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季語哀楽

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季語をテーマにした投稿まとめ。 365日が目標。
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#写真

新緑

新緑

植物が這っている建物が好きだ。
最近は人口緑化を取り入れた施設やビル群も見かけるが、自然な生命活動には、より心惹かれる。東京でも、少し住宅地へ入り込めば、怪しいくらい緑を纏った民家と出逢えたりもする。そして、その写真を撮っている人物がいるとすれば、私はその一人である。

細い手足が、器用に凹凸を捕まえている。よくよく観察すれば植物とは、毛が生えていたり、湿度があったり、大変に有機的なのだ。度を越し

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葉桜

葉桜

葉桜の月に笛吹く畳かな
原石鼎

週末の写真を少し。
緑の季節になりました。

余花

余花

平安時代以降の詩歌の中で、「花」と言えば「桜の花」のことを指す。
「余花」とは、山間部や北国で見られる遅咲きの桜のことで、「若葉の花」と同様に夏の季語になるのだ。

こんな時期に、こんなところで再び会えるとは。

余花に逢ふ再び逢ひし人のごと
高浜虚子

余花(よか)

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立夏前、四月の写真になるのですが、桜リバイバル。こちら岐阜の飛騨の方に出かけましたら、富山よりも1、2週ばかり桜

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立夏

立夏

立夏、暦の上では夏の到来だ。

先日、藤を見た。
大きく垂れ下がる立派な藤。

かの有名なガウディのサクラダファミリアは、上下にひっくり返したワイヤーで模型を作り、荷重や構造をみていたそうだ。

この藤も、もしや逆さに立ち上がるのかも。

匂い立つ。頭上の立夏、藤の城。

立夏(りっか)

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写真を撮ろうと近付けば、大勢の熊蜂にめちゃくちゃ縄張り争いされた。
小学校の通学路付近。こち

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端午

端午

みなさん、こんにちは。
KIGOです。お久しぶり?でもないか。
本日は、端午の節句、こどもの日ですね。久しぶりに長く実家に帰っておりました。でも一人暮らしに慣れると、一人の時間がないのはストレスだったりして。昨日アパートへ帰ってきて、ようやく日常に戻ってきた感じ。

人間落ちると早いもので、最近は毎日、物語を紡ぐのがちょっと難しくなっておりました。それでも、季語をきっかけに文章を書くことは、度々私

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暮春

暮春

「今年は、部屋に春が来なかった」

春の終わり、暮春(ぼしゅん)。写真は桜が散る頃なので晩春とは言えないのかも知れないが、暮れ往く春に想いを寄せる小噺をひとつ。

今の部屋に越してきて、これで六年目の春を迎えた。玄関ドアの目の前は小学校で、境界にちらほら桜が植わり、そのすぐ向こうには教室が並んでいた。
通勤の頃になると、朝の合唱が聞こえてきて、いや正確には聞こえ始めるとそろそろ家を出る時刻が迫って

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鞦韆

鞦韆

鞦韆(しゅうせん)とは、ぶらんこのことである。

私にとっての思い出のぶらんこは二つあった。
一つは学童期を過ごした地元にある、町役場の公園にあったぶらんこだ。
棒状のチェーンで出来た、繋ぎ目に腕を挟まれると痛いやつ。手なんかすぐ錆の匂いが付いたりして、それでもそのぶらんこは皆に人気の遊具であった。立漕ぎや二人乗りもそこで覚えたし、靴を飛ばしたり、いかに遠くまで飛び降りるかを競ったりなんて、やんち

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春夕焼

春夕焼

春夕焼(はるゆやけ)。
季語だからか、「ゆうやけ」ではなく「ゆやけ」と呼ぶ。
はるゆやけ。
茜色、鴇色、桃色、うすぼんやりと滲む空。

とぷん。

ぷくりと小さな泡を立てて
カクテルの海に包まれる。

リュックの中でぶつかった
ドロップで色付く空を瞳でなぞる。

足を一歩、
ちょっと遠くに踏み出せば
軽やかに音が飛んだ。

春夕焼(はるゆやけ)

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お散歩してきたよ。

……あと、毎日

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