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介護の言葉㉜第二の子育て

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 初めて、読んでくださっている方は、見つけていただき、ありがとうございます。
 私は、臨床心理士・公認心理師越智誠(おちまこと)と申します。


「介護の言葉」

 この「介護の言葉」シリーズでは、介護の現場で使われたり、また、家族介護者や介護を考える上で必要で重要な「言葉」について、改めて考えていきたいと思います。

 時には、介護について直接関係ないと思われるような言葉でも、これから介護のことを考える場合に、必要であれば、その言葉について考えていきたいとも思っています。

 今回は、以前はよく聞いた記憶があるのですが、最近、少し目にしなくなりながらも、気になっていた言葉のことを考えたいと思います。

第二の子育て

 今はあまり言われなくなりましたが、以前、介護に関わる場所-----それも、直接的に関わっているというよりは、介護をしている人に対してかけられる言葉として、「第二の子育て」という単語をよく聞いたような気がします。

 私自身には子どもはいませんので、そうした表現を聞くたびに、微妙にもやもやしながらも、子育ての経験がある方に言われてしまえば、そうなのかもしれない、と思うしかありませんでした。

 ただ、子育ての大変さは知らないのですが、小さい子どもが可愛かったり、何より成長していく存在を育てるのは、やはり喜び、というか、やりがいがあるのではないか、などと思ってしまったのは、その頃は自分も妻と一緒に介護をしていていたからだと思います。

 母親と、妻の母を介護していたのですが、毎日のように目に見えて衰えていくことは少なくても、確実に衰えていっていることは確かでしたし、いくら全力で介護をしても、下り坂を下っているような気がしていました。

 だから、もちろん一括りにはできませんが、これから成長していく子どもをケアするのは、上り坂のケアだと思っていたので、下り坂のケアである高齢者の介護とは、かなり違うのではないかと思ってもいました。

 それに、親には世話になったとはいえ、かわいいとは思えませんでした。さらには、高齢になったとはいえ「大人」なので体も大きく、体重もあり、あまり動けなくなってきたら、車イスへの移乗でも排泄介助でも力がいります。もちろん、負担をかけない方法などは見たり聞いたりしましたが、それでも小さい子どもではないのですから重さを感じていました。

 介護の当初は腰を痛めたりしたこともあったのですが、そうしたことに対しては慣れてくるものですし、介護を継続くすために筋トレをするようになったせいもあり、だんだん体の方は大丈夫になっていました。

 それでも、第二の子育て、という言葉には割り切れないものを感じていました。

子育てと介護の違い

 介護をしているうちにさまざまな方々と知り合うようになり、子育ても経験し、介護も続けていらっしゃる方々と話すようにもなり、どうやら、そうした方々の間での「常識」のようなことも知るようになりました。

 子育てと介護の違いについても、教えてもらいました。

 子育ては、大変でもあるけれど、例えば先に子育てを経験している方からの話がとても参考になる。あと半年経てば、こう変わる。今はすごく大変だとは思うけれど、その期間は、これくらい続くけれど、そのあとは楽になるから、それまでの我慢。そんな話を聞いて、確かに、その通りになったりすると、先が見えるようになるから、そのことで気持ちは少し楽になる。

 だけど、介護はそうはいかない。今の大変さがいつまで続くのか分からない。たとえ、介護を経験していたとしても、その状況が同じだったりすることはない。だから、アドバイスをするのもされるのも難しい。

 さらには、基本的には、介護はいつまで続くか分からない。3年かもしれないし、5年かもしれないし、10年先も終わらないかもしれない。そのいつまで続くか分からないのが慣れないし、最も大変なことだと思う。子育ては大変だとしても、その時期は終わりが来る。介護にはそれがないのが、辛いのだと思っている。

 特定の誰か、というのではなく、同じように子育てと介護の両方を経験された方々は、こうした共通することをおっしゃっていて、こうした言葉には納得感がありました。

 いつまで続くか分からない。

 それがとても辛いのが、自分だけではなかったんだと思えたのは、ある意味ではありがたいことでした。それは、『夜と霧』を読んだときにも感じたことでした。

 そして、子育てと介護の両方を経験された方々は、第二の子育て、という表現は使うことはなかった、と記憶しています。

 さらには、第二の子育て、という言葉を聞いた時に感じたモヤモヤは、この「介護と子育ての違い」について、触れられていなかったから、だと思いました。

 この「いつまで続くか分からない」というのは、介護の負担感を考える上で、とても重要なことだとも思っています。

 今回は以上です。



(他にも介護のことをいろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでくださると、ありがたく思います)。



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