『ZeroTwo-Dance(完全版)』
その日、夕食は鍋にしようということになり、僕と僕の彼女は食材を買いにスーパーに出掛けていた。
二人で野菜売り場で手頃な白ネギを物色していると、隣でひとりの少女が白ネギを高々と掲げ、少女の母親らしき人物に何かをしきりに懇願している。
「ねえ、お母さん、やって、やってよ~」
少女はネギを握りしめ、前後に突きだす仕草をしながら、その腰は微妙に左右に揺れていた。
「え、ネギで何するの?」
少女の母親はやさしい口調でそう問いかけるも、その表情には明らかに困惑の色が見てとれる。