マガジンのカバー画像

人見知りのヒトミちゃん

7
運営しているクリエイター

記事一覧

人見知りのヒトミちゃん⑦

 心理学部が主に使用しているBエリアは、この古臭い大学の中でも比較的新しい校舎が集まって…

ケノヒ
3年前
4

人見知りのヒトミちゃん⑥

 ――ブツツ。  電子回路が現実世界の雑音を変換する音が聞こえた。 「もしもし」と電話口か…

ケノヒ
3年前
3

人見知りのヒトミちゃん⑤

 ――大学構内。  すっかり桜も緑色の葉を豊かに生やして、落ちた花びらは路肩に茶色の絨毯…

ケノヒ
3年前
3

人見知りのヒトミちゃん④

 目を覚ますと、向かい側の席で人間メスが腕を組んで私を見下ろしていた。  私はいつの間に…

ケノヒ
3年前
1

人見知りのヒトミちゃん③

 ミカの世間話の内容はよく分からなかった。かろうじて理解できた話の断片を無理やり繋げると…

ケノヒ
3年前
4

人見知りのヒトミちゃん②

「その、私はあなたと世間話をしようっていうわけよ」  人間メスは言った。世間話――か。  …

ケノヒ
3年前
4

人見知りのヒトミちゃん

 目の前には、毛穴から汗のしずくが噴き出し、白濁色のまん丸な目をぎょろりと剝きだして、私たちにあーだのほーだのと吐息をかけて、ぐしゃぐしゃになったパフェを、生クリームの油でべたべたになったスプーンで不愉快にかき混ぜる哺乳類が座っていた。帰りたい。人生終わった。母に珍しく、その歳で友達がいないなんてって挑発されて、まあそれくらいならどオってことなかったんだけれど、やっぱり珍しく、私たちはちょうど居間にいて、ガラにもなくテレビなんてものを見ていたものだから、本当に運悪く、『二十歳