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『若鮎』

私は少年の

「カトリック系の神学校に通う生徒なのです」

という唐突な告白を以て

その清々しさの由縁とした

人の名すら覚えることを苦手とした私が

老いて尚

少年の細くしなやかなその指で示された

若鮎の群れを

郷里の水面みなもに写すことが出来るのは

あの夏

少年の名をかなかったからに他ならない


〈了〉

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