【初めての外国人採用】vol.1 グアテマラ人留学生のハートを射止めたのは、日本人率100%のリフォーム会社だった
第1段は、埼玉県川口市に本社を置くリフォーム会社、株式会社シマックスさんにお邪魔してきました。今回、シマックスさんでは初めての外国人採用にチャレンジされ、文化の違いなどに驚かされる日々、だそうですが、メリットも沢山あったようです。本日はそのメリットや困惑したことなどを中心にお話をお伺いしてきました。
島村威圭さん(執行役員 経営管理本部 戦略企画部長)
情報システム関連の学部を卒業後、シマックスに入社。最初の仕事は学んだことを活かせる分野ではなく、リフォームのイメージを伝える際に必要なパース制作だった。同時に採用や総務などバックオフィス実務も経験。会社全体を見られるようになり、気になったのは昔ながらのチラシ配布に頼る集客方法。「もうこんな時代じゃない」そう主張し続け早6年。時代の流れも後押しし、2019年、念願叶ってIT事業部を立ち上げる。
長岡:島村さん、どうぞ宜しくお願いします!IT事業部立ち上げおめでとうございます。「IT事業部」というと、先鋭的な会社さんのイメージがありますが…
島村:全く、違いますね。6年前はただの施工会社でしたし、ITなんて儲からないって、一蹴されてました。社長はいまだにメールすら打てないんで、説得するのに長い時間がかかりました。
外国籍人材について、思っていたこと
長岡:さて、今回立ち上げ部署の最初のメンバーがグアテマラ人の留学生ということですが、もともと社内では外国籍人材の受け入れについてはどうお考えでしたか?
島村:国籍にはこだわりなかったです。僕も社長もみんな。正直に言うと政治的な軋轢がある国々だと少し悪い印象ありますけど、そうでない国については、本当に全く。
長岡:受け入れには特に不安はなかった?
島村:言語とVISAは、ありました。でもVISAは行政書士がいるし、何とかなるかな。言語は、やっぱり話せないと難しいなとは思っていました。
長岡:卒業までの期間、アルバイトとして仕事が始まっていますが、実際に一緒に働いてみてどうですか?
島村:正直、日本人より良いです(笑)
長岡:えっ!!(わたし、誘導尋問していませんよね・・・?笑)具体的には?
島村:色々ありますね。・・・
メリットその①ビジネスチャンスが広がる
島村:当たり前ですけど、バックグラウンドが違うので、僕らにはないアイディアを出してくれます。今とあるサービスを開発中なのですが、「これは観光客にもニーズがある」「こういうサービスが必要だと思う」など積極的に彼らの観点で話してくれます。僕らだけでは出なかったアイディアが沢山あります。
長岡:外国人採用のメリットとして、よく聞かれますよね。
島村:あとは彼らが今困っていることを聞くと、それもビジネスに繋がりそうなんですよ。例えば、彼ら今日本のデオドラント商品の効果の薄さに悩んでるんです(笑)
長岡:デ、デオドラントですか?(初耳…)体臭とか汗のにおいを防ぐアレですか?
島村:そうです。日本のものは彼らにとってはあんまり効かないみたいで。うちは外食産業もやっていて、外国人のお客様もいらっしゃいます。そこに海外から輸入してきたデオドラント用品置いたら一部の層からはすごい売れそうだね、なんて話しています。
メリットその②会社としての視野が広がる
島村:これは①にも通ずるものがありますが、彼らはすごく物知りです。僕は知らなかったことが多くて、本当にカルチャーショックを受けながら日々過ごしています。「そうなんだ、そうなんだ」って。
長岡:物知りというのは、彼らがより専門的なIT技術を学んでいる、ということですか?
島村:それとは違う観点です。彼らは若いですが海を越えて日本にやってきて、その間で様々なものを見てきている。彼らの友達は本当に多国籍ですし。そこで「あれいいよ」「これいいよ」って色んなものに触れて知見が深いと感じました。IT技術の高さも、もちろんあるんですけど、もっと日常的な部分にも感じています。
長岡:以前「狭い世界しか知らない人達が頭突き合わせて会議をすることほど恐ろしいことはない」と言ってた方がいました。自分が世界を知らない、という前提を認めて、様々な人達と意見を交わし合うことでも、視野は広がっていくんですね。
メリットその③お金をかけずに多言語化
島村:実は彼らから、英語も教わっています。
長岡:御社の事業形態ですと、英語は喫緊の課題ではなさそうですが…?
島村:そうなんです。だから今お金をかけてまでやることではない。でも、いずれ絶対に必要になると思っています。先進国と言われているのに日本だけ日本語しか話せないというのは不安があるじゃないですか。日本に来ているアジアの方だと、母国語、英語、日本語、と3ヶ国語とか話せちゃいますもんね。業務の空いた時間を使って、日本人従業員に教えてもらってます。
長岡:そうなんですね!彼らも役に立てることが多いのは嬉しいと思います!
外国籍人材と接してみて悩んだことは?
長岡:では逆に、大変だと思っていることや、困っていることは、ありますか?
島村:今のところ、共有物を綺麗に使うとか、オフィスを清潔に保つとか、そういう感覚の違いは感じています。ロッカーを開けっぱなしにしたりとか、ゴミ箱がいっぱいだけどそのままにしたりとか、むしろその辺にゴミ置いて帰ったりとか。
長岡:確かに日本人はあんまりゴミをオフィスの共有部において帰ることはしないかもしれない…。
島村:ただ悩んでいるのはそこではないんですよね。
長岡:…??
改めて、本当に悩んだことは…?
島村:悩んだのは、その事実を伝えるべきか否か、ってことなんです。だって彼らの普通と僕らの普通が違うのは当たり前じゃないですか。
長岡:許容すべき範囲なんじゃないか、と考えたということですか?
島村:そうです。でも、今彼らがいるのは日本で、きっとこれから色んな場面に出くわすと思うんです。僕らが今「日本ではこうやるんだよ」って教えなかったら、後からすごく大変な思いをするかもしれない。だから、気になったことはちゃんと伝えようって思いました。
長岡:……。
島村:言ってみたら、彼はとっても素直に「OK!」と言って次の日から直りました(笑)伝えられて良かったなと思いましたよ。
長岡:……。(感無量…。)
外国人採用に踏み出せない企業様へ
長岡:最後に、外国人採用を躊躇されている企業様へ、何かメッセージなどあれば頂けますか。
島村:もったいないです!今うちはまた外国籍の方がいいねって話しているくらい(笑)外国籍の皆さんって、やりたい仕事をイキイキとやれることを求めていると思います。うちはそんな高給は出せないし、すんごいハイスキルを身に付けられるわけではないけど、でもこのプロジェクト一緒にやっていきたい、っていう熱量でつながったと思います。
外国籍人材採用、本当におすすめです。
取材後記
今回お話を伺ったシマックスさん。とてもあたたかい、人を大事になさっている企業様でした。
実はこのグアテマラの留学生の彼は、他企業からも内定をもらっていました。そんな中、シマックスさんへの入社を決めたのは、こういった会社の姿勢、も大きかったようです。
今回一番驚かされたのは、島村さんが悩まれていたこと。多様性が叫ばれる中、どこまでを受け入れてどこまでを「違うよ」と言うのか。とても難しい問題だなと気付かされました。
シマックス様、ご協力ありがとうございました。