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同一労働同一賃金はグローバル化の余波である

大企業は2020年4月、中小企業も2021年から「同一労働同一賃金制度」が導入されます。

同一労働同一賃金制度とは基本給はもちろん賞与、福利厚生、休暇、研修に至るまで正社員や非正規などの雇用形態に関係なく業務内容に応じて対価を決める制度です。

今までは同じ仕事をしていても男性正社員のおじさんは給料が高く、パートの女性やアルバイトの若者は給料が低いのが常識でした。これからは、性別や年齢や出身地などに関係なく同じ企業や団体で働く人は前提が同じなら同じ給料がもらえることになります。

すごいことが始まりそうな勢いで書いてますが内容はごく当たり前のことです。老若男女生まれや出自に関係なく平等にということ。こんな当たり前のことが今までの日本では非常識だということに驚かされます。

日本の法律では正規雇用された人を解雇するのは簡単ではありません。先の読めない今のような時代では企業は正規雇用を拡大することをためらいます。日本が高度成長しているときは問題ありませんでした。

年功序列・終身雇用が常識だった時代には日本式の雇用形態は欧米よりも組織の一体感と従業員の強いロイヤリティとコミットメントが得られると称賛された時期もありました。

年功序列・終身雇用が常識だった時代には、若いうちは安い給料で働いても将来給料が上がり生涯賃金では満足する金額をもらえるという暗黙のルールがあったから文句を言う人はいませんでした。しかし、そのルールが崩壊して、昔就職した人は高給だが若い人は低賃金のままという状態になってしまいました。これが特定世代の既得権になっています。

大手企業では、人材の給料テーブルが年功序列制度で時代に合わない人を退職させたいと思っています。さらに、グローバルに戦える人材の報酬はグローバル基準で考えなければならず、社内の給料テーブルとは合わないので特別制度を作って採用する必要があります。なので、国内企業は45才以上は早期退職を募って、その横で新規採用は海外人材も含めてガンガンやっています。

現代は失われた30年真っ只中。経済の低空飛行が平常運転の成長なき衰退国家日本においては年功序列も終身雇用も過去の制度。取り残されたのは非正規雇用や40過ぎの超就職氷河期世代(僕もど真ん中ですが)。このような就職氷河期世代や若い世代を正規雇用と非正規雇用という断絶から救うための施策が同一労働同一賃金制度というわけです。

ただ、同一労働同一賃金制度よりも人材の流動性を高めること、つまり解雇規制を緩和するほうが効果があると思います。変化の大きい時代には人材のニーズが多様化し流動的に変化します。社会全体で人材配置の適材適所を進めていくことが重要です。たとえば、優秀な人材が大企業で特に活躍せずに埋もれてしまっているケースがあります。彼らがスタートアップに転職しイノベーティブな仕事に就くことができれば社会にとって大きなプラスになるでしょう。


さて、ここからが本題です!

相変わらず前フリが長いw

本題は、同一労働同一賃金は地球レベルで起きてるのよってことです。

我々、ガラパゴス大好き日本人はすぐ問題を国内に限定し矮小化して議論したがりますが、これは地球規模で起きているグローバル化の余波です。

すでに世界中のグローバル企業は特定の人種のおっさんだけ給料が高いとかいうわけのわからない、企業にとっても株主にとってもデメリットかつ足かせにしかならない人事制度を採用していません。理由はグローバルで戦うのにそんなのあったら負けるからですw

Googleの社長は御存知の通りインド人のサンダー・ピチャイ氏です。1972年生まれの現在47歳。2015年、グーグルの持株会社アルファベットの設立時にCEOになっていますから当時43才です。2016年の彼の報酬は1億9900万ドル(約218億円)です。

グローバルで戦う企業が経営者を特定の人種のおっさんから選んでたら必ず負ける。

会社経営でなくスポーツの世界で考えてみてもらいたい。日本人の50才以上でサッカーが好きなおっさん選抜チームと現役プロサッカー選手の世界選抜チームで試合をしたら勝負にならないでしょう?この例えがいいのかどうかももはやどうでもいいくらいに勝てないのである。

