同居するストーカー
親友と彼を会わせてから数日後、私は彼女とカフェで待ち合わせをした。
いつものようにたわいもない話をして大笑いしたが、彼の話になって彼女は言った。
“カイの彼氏ストーカー気質あると思うよ”
私はドキッとした。
"ストーカー"
それだ。
自分でも何かおかしいと思ってはいたけど、一言で言い表す言葉が見当たらなかったのだ。
こういうタイプと付き合ったことも、近くにいたこともないからピンとこなかったが彼女のその言葉に納得がいった。
“でもカイの彼氏だからストーカーではないけどね〜ハハハ“
彼女はそう言って笑ったが、私は笑えなかった。
”カイが彼のことを好きなら、それぐらい惚れられてる方が女としては幸せだと思うよ? それともそんなに好きではない? 笑”
彼女はほんとに私の心理を、私以上に見透かしている。
それとも私、顔に出やすいのか?
”好きだけど、現実味がないというか。あまりにも彼のレベルが高すぎてバカ笑いできないところがある。
彼に不満はないけど、まだ本当の私を見せることはできない。。”
彼はバカ笑いをしないのだ。
私が話す内容が面白くないだけなのかな?と感じてしまって私はまた悲しくなるのだ。
またそれが自己肯定感を下げていく…彼の戦略にハマってしまっていた。
”タバコの本数なんて制限されてるの? そもそもカイは制限される程吸わないし、あの調子じゃ一本吸ったら十本吸ったとか言われそうで面倒じゃない?”
”そう!いちいち見張ってるの。一日一緒にいた日なんて今日は三本も吸ったとかカウントしてくるの。責められてるって感じるよ…"
"それが真剣じゃなかったらいいんだけどね。また吸ってる〜って。でも彼顔は笑ってるけど本気だよね?
私たちが一緒にいた数時間の間に何回タバコの話になったか!しつこいよね。”
その通りだ、しつこいのだ。
そして他の人だったら気にも留めないような事をネチネチと気にする。
人間毎日いいことも悪いことも色んなことがあるのだ。
それでも大人になると朝は仕事に行かなければいけないし、仕事に行くためには夜中起きてそんな事を考えてばかりいられない。
嫌だなと思ってもやり過ごしたり、自分で消化したりして、何も知らない他の誰か(会社の人や友達や家族)と喋ったりしてるうちに忘れていくものだと思う。
海外では特にそれはとても重要だ。
ネイティブではない言語で文化や教育の違う人たちと話すと、傷つくこともあったりイライラすることもある。
でも、それはお互い様で、お互いよく知らない国同士でよく知らない言葉で話すのだから気にしていたらきりがないようなところもある。
それだけを切り取ってあの人は悪い、だからもう会わない、信用しないなんて言っていたら日本の社会でもやっていけないのではないだろうか?
彼はその後実際に日本の社会には全く馴染めず、私が大変な思いをすることになるのだが。
次回は彼が私の親友について言ったことを書こうと思う。
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