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『白刃の月』

山登りをしない私でさえ、今朝はその峰や尾根につけられた名を想像した。

それほどまでに雪山の稜線は堅く鋭く私の目に映った。

彼は誰の空に雲はひとつとしてなく、ただ白刃のように銀の月が浮かぶばかりである。

それは美しいと呼ぶにはあまりに峻厳で、身を刺す寒さとともに哀傷の如く私を襲う。

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