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早期退職の理由は、神様が教えてくれた

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45歳独身女性が先を決めずに早期退職したら、不思議な体験をして、自分の使命に気づく話です。「神道と幸せ」がテーマ。
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早期退職の理由は、神様が教えてくれた

初めまして。40代独身女性が、何も考えずに会社を辞めたらどうなるのか。私の場合、思いがけない人生が待っていました。 私は、45歳の時、会社に早期退職を願い出ました。独身。ローンあり。やりたいことは特になし。大企業の課長でした。 なぜ辞めたいのか、自分でもよくわからない。ただ、定年まであと15年勤めるイメージが持てない。その気持ちだけでした。 上司に理由を問われ、「新しい恋人が出来たわけでも、今の恋人に不満があるわけでもない。でも、この人とは一緒にいられない。そんな感じな

早期退職の思いは、ある日突然やってきた|第1話

45歳で早期退職願を出してから、紆余曲折の末、大学で神道を学ぶまでを書くことにした。経緯はこちらに書いたとおりである。 よく考えると、いたって個人的な話だ。 だが、この間に私は思いがけない体験をいくつもした。その結果、「神道で幸せになれる」「そのことを伝える人になりたい」という謎の使命感を持つようになったのである。 誰からも、なぜと言われる、この変化。 神職でもない私が「神道とは」と語るよりも、この体験を話した方が、よほど魅力が伝わるのではないか。 そう信じて、書き

インド瞑想3週間の旅で、人生が変わる|第2話

謎の声に導かれ、早期退職なんて考えたこともなかったのに、とにかく会社を辞めることにした私(第1話)。 6月に早期退職願いを出してから1ヶ月あまり。なんとか正式に承認された。 会社には、早期退職金を月給でもらいながら休暇期間を過ごす制度があった。 1年後、残りを受け取って正式に退職する。 在籍中のていで、就活できるようにとの配慮なのだと思う(たぶん)。なにしろノープランなので、ありがたくその制度を使うことにした。 10月から休暇がはじまる。しばらくはのんびり過ごして、羽

山伏との出会い|第3話

人生が変わる。この殺し文句をきっかけに、インド瞑想3週間の旅に出た私(第2話)。 人里離れた異国の地での、仙人のような日々。帰国後も、その後遺症があった。 街の音がやたら大きく感じる。すぐに疲れる。違う星に降り立ってしまったような感覚があった。 生産的なことは何もできない状態。だが、幸い無職なひとり暮らしなので、思う存分ぼんやりとしていた。 そんなある日、友人と夜ごはんを食べることになった。ひとしきり話に花が咲いた後。彼女は言った。 「私のカイロの先生が山伏になって

神様に呼ばれたひと|第4話

思いがけず、山伏の方とご近所づきあいをするようになった私(第3話)。 山伏・佐藤さんに、修行をはじめた理由を聞いたら、驚きの話が飛び出した。 ***** 5年前の1月28日に八幡様へ行ったら、「助けてー助けてー」っていう声が聞こえたの。 「えっ?誰??」って聞いたら、「助けてくれー。地球を救ってほしい」と言われて。 「だから、誰???」って聞いたら、「お前は今どこにいるんだ」。 「八幡様ですけど???」って答えたら、「だったら、わかるだろ」。 「なにそれ??もし

神の島・久高島の不思議なツアー|第5話

山伏・佐藤さんが、神様に呼ばれて修行をはじめたのだと聞いた私(第4話)。 神様の言葉をきっかけに、世界平和という、壮大な目標に向かって修行する。その真っ直ぐな思いに圧倒されていた。 かたや私は、情けないことに、自分の身の振り方で頭がいっぱいだった。 早期退職願いを出してから、導かれるようにインドへ行き、山伏と出会った。だが、年が明けても、今後のことは何も決まっていない。 再就職をするなら、少なくとも4月ごろから活動をはじめねば。でも、その前に、どうして会社を辞めること

神の島・久高島のこぼれ話|第5話番外編

第5話では、神の島・久高島で不思議な体験をした話(前編)を書いた。 この回は、いつもより執筆に時間がかかった。ガイドの方が禁じられていることをした場面が登場するからだ。 どこまで書くべきか。彼女が特定できない書き方はないか。悩んだが、欠くことができない出来事のため、ほぼすべてを書いてしまった。 なので、番外編でフォローしたい。 私は、昨年の初めに久高島へ行った。初めて行ってから3年後のことである。 その時、彼女が入れてくれた御嶽へ感謝のご挨拶に行った。外に出ると、偶

