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「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」⑭「体を動かす」。

 家族介護者の方にとっては、介護が始まってから、いつ終わりが来るか分からない毎日が続いているかと思います。

 介護を受けている方(要介護者)が、できたら、いつまでも生きて欲しい、という気持ちと、同時に、介護が終わってくれないだろうか、という思いは、矛盾せず、どちらも起こってくることだとも思います。

 ただ、そうした両方の思いによって、ご自分を責められたりすることで、より疲労感が増すかもしれません。さらに、今は、それに加えて、コロナウイルス感染症のことで、さらに、負担が増えている可能性も高いのでは、と思っています。

 その気持ちの状態は、単純ではなく、説明しがたい大変さではないかと推察することしかできないのですが、それでも、ほんの少しでも負担感や、ストレスを減らせるかもしれない方法は、お伝えする努力はしていきたいと考えています。

 時間的にも余裕がなく、どこかへ出かけることも出来ない場合がほとんどだと思いますが、この「介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」シリーズでは、お金も時間も手間もなるべくかけずに、少しでも気持ちを楽にする方法を考えていきたいと思います。

 もし気が向いたら、試してみてもらえたら、幸いです。

自己紹介

 私は、臨床心理士/公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。家族介護者の心理的支援を仕事にしています。いつも読んでくださる方には、繰り返しになり、申し訳ないのですが、私も家族の介護をしていた時期があります。

 その時間の中で、家族介護者の方の、こころのサポートが必要だと考え、臨床心理士になりました。その後、公認心理師の資格も取得しました。

 このnoteの記事も、できたら、家族介護者のために、少しでもお役に立てれば、と始めて、続けています。

体を動かすこと

介護の大変さを、少しでもやわらげる方法」シリーズは、14回目になりますが、今回は「体を動かすこと」です。

 ここまで、このテーマに関しては、介護をされている方にとっては、ややハードルが高いのではないか、という気持ちでいました。

 それは、勝手な推察で失礼かもしれませんが、実際に介護をしている時には、目を離すような余裕はなく、もしくはデイサービスなどで、要介護者の方(介護が必要なご家族)が家にいらっしゃらない時は、少しでも体を休めたい気持ちの方が、おそらく強く、体を動かすこと自体が苦痛になってしまうのではないか、と思っていたからです。

 ただ、介護生活が長くなり、少しでも慣れてきて、例えば、デイサービスなどの時間に、何かできるのではないか、といった気持ちになっていらっしゃる場合には、少し試していただきたいのが、「体を動かすこと」です。

過去に「運動経験」がある場合

 ただ、「体を動かすこと」を始めたいとして、何をしたらいいのか分からない、という場合がほとんどだと思います。

 過去に運動の経験がある方であれば、その時にしていた、いわゆる「筋トレ」など、室内でできることに取り組まれてもいいのではないかと思います。

 その時に、注意していただきたいのは、以前運動していた方ほど、体に自信がある方が多いとは思うのですが、急に「筋トレ」などを始めると、怪我をしてしまうことも少なくありません。そこは、気をつけていただき、準備運動も含めて、少しずつ取り組んでいただければ、と思います。

「体を動かすこと」の利点

「体を動かすこと」のいい点は、健康増進といった部分も大きいですが、運動をしている時間は、たとえ短くても、無理なくベストを尽くすようなことをすると、その時だけは、意識が運動に集中することだと思っています。

 介護者は、ずっと介護のことから意識が離れることが難しく、おおげさでなく、24時間、濃度の変化はあるにしても、集中していることになりますが、そのことが、気持ちへの負担になっているのだと思います。

 ですから、「体を動かすこと」によって、運動以外のことが考えられないような状況にして、わずかな時間でも強制的に「介護のことから意識を離す」という作用があると思います。

 そのことで、わずかでも気持ちの負担感を減らすことが出来ると考えられますので、できれば、「体を動かすこと」に取り組む時間があれば、と思います。

 本当に数分で構わないので、無理なく、少しずつ始めていただければ、健康のためにもプラスになっていくと考えられます。

運動の経験がない場合

 スポーツや運動そのものの経験がなく、どちらかといえば苦手だったり嫌いだっりする場合は、無理に運動をする必要がないと思います。

 ただ、ずっと意識が介護に向いている介護者の場合、運動をすることによって、強制的にでも、少しの間だけでも、気分転換ができる運動は、できたら試していただきたい、と微妙に諦め難いような思いもあります。押し付けがましくて、すみませんが。

