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『梅雨明け』

誰もが皆西日の当たる狭い部屋に
住んでいる訳でもないだろうに

夕涼みがてら町へ繰り出すと
何時もより人の往来が多い

そのまま川原まで行こうと決めて
着いた頃にはもう陽が沈みかけていた

河鹿かじかのやけに涼しげな声が
纏わりついた熱気を払い落とす

雨の日の香を聞き忘れていたのを
ふと思い出す


〈了〉

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