々をすり抜けて
レイモンドがやってくる。
やあ元気?と満面の笑顔のレイモンド。
元気だよ、と笑顔で答えるぼく。
司書員のレイモンドは踊るのが大好き。
バレエやヒップホップやワッキング。
舞台でも踊るし、オーディションにも挑戦している。
練習のしすぎで右ひざを痛めてしまったらしい。
少しは休ん
世界の絶えずわからない問題
リビングでテレビを見ていると
グレースがやってくる。
グレースはフラットメイトのポーランド人。
家政婦の仕事をしている。
いやな天気ね、と言って彼女はキッチンに消える。
静かな雨。
濡れたレンガ。
鳥の鳴き声。
枯れた春の昼過ぎ。
グレースはコーヒーを手にリビングに戻ってくる。
何を見ているの?と尋ねて、
ぼくの隣に座るグレース。
テレビではネクタイを締めたおじさんと
メガネをかけたおばさんが声
名前の知らない鳥と男の人の笑い声
公園にでかける。
人がいっぱい。
マラソンする人。
自転車をこぐ人。
スケートで走り回る人。
親子連れも、犬連れもたくさん。
湖のほとりを歩くと、
白鳥や鴨やアヒルが水面でゆらゆら揺れている。
名前の知らない鳥が水にもぐって餌を探している。
それをぼくらはベンチに座って眺めている。
春の日差しを浴びながら。
姿の見えない不安はどこに隠れているんだろう?
とぼくは考える。
降りそそぐ陽光の中に?
日本の樹々のための199の日本名(4)
聞耳である。今回も懲りも懲らずにサシャ・オーロラ・アクタ (Sascha Aurora Akhtar 1976-)である。引き続き難解で怪しげな内容だが、不思議な真実を語っているようで止められないサシャ・オーロラ・アクタの世界。今日また新たな手がかりを得た気がするので紹介したい。
199 Japanese Names for Japanese TreesParallel
displacement
日本の樹々のための199の日本名
聞耳である。友人の指摘で思い出したが、宮崎駿監督の原作漫画「風の谷のナウシカ」のなかで、ナウシカにオーマという名前を与えられた巨神兵が力を取り戻す、というシーンがある。オーマという名前はエフタル語で「無垢」という意味で、名前を与えられたオーマはナウシカを母のように慕い、彼女のために戦い続けるという物語であった。名前を与えるという行為は、単に社会的な行為だけではない。物理的に生命を与える行為にもなる
もっとみる日本の樹々のための199の日本名(2)
聞耳である。前回に引き続きサシャ・オーロラ・アクタの最新刊「199 Japanese Names for Japanese Trees」を紹介したい。スーフィー教に伝わるという神秘的力を有する99の名前と隠された100番目の名前。これに習い、日本の植物に新たに199個の名前を産み出すことで、世界の真実を探り出そうとするサシャ・オーロラ・アクタの詩作的試み。
彼女の詩作の真意を理解するために、フィ