【Netflix】「安らかに眠れ」地球の反対側の秀作スリラー
【概要】
安らかに眠れ Rest in Peace
2024 | 年齢制限:16+ | 1時間 47分 | ヒューマンドラマ
のしかかる経済的な負担と体調の悪化に追い詰められるセルヒオは、ある日、運命のいたずらにより家族を守るための抜け道を見いだす。だがその代償は、自らの存在を永遠に消し去ることだった。
出演:ホアキン・フリエル、グリセルダ・シシリアニ、ガブリエル・ゴイティ
予告編
【評価】
アルゼンチン産のスリラー。(2024年3月Netflixで世界公開)
1990年代の北方謙三が書きそうな筋肉質なハードボイルドで、不器用な男の孤独な戦いを描く。
少し古いタイプのドラマだが、無駄のない演出と、主役のホアキン・フリエルの熱演で、最後まで楽しませてくれる。
秀作だ。
Netflixがありがたいのは、日本映画やハリウッド映画、また韓国映画にも食傷気味のわたしに、いろいろ別の選択肢をあたえてくれることだ。
先日はナイジェリアのドラマ「ポストカード」を紹介したが、このアルゼンチンの映画も、知らなかった世界を垣間見せてくれて、発見が多い。
映画やドラマをつうじて、なかなか訪れることができない外国の人生を体験できる。
もっとも、このアルゼンチン映画は、少し前、1990年代から2010年代までを描いている。
この物語の大きな背景になっているのが、1994年の「アルゼンチン・イスラエル相互協会(AMIA)爆破事件」だ。
これは、アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスでおこった自爆テロで、85人が死亡、約300人が負傷した。
主人公は、この事件に遭遇することで、運命を大きく狂わせていく。
アルゼンチンのユダヤ人コミュニティーを狙った犯行で、イランの関与が言われた。このあたりは、最近の世界情勢ともつながっている。
アルゼンチンはカトリックの国だが、南米最大のユダヤ人コミュニティーがある。
この映画の登場人物たちも、ユダヤ人かと思わせる(ユダヤ教の帽子=キッパー=らしきものをかぶる場面がある)が、わたしにははっきり分からなかった(映画の主題とは直接関係ない)。
そしてアルゼンチンは、ご承知のとおり、しょっちゅう経済危機をむかえている。この映画は、軍政が終わり、いわゆる新自由主義路線をとっていたころの話だ。主人公は、そのあおりを受けて、ビジネスを傾けることになる。
そういうリアルな細かい設定も、この映画の価値を高めている。(マルティン・バイントゥルブの小説が原作)
この映画では、アルゼンチンとともに、隣国パラグアイも描かれる。
ネタバレになるから詳しくは書けないが、アルゼンチンとパラグアイの関係も分かって、面白い。
「ポストカード」のナイジェリアとインドが、同じイギリスの植民地だったから共通して英語が使えるように、アルゼンチンとパラグアイはスペインの植民地だったから、どちらもスペイン語が使える。
「パラグアイは日本から見て、地球のちょうど反対側にあって、おそらく日本から一番遠い国の1つである。また、一番知られていない国の1つかもしれない。しかし、もっとも親日的な国の1つである」
という北岡伸一の言葉がWikipedia(「パラグアイ」)にあった。
2018年、安倍晋三が、日本の首相として初めてパラグアイを訪れて、関係が親密になっている。
わたしは最近、南米やアフリカの映像を、YouTubeなどでも、よく見る。
海外旅行にも行きたいのだが、年をとると、南米とかアフリカとか、飛行機に10時間以上乗らなければならない遠い場所は、なかなか行く気になれない。
それで、映画やYouTubeで、代償満足を得ているところがある。
東南アジアとかは、年をとっても行ける。南米やアフリカは、若いうちに行っておくべきだったと後悔している。映画とは関係ない話だが。
<参考>
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