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2023年9月の記事一覧
資本主義の犬は労働なき世界の夢を見るか
インターホンの向こう側にいたのは、作業着を着た青年。チワワのように物憂げな瞳の奥からは、男の子と呼んでも差し支えないくらいの純朴さが滲み出ていた。
恐らく20歳くらい。高校を卒業してすぐ就職し、なんらかの現場仕事に就きはじめて1年か2年、といったところだろうか。
はて、そんな青年が一体何の用事だろう?
不意の来客が、インターホンの向こうで何かを話していても、だいたい聞き取れない(あるある)。
現代のナチスに加担したくなければ、ニートになれ
■はじめにこの記事のタイトルを見て、捻じ曲がった道徳観念の持ち主による悪ふざけという印象を抱くのが、正常な感覚の持ち主というものである。
しかし、僕は真面目に書いているのである。扇動的なタイトルで人目を引こうという打算もなくはないが、それでも真面目に書いているのだ。
「現代のナチスに加担したくなければ、ニートになれ」と。
どういうことか? まず「現代における労働は悪行である」ということから、
グレーバー&ウェングロウ『万物の黎明』を読んで
「この本は、瞬く間に世論を席巻し、歴史を変えるに違いない」と確信する本に、これまで何度か出会ってきた。例えば『ブルシット・ジョブ』『Humankind』『ティール組織』などである。実際にこれらの本は、僕のようなごく一部の人々を勇気づけ、知的興奮に誘った。しかし、残念ながら瞬く間に歴史を変えるような事態にはならなかった。例えば、僕が自称読書家が集まる読書会で『ブルシット・ジョブ』を紹介しようものなら
もっとみるKindle出版第二作目『働かない勇気』出版準備中
昨日有料でアップした『働かない勇気』をKindleでも出版準備中である。
(申し訳程度に加筆したがほぼそのままである)
表紙は思いっきりパクったし、タイトルも思いっきりパクった。もちろん某ベストセラーのことである。Amazonに怒られないか、それだけが心配である。
書いていて思ったが、某ベストセラーのような対話形式は、めちゃめちゃ書きやすい。4万文字くらいだが、たぶん執筆にかかったのトータル
トマ・ピケティ『資本とイデオロギー』を読んで
索引と注を除いても931ページ。税込価格で6930円。ピケティが想定する読者層である「市民」の大半は、この本を読むくらいならアニメONE PIECEを全話(約1000話)観る方を選ぶだろう。
しかし、その選択は賢明とは言えないかもしれない。ピケティの文体は読みやすく、グラフでの図解も多いため、想像以上にさくさく読み進められる。それに、知的好奇心を刺激するような描写も多く、アニメONE PIECE
血縁というフィクションを破壊し、フリーセックスのように子育てをしよう
最近、妻とコスプレセックスするのにハマっている。どんなコスプレなのかを書くと性癖がバレるので書かないが、とにかく人様には見せられない格好でセックスをしている。
付き合って8年。結婚して5年。子どもが2人いるとなると、セックスは月に1回かそこらになる。だが、コスプレという起爆剤を導入することで、ここのところ4日連続でセックスすることに成功した。やはり新鮮味は大事らしい。
昨晩、2回目の射精を終え
この社会では、役に立つ事業をやっていたら経営破綻するらしい
テレビを観ていたら大阪ガスが宅食サービスを始めるというニュースがやっていた。
献立を考えるのがめんどくさい人や、そもそも料理や買い物がめんどくさい人のためにサービスを始めたらしい。そのサービスでは食べたいメニューを選ぶという手間すらも肩代わりし、いくつかのアンケートに答えるだけで自動で好みにあった料理が届くとのこと。そんなことを大阪ガスのお偉いさんと思わしき人物が会見で話していた。
サービス過
新しい労働哲学が難解な理由
※今回の記事は、初学者向けの補講授業のようなものなので、既に理解している人は居眠りしながら読んでくれて結構である。
僕は労働なき世界を目指す「新しい労働哲学」の布教者なわけだが、世間一般に流布する俗流アンチ労働主義とは、似て非なる主張をしている。
だから、「労働なき世界」といった見出しだけを見て飛びついてきた俗流アンチ労働主義者は、僕の議論を読めば読むほど「ん?なんかよくわからんな?」となる可
『アンチワーク哲学普及協会』メンバー募集中
■労働なき世界は可能である上司のわがままに振り回されたり、モンスタークライアントに頭を下げたり、単調でつまらない作業に延々と取り組んだり、自己啓発書を読んで強引にキラキラしたやりがいを見出したりせずとも、労働なるものがなくとも、誰もが豊かで幸福な人生を歩むことができる。
そんな「労働なき世界」が可能であると言ったなら、あなたは信じるだろうか?
その世界では、あなたや僕が労働しないだけではなく
「働きたくない」という気持ちは、間違っていない
「働きたくない」と思ったことのない人なんて、きっと1人もいない。それどころか、ずっとそう思っている人の方が多いのではないだろうか。
就活を控えた学生も、残業中のサラリーマンも、ニートも、きっとみんな働きたくないと思っている。
この気持ちは、社会的に「良くないこと」と考えられている。なぜならば、「働きたくない」と考えている人は、誰かの役に立つことを拒否する怠惰な人間であると想定されているからだ。
無職やワーキングプアは人格者である
高収入を得ている人は、必ずしも富を生産しているとは限らない。むしろ富を生産せず、富を都合よく分配するよう働きかける「政治活動」に成功し、高収入を得ている人物である可能性が高い。
言い換えれば、合法的な略奪である。
一方で、ワーキングプアは何かを生産したりケアしたりする仕事に就いている可能性が高い。居酒屋のホールスタッフやライン工、介護士、清掃員など低賃金の職業はそういう意味で「経済活動」に従事