そんな試合を日本の旧体質な大企業は行っている。

AI、ブロックチェーン、データサイエンスなど世界中で引っ張りだこなスキルを持つエンジニアは年功序列にも日本の古い大企業ブランドにも価値を見いださない。テクノロジーのわからないおじさんが幅を利かせてる企業にはテクノロジーの価値のわからない寄らば大樹の陰的に企業を選ぶ将来のリストラ候補になる者しか集まってこない。ものすごいネガティブスパイラルなわけです。

このネガティブスパイラルを断ち切るにはおじさんがIT勉強して資格とるとかではなく、世界のグローバル企業がやっているように人種や年齢や性別関係なく優秀な人材を広く世界から集め、素敵なプロジェクトにアサインし、正しく評価し、リファラルで同類の人材を世界中から集めるしかありません。

さて、僕がベトナムに移住したのが2010年なので約10年前です。そのころ中国が経済成長し人件費が上がり、日本と中国の関係も悪化してきていました。チャイナプラスワンという言葉が流行りだしたころです。

システム開発も中国からベトナムに注目され始めたころでしたが、当時はベトナムのシステム開発レベルは安かろう悪かろうという評判が多声でした。

時代は流れて、今ではだいぶシステム開発におけるベトナムの地位は向上しました。もう安さを求めて来る国ではなく、日本と同じ金額を払って優秀な人材を求めてくる場所になってきていると言えます。

ちなみに今月ハノイ工科大で開催したジョブフェアでベトナム人新卒に提示された年俸で最高額は700万円です。12人が700万円の年俸で内定をもらいました。日本人の優秀層に肩を並べたと言えるかもしれません。それでもインド工科大のジョブフェアでは年俸3000万円とか4000万円という数字が出ているのでまだまだ差はあります。

インドのオンラインニュースの記事ですが、2014年の記事なのでこの記録は破られていないのかもしれません。

Oracle, a US based company and a leader in the in the field of database software for more than three decades, do not seem to let go any talent. Breaking its own record, the company has offered Rs 2.03 crore to an IIT student of Varanasi, Banaras Hindu University (BHU).
Oracleはインド工科大学バラナシ校の学生に年俸2030万ルピー(約4000万円)をオファーした。
出典: Oracle breaks its own record: offers Rs 2 cr to IIT Varanasi students

これが同一労働同一賃金の本質です。
優秀な人材を獲得するためには企業は国境を超えていきます。

さらに、サービス業や一次産業の仕事はビザの発給要件が厳しいから守られるという時代も終わるでしょう。人手不足の日本はビザを緩和して外国人労働者を受け入れる方針を発表しています。僕は外国人受け入れについては条件を整備すれば賛成派です。(それについては記事にしています

そもそもAIとロボットによって単純作業系の仕事は人間がやらなくても良くなります。

先進国に生まれたからという理由で人生が発展途上国に生まれた人よりもイージーになる時代は終わろうとしています。

そのかわり、グローバルに色々なことにチャレンジできる時代の到来です!

英語が話せる人が有利ではありますが、英語が話せない人でも今はSkypeやFacetimeのようなアプリを使って外国人と無料通話すれば簡単に英語の勉強ができます。昔、アリババのCEOのジャック・マーは観光地を自転車で走り回わり、外国人観光客を見つけて話しかけることで英語の勉強をしていたそうです。今はそんなことせずにTwitterやFacebookdeで外国人の友達を作ることができます。

今の日本人は昔のように簡単に安定した生活を得られなくなったかもしれません。高度成長期のように言われたことをしてれば、給料も経済も右肩上がりの時代でもありません。

しかし、日本はこれから貧しくなるし安定はしないけど、新しいことにチャレンジするには最高の環境です。

世界中の多くの国にビザなしで行けるパスポート、安定した強い通貨、多くの親日の友好国、失敗しても命まではとられないし、安くて安定したインターネットがあるので簡単に勉強や情報収集ができます。貧しくてスマホやインターネットがなくても無料で使える図書館がたくさんあります。

誰にでもチャレンジする機会がある素晴らしい国です。

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