42歳、新しい自分になりたくて|第1話
独身、住宅ローンあり。先のことは未定。必ず次を決めてから転職してきたのに、この時は、なぜか導かれるように辞めてしまった。
結局、不思議な体験の末、47歳にして大学で神道を学ぶことになる。この顛末を「早期退職の理由は、神様が教えてくれた」という連載で書いた。
普通のサラリーマンだった私の人生が、大きく変わったのである。
だが、いま思えば、はじまりは42歳の時だった。
「新しい自分になりたい」
その一心で、心と身体のデトックスに励んだ日々。その結果、思いがけない変化が起きていたのだ。
自分を変えようと、もがき苦しんだ時間。それが、私の人生を変える大きなきっかけとなった。
この連載では、いま同じ気持ちを抱いている方に、少しでもお役に立つことを信じて、私の体験を書いていく。
40代独身サラリーマンの憂鬱
41歳の時。私はなぜか憂鬱だった。
当時は大企業の課長。仕事は忙しかったが、存分な給料を貰っていた。欲しいと思うものを気兼ねなく買い、旅行にも好きなように行ける生活。
1年前には、都心にマンションも買っていた。独身だが、私を理解してくれる家族や友人がいる。新しい家で、自由な生活を謳歌していた。
だが、恵まれていると頭では思うのに、どこか満たされない。このまま年を取るのかと思うと、なぜか虚しいのだ。
「与えられたものを、生かし切れていない」
その思いが、時折わいてくる。
やりたいことが特にあるわけではない。それなのに、使命を果たしていないような気持ちになる。
「このままの自分では嫌だ」
そう思いながらも、なぜなのか分からないまま、時は過ぎた。
だが、41歳の秋、衝撃的なことが起こる。思いがけないことに、その出来事は、私の人生の分岐点となるのである。
メタボ健診に引っかかる
当時の私は、今よりも10キロ以上、太っていた。
もともと太りやすい体質なのもあり、暴飲暴食には気をつけてきた。だが、社会人になって20年程が経つ中で、少しずつ体重が増えたのだ。
その割に切迫感はなかった。健康的な食事をしているという自負があったのかもしれない。
一方で、数年前から、原因不明の症状に悩まされていた。
月に1〜2回、突然左半身がしびれ、朝起きられなくなるのだ。体調不良で会社を休む日が年々増えていた。
いつも何となく体調が悪い。だが、理由がわからず、年齢のせいにするだけの日々。
そんなある秋の日のこと。私はついに、メタボ健診に引っかかった。
会社の健康管理センターの方に、春に再診を受けるよう通達される。「また引っかかったら、今度は研修を受けてもらいます」と言われた。
青天の霹靂である。
隣の部の部長さん
私には、入社以来仲良くしていた、隣の部の部長さんがいた。
年齢は8つ上。メタボ研修の常連である。
さまざまなストレスを抱え、「食べ物ぐらい、好きに食べさせろ」が口癖だった。
彼は、研修は生活指導の他に体操を習うのだと教えてくれた。何人か集められて行われるのだという。
中年太りのおじ様たちと共に、メタボ対策の体操をする。その姿を想像して、私の心に火がついた。
「絶対に痩せる」
この決意が、その後、私を思いもよらない方向へ導くことになる。
つづく
写真:本田織恵
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