インド瞑想3週間の旅で、人生が変わる|第2話
謎の声に導かれ、早期退職なんて考えたこともなかったのに、とにかく会社を辞めることにした私(第1話)。
6月に早期退職願いを出してから1ヶ月あまり。なんとか正式に承認された。
会社には、早期退職金を月給でもらいながら休暇期間を過ごす制度があった。 1年後、残りを受け取って正式に退職する。
在籍中のていで、就活できるようにとの配慮なのだと思う(たぶん)。なにしろノープランなので、ありがたくその制度を使うことにした。
10月から休暇がはじまる。しばらくはのんびり過ごして、羽を休めたら、3月か4月ごろには、結局就活するのだろう。
そう思っていたのだが。
引き継ぎの日々で、疲れがピークだった8月。夏休みに那須へ出かけた。3年前に瞑想をはじめてから、たまに行っていた宿だ(瞑想をはじめた理由は、別の機会に書く)。
静かな環境。アーユルヴェーダにもとづいた、おいしい菜食。うっとりするオイルマッサージ。
瞑想の先生とごはんを食べながら、「会社を辞めることにしました。10月から無職です」とお話したら。
「あらー、じゃあ、私たちと一緒にインドに行かない?9月の下旬から10月の半ばまで」
…と、思わぬお誘いをうけた。
伺うと、3週間、ひたすらヴェーダの吟唱を聴くか、瞑想するかの日々を過ごすのだという。
ヴェーダの吟唱(詠唱)は、聖職者が神への言葉を捧げるもの。音に意味があり、霊力を持つとされる。インド版の祝詞とでもいおうか。
長い伝統を持ち、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている。その期間は、特別な吟唱が行われるという。
インドに行って、そのようなものを聴き、1日中瞑想するのか。1週間ならまだしも、3週間とは。そんな生活、なかなか想像がつかない。
たしかに羽は休められそうだが、 唐突な話ではある。9月いっぱい働くことにしていたので、最終出社日を早める必要もある。
「考えてみます」と言ったものの、現実味はなかった。
ところが、帰りの新幹線。指定席に座ると、となりに見覚えのある顔があった。宿で見かけた方だ。インドの話をすると、自分も行ったことがあるという。彼女は言った。
「あなた絶対に行くべきよ!その期間に行けるひとは限られている。人生が変わるわよ!」
人生が変わる…?
先のことが白紙の私は、いま思えば、人生を打開してくれるものに飢えていた。こんな偶然、そうそうないんじゃないか。
よく考えると、なんの根拠もない。なんなら、眉ツバものの話だ。なのに、頭のなかでは、すでにビザの手続きのことを考えていた。
いつもの自分とは別の自分がいる感覚。直感が支配する状態。
こうして、早期退職につづき、謎の導きでインド瞑想3週間の旅に向かった。
そして、この旅のあと、たしかに人生を変える出会いが待っていたのである。
つづく
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