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【Netflix】「残灰に」意外な結末! いろいろ意外なサウジの映画

【概略】

残灰に From the Ashes
2024 | 年齢制限:13+ | 1時間 32分 | ヒューマンドラマ

厳格な女子校で発生した不審火は、瞬く間に燃え広がり、大惨事に発展する。果たしてそれは事故だったのか、それとも放火か。

出演:アルシャイマ・タイブ、カリア・アブ・ラバン、アドワ・ファハド

予告編(日本語版)

予告編(英語正式版)


【評価】(ネタバレなし)


Netflixは、いろいろ知らない国の映画やドラマを見せてくれるけど、サウジアラビアの映画は私は初めてです。

サウジ皇太子の訪日が中止になったり、なにかと気になる中東情勢。そういうこともあって、見る気になったんですね。

今年1月に公開された映画ですが、どの程度見られているのでしょうか。上の日本語版予告編は、きのうの段階で視聴回数「3回」でした。

「残灰に」という邦題(英語題はFrom the Ashes)も、もう少しナントカならなかったのか、という感じ。


でも、結論から言うと、面白かった。

「ヒューマンドラマ」という分類だけど、実際はある種のスリラーというかミステリーで、2段落ちで「意外な犯人」が明らかになる(あとから思うと、ちゃんと伏線もある)。

そういう話の展開自体が意外で、意表をつかれた感じでした。


2002年にマッカで実際に起こった事件をもとにしている。

女子高で起こった火災で、ある生徒が焼け死ぬ。

その生徒は、日ごろから校内の不良グループにいじめられていた。

そこで、不良グループの誰かの犯行だろうと調査が進む・・


サウジアラビアは、最近まで観光もできなかった、神秘の国ですね。

イスラム教の国とはいえ、イランよりは世俗的だろうというイメージだけど。

でも、この映画で見るサウジは、西洋の自由社会に慣れた目からは、やはりすごい抑圧社会に思える。


若い男女は、社会のなかで完全に隔離されている。だから、女子高のなかは職員ふくめ女だけ。

高校生でも親の命令で結婚させられるとか、女子高は監獄のように外からカギをかけられていて、火事になっても出られない、とか、われわれの自由社会では考えられない。


いっぽう、学校でのいじめとか、離婚裁判をかかえた教師がいたりとか、やっぱりイケメン好きの女子高生たちとか、われわれの社会と変わらない面もある。

カナダやアメリカで修業したというこのサウジの監督(Khalid Fahad)は、たぶんサウジアラビアのそういう両面を見せようとしているのだと思う。


そして、いちばん意外で、かつ、この映画のいちばんの見どころは、女子高生たち、とくに不良グループを演じる若いサウジの役者たちですね。

彼女たちがすごくよくて、そこだけが生き生きとしている感じ。

たぶん監督がこの映画を撮った目的の一つは、そうしたサウジの若い才能を世界に紹介することだと思います。

(イスラム教国は若い女性の顔をさらすのがタブーだからか、彼女たちの顔写真がネットでほとんど見つからなかった。予告編でも彼女たちは映らない。役者データもない。アラビア語で検索すれば出てくるのかもしれないが、私はアラビア語がわからない。映画を見てもらうしかない)

こういう若者たちがいれば、サウジも、サウジの映画産業も、有望かもしれないと思いました。



<参考>


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