健康的に生きているはずなのに|第2話
「このままの自分では嫌だ」と思いながら過ごしていた、41歳の秋。メタボ健診に引っかかり、絶対に痩せると心に誓った私(第1話)
また春の再診に引っかかると、メタボなおじ様たちと一緒に、研修を受ける羽目になる。それを何とか避けるため、3キロ減らすことに決めた。
会社の健康管理センターの方が、それくらい痩せれば通過できると言っていたからだ。
私は、元来、太りやすく痩せにくい体質である。1キロ痩せるのも大変なのに3キロかと不安になる。だが、そんなことは言っていられない。
その日の会社帰り。私は駅ビルの大きな書店に向かった。ダイエットの方法を決めるためである。
健康的に生きているはずなのに
当時、朝・晩は自炊中心、昼は社員食堂で食べていた。肉か魚と多くの野菜。ご飯は1膳。麺・パンは時々。いわゆる栄養バランスの取れた食事だ。
お菓子は、人にもらえば食べるが、自分ではたまにしか買わない。スナック菓子、ジュースは滅多にとらず、飲み物に砂糖は入れない。
太りやすい体質のため、中学生の頃から、カロリーを取りすぎないよう気をつけてきたのだ。
お酒もそんなに飲めない。ワインを開けても飲み切れず、2〜3回かけてようやく空になる位だ。外食も月に数えるほど。喫煙経験はなし。
自分の食生活に問題があるとは思えない。それが正直な気持ちだった。
一方で、特別な運動はしていなかった。だが、通勤で毎日40〜50分は歩き、時には一つ手前の駅で降りて歩く。休日には長めの散歩もしていた。
健康的に生きているはずなのに、これ以上何をしたら良いのか。
途方に暮れた私は、ダイエットの方法を求めて、広い店内をさまよった。
糖質制限ダイエットへの挑戦
この頃は、糖質制限ダイエットが注目され始めていた。この書店にも関連の本がたくさん並んでいる。何冊か手にとってみた。
お米など主食も含めて糖質はできるだけ抑える。そのことで、脂肪が消費されやすくなる。
一方で、たんぱく質や脂質は気にせず食べられる。カロリーもあまり気にしなくて良い。大体そう書いてあった。
お菓子はともかく、ご飯もパンも麺類も食べられないなんて。初めはそう思った。
だが、仕事が忙しく、お弁当を作ったり、ジムやプールに通ったりするのは難しいという気持ちもあった。できれば時間のかからない方法がいい。
「糖質を控えるだけなのは、もしかしたら簡単かもしれない」
そう思った私は、まずは主食をとるのは止め、お菓子も食べないことに決めた。
いま思えば、この決断の背景には、
「40代の私は、もう健康的な生活を送るだけでは痩せられない」
という悲痛な気持ちがあった。年齢のせいにしていたのである。
糖質制限ダイエットへの挑戦。この体験は、のちに、重要な人生の教訓を私へ与えることになる。
つづく
写真:本田織恵
フォロワーの皆さまとのお茶代にいたします。ぜひお話ししましょう!