早期退職の理由は、神様が教えてくれた|第6話

神の島・久高島で観光ツアーに参加したはずが、スピリチュアル・レッスンのような展開になり、戸惑う私(第5話) 最後に、久高島で最も重要な聖地のひとつである、神聖な浜に案内された。 海岸と言うよりは御神域のような、清浄な空気が流れる場所。曇り空の下、ガイドの方とふたり。突然、彼女は言った。 「あなたは、神様事(ごと)を伝えて、困っている方を助ける人になるんじゃないですか」 ……… ……… ……… 神様事って??? 戸惑いは最高潮に達した。だが、私はなぜか、こう答えてい

変わっていく自分|第7話

久高島の御嶽で「神様の言葉がわかるようにならないとね」と言われ、呆然とする私(第6話) 不思議なツアーから始まった濃密な1日を終え、ふらふらと島の食堂に出かけた。昨晩食べておいしかった、もずくと白身魚の天ぷらを頼む。 すると、今日は白身魚を切らしているらしく、鶏肉の天ぷらが出てきた。何の気なしに口に運ぶ。 だが、次の瞬間、気持ち悪くて吐いてしまった。 お昼に豚の角煮を食べた時は、こんなことはなかったのに。疲れているのだろうか。不思議に思いながら、食堂を後にした。 だ

神様へのご挨拶|第8話

久高島での不思議な体験以来、自分が変わっていくのに戸惑う私(第7話)。 神様に呼ばれた体験を持つ山伏・佐藤さんのご自宅へ伺う。私は堰を切ったように話をした。 久高島で、ツアーガイドの方に、島の神女(かみんちゅ)しか入れない御嶽に案内されたこと。 別の御嶽の前で、突然彼女が息絶え絶えになり、「あなたといると頭がピリピリする」と言われたこと。 最後に「あなたは、神様事を伝えて、困っている方を助ける人になる」と言われたこと。 御嶽の神様に、そのために何をしたら良いか尋ねた

迷える私が氏神様で拾ったもの|第9話

山伏・佐藤さんから、山の神様にご挨拶に行こうと誘われた私(第8話)。 行くと返事ができないまま、1ヶ月ほどが経った。 この頃の私は、沸き起こる様々な気持ちを処理し切れず、不安定な状態に陥っていた。 神様事という、考えてもいなかった道に心惹かれる気持ち。私に何ができるのかと疑う気持ち。 いっそのこと、もっとはっきり霊感がつけば、迷わずに済むのにという気持ち。 一方で、早く仕事を見つけなければと焦る気持ち。家族に心配をかけたくない気持ち。 挙げれば切りがない。 相反

伝説の山伏との出会い|第10話

氏神様で何かに憑かれたのを機に、観念して八海山に登ることを決めた私(第9話) 7月1日に行われる御山開きの祭事に参列した後、八海山尊神社が主催する登拝(とうはい)に参加することが決まった。 登拝は、毎年3回、八海山の開山・閉山に合わせて行われる。山の神々に参拝するため、神職や山伏の方達と一緒に山を登らせていただく。 八海山は古くから山岳信仰の霊場として栄えた、山伏が修行する山だ。 山頂付近には、八ツ峰(やつみね)と呼ばれる8つの岩峰がある。垂直に切り立った断崖絶壁を、

伝説の山伏と、山の神様に会いに行く|第11話

7月初、山の神様にご挨拶するため、八海山の麓の社務所に前泊した私(第10話) 翌朝、慌ただしく出発の準備をしていると、伝説の山伏・月岡先達に呼び止められた。 縁側にふたりで座る。すると先達は、突然、無言で私の手を取った。手元をじっと見つめている。 何の説明もない。静かな時が流れた。 しばらくして、微かな声で「はい」と言うと、手を離した。そのまま立ち上がり、何事もなかったかのように行ってしまった。 だが、不思議なことに、ざわついていた心が鎮まり、緊張が消えた。 初め

生きるのも死ぬのも、神様次第|第12話

8月末、山の神様にご挨拶するため、二度目の登拝に臨んだ私(第11話) 山小屋で昼食を済ませ、ついに八ツ峰(やつみね)に登る時が来た。山小屋に残る方の見送りを受けて、本当に登るのだと実感が湧いてきた。 八ツ峰は、八海山の山頂部にある8つの岩峰の総称だ。垂直に切り立った断崖絶壁であり、鎖や梯子を使わなければ登れない箇所が連続する。 古くから山伏が修行してきた霊峰の核心部だ。 通常の登山なら上級者しか登らない。初心者の私が登るのは考えられないことだ。登拝では、8つの峰をすべ