長編小説:歩きタマゴ⑩
塾の近くのマクドナルドで、ぼくとエリは参考書を広げ合っていた。エリはプレミアムコーヒーをひとつだけ買って、勉強モードへと完全に移行していた。学校帰りの勉強というシチュエーションに慣れないぼくは、がっつりセットメニューを購入してしまう。手渡されたお盆が、二人用の小さなテーブルのおよそ半分ほどを占めてしまっていた。
「でもさあ」コーヒーの飲み口をふうと口で冷ましながら、エリは言った。「勉強を教えるって言っても、私たちの通う塾は個別指導なんだから、もうできないならできないなりにな