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「介護について、思ったこと」⑱「介護」と「大人の発達障害」

 いつも読んでくださる方は、ありがとうございます。
 そのおかげで、こうして書き続けることができています。

 初めて、読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。

介護について、思ったこと

 このnoteは、家族介護者に向けて、もしくは介護の専門家に対して、少しでも役に立つようにと考えて、始めました。

 もし、よろしければ、他の記事にも目を通していただければ、ありがたいのですが、基本的には、現在、話題になっていることよりも、もう少し一般的な内容を伝えたいと思って、書いてきました。

 ただ、その時々で、気になることがあり、もしかしたら差し出がましいことかもしれませんが、それについて考えたことを、お伝えしようと思いました。

 よろしかったら、読んでいただければ、幸いです。

「能力」としての「S親和者」

 テレビで、2022年に亡くなった中井久夫氏の著書の特集をやっていました。お会いしたことも、直接、お話を伺う機会もありませんでしたが、精神科医として、とてもすごい方だと思っています。(そうしたことを、私が語るのも生意気だとは思いますが)。

 そして、テレビ番組を見て、久しぶりに、統合失調症に関して「S親和者」という言葉と、それが、「能力」につながる「仮説」のことを考えることができました。

 そして、それが、とてもすごい「仮説」だと思ったことと、介護に関することも思い出せました。

特徴のある介護者

 このことは、まだ個人的な体験で、また、感覚的なことで、さらには実証も難しいのですが、介護者支援に関わってきて、直接的にも、また間接的にもさまざまな家族介護者や介護者のことを知り、ある特徴を持つ方の「能力」について、気になっていました。

 これは医師の診断がされている時だけではないのですが、それでも、特徴としては、当事者の方の自己理解としても、「大人の発達障害」ではないか、と思われている方々のことです。

いつまでも終わらない時間

 家族の介護をしているときに、介護の行為に慣れたとしても、「いつ終わるか分からない介護の時間」に関しては、慣れることは難しく、その負担感はかなり重く、そしていつの間にか、介護者の気持ちにかなりのダメージを与えていることは少なくありません。

 そのことに関しての支援のためにも、心理的なサポートが必要で、そのためにも私自身は、臨床心理士公認心理師の資格をとって「介護者相談」の仕事をしていますし、ボランティアも行っています。

 そうした中で、介護者に関して、さまざまな情報に接することも多くなっています。

 その中で、ご自分でも「大人の発達障害」ではないか、と思っていて、その言動や行動から見ても、診断されるかどうかは別としても、おそらくはその傾向がある方もいらっしゃるのですが、そうした方の話を聞いて、不思議に思うことがありました。

 介護をするときに、最もやっかいな負担感である「いつまで続くか分からない負担感」が、あまり負担になっていないように感じるからでした。

「大人の発達障害」と「終わらない時間」

 ここからはあくまでも仮説ですが、「発達障害」の特性の中に、「先の見通しを立てることが難しい」があることが多く、それは、通常は不利な点として指摘されるようなことだと思います。

 ただ、その特徴が、「いつまで続くか分からない負担感」に対して、「先の見通し」が立つ人よりも、負担感を減らすことにつながる「能力」として作用しているのではないか、と思うことがあるくらい、その負担感に対しての耐性を感じることが少なくありませんでした。

 これは、もちろん、いわゆる「大人の発達障害」と言われたり、その傾向が強い人が、介護をすればいい、という話ではなくて、介護に関わる時には、現代の社会生活には、不利と言われるような特徴が、いつまで続くか分からない介護生活には、能力とも言えるのではないか、という「仮説」に過ぎません。

 それでも、この「能力」は、介護に関わる時には、有利なのは間違いないとも思っています。

「大人の発達障害」と嘘のつけなさ

 また、「大人の発達障害」と言われる人たちの、特徴として、その場にそぐわない発言をして、「空気がよめない」という言われ方もされたりします。

 このことに関して、私は「発達障害」の専門ではありませんので、詳細を語る資格はないのだと思っていますが、これは、同時に、嘘がつけない、という傾向が強いのではないか、という印象もあります。

認知症の人と、「大人の発達障害」

 認知症になった場合に、その初期には、感覚過敏になる場合もあるとも言われていますし、記憶障害の影響もあるかもしれませんが、思ったことと、言っていることが違う、といった、いわゆる「腹芸」などは、どんどん出来なくなっていくのではないでしょうか。

 少なくとも、個人的な経験に限れば、この20年の間に、関わってきた認知症の方々の特徴の一つは、嘘がつけなくなっていく、という印象でした。

 そうした場合、困窮状態にある人たちの共通点として、相手がどんな人なのか?に対して、かなり敏感になっていて、特に、認知症の方にとっては、相手が嘘をつくような人かどうか?については、かなり重要な要素だと思われます。

 もし、嘘がつけないような人が目の前にいたら、安心感につながりやすいと考えられます。

 ですので、「大人の発達障害」と診断されたり、その傾向が強いという人が、認知症の人に対応した場合に、とてもスムーズに行く可能性もある、という「仮説」も立てられるのではないでしょうか。


 これも全員に当てはまるわけでもなく、まだかなり粗い「仮説」に過ぎませんが、いわゆる「大人の発達障害」の特徴とも言われ、現代の社会生活では弱点のように語られている特徴が、認知症の人と対する時には、信頼される要素につながるような気もしますが、いかがでしょうか。

 もちろん、だからと言って、そうした特徴のある人は、介護に関わるべき、というようなことを言っているわけではありませんが、そのような視点も、介護のことを考えていく時には必要ではないか、という提案のような話です。

 これが絶対に正しいと強調もできるほど、まだ根拠は薄い話だとは思うのですが、介護の現場の方々や、「大人の発達障害」と診断されたり、ご自分でもその傾向が強いと思われる方々が、もし、読んでくださり、ご意見や疑問などがございましたら、そのことをお伝えくだされば、幸いです。

 よろしくお願いいたします。




(他にも、介護のことをいろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。






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