 そんな「運動が苦手な方」に、もしよろしかったら、読んでいただきたい本があります。

 現在では、かなりマッチョなイメージが定着している芸能人の本ですし、表紙も好みが分かれると思います。

 ただ、そうした表面的なイメージよりも、地道な内容で、しかも自伝的な要素が強い書籍です。実は、運動が苦手な方こそ、読んで欲しい本でもあります。

 若い時に人気が出て忙しくなり、そのうちに体調を崩し、元々、体を動かすのが得意ではないのだけど、そこから、少しずつ体を動かすことを覚えて、心身ともに回復していく話です。

 その中で、最初に著者が取り組み始めることが、「なわとび」です。

 詳細は、この書籍で確かめていただきいのですが、家に「なわとび」がある場合は、わずかな時間で、小さなスペースで始められますし、両足でジャンプするので、場合によっては、ジョギングなどよりもヒザへの負担が少ない可能性がある、という指摘は新鮮でした。

 「なわとび」は、私も始めてみて、最初に感じるのは、びっくりするくらい体が重く感じること。そして、本当に10回くらい跳んでも、思った以上に疲れること。それ以上に、かつて子供時代には、あれだけ数を跳べたのが、すぐに引っかかってしまうことです。(おそらく長く運動していない方。もしくはずっと苦手だった方でも、同じように感じられると思います)。

 「なわとび」をする前に、十分に準備運動をすることは、本当に気をつけていただきたいのですが、「なわとび」をしていると、その間は、跳んでいることだけに意識が集中できて、いつも気になっている介護のことを、その短い時間だけでも、完全に忘れられる可能性があります。

 そうなれば、気持ちの負担感が、少しでもやわらぐと思います。

 もし、よろしかったら、ケガには十分に気をつけて、試してみてはいかがでしょうか。

手首を鍛える

 武田信治氏の著者では「なわとび」の後に、本格的なトレーニングにつながっていくのですが、介護をされている方は、時間的にも、そこまで取り組むのは難しいかと思います。

 「なわとび」をするのも、外に行かなくてはいけないし、やっぱりおっくうな場合、それでも、何かしらの運動をする気持ちがあるのでしたら、手首を鍛える、という方法もあります。

 おなじみのトレーニング器具↑で、一度は目にしたことがあると思います。

 自信がない方は、20キロくらいから。もう少しと思われる方は、30キロくらいから始められるのが、いいのかもしれません。(もし、取り組まれる時は、ホームセンターなどで実際に試して、ちょっときついくらいからスタートされるのが確実かと思います)。

 これに取り組んでいるときは、短い時間ですが、少なくとも、そのことに集中できます。そして、中年以降になっても、トニーニングをすることによって、手首の力は上がるようです。私も、40歳を超えてから、介護の際に必要と思い、最初は30キロが限界だったのが、50キロまでは上がりました。(最初の力がないので、成人平均になった感じです)。

 握る力は、身体介護の際は、必ず使うので、その負担を、少しでも減らせるかもしれません。

腹筋や背筋

 これは、あくまでも個人的なことですが、介護を始めた頃、身体介護をしていたときに、腰を痛めたことがあります。整形外科などに行ったときに、腹筋を鍛えるような動きも指示されて、それから、「筋トレ」をするようになりました。

 特に、腹筋や背筋を鍛えるようなトレーニングをすると、身体介護で腰などを痛めるリスクは減るかもしれません。

 大事なことは、準備運動をすること。絶対に無理をしないこと。出来るだけ正しい方法で取り組むことだと思います。さらには、トレーニングの方法は、何年かに一回は、方法が「新しく」なるような印象があるので、最新の情報を得た方が良さそうです。


 (こうした専門雑誌↓はバックナンバーもありますので、もし、興味があれば、ご自分にあった「特集」の号を購入したり、図書館などで借りたり、ということも有効だと思います。)。


 今回は、以上です。

 もし、こうした方法で負担感が減らなかったら申し訳ありません。よろしかったら、他の方法も、気が向いた時に試していただければ、幸いです。



(他にも、いろいろと介護のことを書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。




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