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異語り〜コトガタリ〜

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【現代怪談】 日常に紛れ込んだ微かな異の物語を綴っていきます。(毎週木曜日更新)
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2021年6月の記事一覧

異語り 048 変化

異語り 048 変化

コトガタリ 048 ヘンゲ

知人のYさんの話

甥っ子が通う小学校で事故があった。
林間学習でのオリエンテーリング中、一つの班の児童が行方不明になったのだ。
男女合わせて4人組の班。
林間学校はすぐに中止となり、他の児童たちは家に帰された。
先生方の半数はそのまま捜索に山に入り、数時間後には警察による捜索隊も山に入っていった。

子どもたちは雨具や水筒は装備していたが、食料は何も持っていない。

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異語り 047 迎えに来たモノ

異語り 047 迎えに来たモノ

コトガタリ 047 ムカエニキタモノ

先週に続いて雨の日の思い出をもう一つ

小学校の頃、住んでいたマンションに西向きの出窓があった。
リビングに直角三角形に突き出た窓。
膝上くらいの高さがあり、大人が腰掛けるのにちょうどいいくらいの奥行きも合った。
でも、結構キツイ西日が入るので何かを飾ることはなく。いつもすっきりしていた。
小学生の頃はよくそこに座って(子供には程よい広さだったので)外を眺め

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異語り 046 トラウマ

異語り 046 トラウマ

コトガタリ 046 トラウマ

雷が鳴っている。
昔から大きな音や破裂音が苦手だった。
大人になった今も、運動会や花火大会などは耳を塞ぎながら観覧している。

ただ昔は雷はそれほど怖くなかったように思う。
窓から稲光を眺めて喜んでいた記憶があるから、きっと平気だったのだろう。

では、いつから苦手になったのか

夕刻の赤黒い空にストロボのような稲光が瞬き雷が近づいてくる。

今住んでいるのはマンシ

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異語り 045 深草

異語り 045 深草

コトガタリ 045 フカクサ

北海道には梅雨がないというが、実際にはそれなりに雨は降るし湿度も高い。
それでも東京や関西に比べれば格段に過ごしやすいのかなと思う。
特に実家である京都は盆地だったので、梅雨以降から暑さが抜けるまでの間は、空気に粘度を感じるほどに不快だった。

高校時代のそんな暑い梅雨時の話

その日は梅雨の晴れ間だった。

朝から日差しは強いもののそこそこ風もあり、こもった湿気が

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異語り 044 エレベーターの空白

異語り 044 エレベーターの空白

まさかこの短期間にまた更新を飛ばしてしまうとは……。下書きまでは書きあげたモノの、ものすごい眠気に襲われちょっと横になっただけ、のはずが朝まで爆睡していました。おかしい。寝た記憶すらない。

コトガタリ 044 エレベーターノクウハク

卒業後、フリーター生活を選択してすぐの頃。
残業なし・時給よしの条件につられて、病院の清掃バイトをしたことがある。
大手メーカーが入っていたのでマニュアルやシフト

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