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自らの生のスタイルに住まうことのくつろぎ:自分のものとして所有することのできないもの(アガンベン『身体の使用』読書メモ)
言葉がうまくでてこない。どんなに言い換えてみても、自分の言葉が自分の表現したいものを言い表してしないように感じる。そのような悪戦苦闘は言葉を大切に生きている者であれば誰もが感じることだろう。
アガンベンは、《言語を操って自分のものにすることを務めとしている者たちーー詩人ーー》は《言語を自分のものにすることを追い求めているが、それは同じ程度に自分のものでなくすことでもある》と語っている。言語を自分
『マネジメントの神話』(マシュー・スチュワート
コンサルティング・ファームが提供している価値は虚構なのか。この問いを考えたい場合は、マシュー・スチュワートの『マネジメントの神話』を読むと良い。マシュー・スチュワートは、オックスフォード大学で哲学の博士号を取得したあと、コンサルティング・ファームに転身した、変わったキャリアをもっている。
それゆえに、「経営(マネジメント)」や「戦略」といった言葉に違った光を投げかけていることが面白い。スチュワー
『戦略の要諦』(リチャード・P・ルメルト)
ビジネスの世界では「戦略」という言葉が好きな人が多い。しかしほとんどの場合、「戦略」という言葉を使うことで何を言いたいのかは異なっていることがある。本書は「戦略」とは何であるかを語ると同時に、いや、それ以上に「戦略」とは何ではないかを語っている点が興味深い。
戦略はゴール(目標)設定ではない 組織の戦略を立てようと集まった面々が、まずは5年後に達成するゴールを決めようと対話している姿は、誰もが創
資本主義の歴史(ユルゲン・コッカ)
ユルゲン・コッカは、1941年生まれのドイツ人であり、ドイツ近現代史の大家である。『資本主義の歴史』は、中国とアラビアを前史とした商業資本主義から、現代の金融資本主義まで、「資本主義の通史」をコンパクトにまとめている名著である。読後、印象に残ったのは「資本主義という概念は、相違を表す言葉として始まった」という命題と、「資本主義に代わるオルタナティブないが、資本主義には多様なバージョンがありうる」と
もっとみる努力しない興味は「興味」と呼べるのか?|デューイ『民主主義と教育』(10章: 興味と克己 Interest and Discipline)
近年、教育現場では「興味・関心」という言葉が、一つのバズワードになっている。例えば、文部科学省・中央教育審議会の「令和の日本型学校教育」という答申には、「興味」という言葉が97回も出てくる。また、経済産業省の「未来の教室」が示すビジョンにおいても、「ワクワク」との出会いを重視しており、提言の中では「興味関心」という語が頻繁に使われている。
しかし、こうした答申や提言を読んでも、興味・関心とは一体
①決断の前に何度か考えよ、②指摘を素直に受け取れないのは危険信号、③”いま”ご褒美がもらえる仕組みをつくれ -- 「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」の読書ノート
この記事は、ターリ・シャーロット『事実はなぜ人の意見を変えられないのか -- 説得力と影響力の科学 -- 』の読書ノートである。私が受け取ったことは必ずしもSharotが言おうとしていたことと一致していないので、気になった方はぜひ原著をお読みください。
①決断の前に何度か考えよ私は、大事な決断をするとき、那須高原に行って、何日間かこもって考えることにしている。第一に、心理学徒として、大切な決断を