葛原質問会① at ZOOM

割引あり

話題一覧

  1. 算数の授業中のけテぶれの進め方について

  2. 分析や計画が苦手な児童へのフィードバック方法

  3. 特別支援学級でのけテぶれ実践について

  4. 挙手指名のスタイルと静かな学習環境について

  5. 校内での研究と学校全体へのけテぶれの広げ方

  6. フィードバック時間の取り方

  7. 国語での単元の教え方

  8. 教科担任制が進んだ際の対応

  9. 転入生への対応方法

  10. 特別支援学級での学年間交流の課題

  11. 見方・考え方の指導頻度

  12. 3学期始めの学級の様子とけテぶれの話

  13. 二重括弧の学び合いとの関係

  14. 国語に関する質問(具体的内容不明)

  15. 特別支援学級でのけテぶれ実践(再度の質問)

  16. 今後の予定について



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質問1: 算数の授業中にけテぶれを回したいです。一斉授業で教え込む場面がある場合、いわゆる今までのようにグループなどで考えさせる時間を確保するのか、知識としてここはこのようにやるものですと教えていくのか、どう教えていただければと思います。

回答1: これは好きにやればいいという感じではありますが、私の経験から言うと、「知る」「やってみる」で「分かる」「できる」という段階を意識しています。「知る」段階をサクッと流して早く「やってみる」に移行するか、「知る」段階でじっくり時間をかけるかは、状況によって判断します。

「やってみる」ことに価値がある場合は、さらっと知識として教えて「やってみる」に移行します。一方、「やってみる」を担保するために「知る」段階でじっくり時間をかける必要がある場合は、子供たちでその知識を溶かしてから「やってみる」方がスムーズだと判断し、考えさせる時間を確保します。

子供たちが知識を理解するのにどの程度の足がかりが必要かを見極めることが大切です。サクッと教えて「やってみる」に移行できるならそうしますし、感覚がわかりにくそうだったり知識が飲み込みにくそうだと思ったら、グループで話し合いながらちょっとずつ理解させて、「やってみる」にどうやったら移行できるかを考えさせます。

必要に応じてグループで対話したりする時間を設けるかどうかは、状況に応じて判断するのがいいでしょう。

質問2: 分析や計画や分析などについて書くのが苦手な児童に対してどのように見取っていくか。強制する気はありません。子供の計画や分析などについてどのようにフィードバックしていますか。プリントへのコメント記入や声かけなど知りたいです。

回答2: この悩みはよく聞きます。まず、子供たちが安心して書けるような雰囲気作りが大切です。何を書いても怒らない、不快にならないという態度を示し、けテぶれノートに書いたことで叱られるようなシーンを作らないようにしています。

例えば、その日の記述が「頑張る」「頑張った」という一言だけでも、「なんだこれ」とは言わず、「その日はそうだったんだね」と受け入れます。子供たちが正解を書かなければならないと思って縮こまってしまわないようにします。

けテぶれは分かりにくいものなので、まずは何でもいいから書いてみるという安心感を持たせることが大切です。その上で、徐々に良い記述の例を示していきます。

フィードバックの方法としては、星の数(1個星、2個星、3個星など)で良さを示したりします。また、導入当初は良い記述の例を徹底的に示します。例えば、学級通信やパワーポイントのスライドで、良い記述とその理由を紹介します。これを朝のテレビで無限ループで流すなどして、約12ヶ月くらい続けました。

自分の行動や考えを表現するためにどのような言葉が使えるかを、最初はたくさん例示することが大切です。ただし、それ以上に大切なのは、ただほっておくことです。今年の実践で特に感じたのは、ほっておくことの重要性です。

例えば、ある男の子は最初、方眼に字が収まらず5文字ぐらいしか書けなかったのですが、私はただほっておきました。その子に対して「いいね、いいね」と言い続け、時には大きく失敗することもありましたが、そういう経験を積みながら、今では字もきれいになり、1ページちゃんと書けるようになってきました。

教師としては、困っていたら助けてあげたくなりますが、ほっておく中に子供たちの中に溜まっているものがあります。サポートすればするほど、サポートされなければならない自分という認識が強まってしまう可能性があります。

ただし、ただほっておくだけでなく、なぜこのような場になっているのか、どのような価値があるのかといった目的や目標は大量に伝えます。子供の本質的でない学びを否定せず、「今日もよく頑張ったね」という中で、ガッと伸びる時期が来るのを待つ姿勢が大切だと思います。


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質問3: 特別支援学級の担任をしています。実践している感じで、かなり特別支援との相性がいいなと感じておりますが、クラスの中で学年が異なるため交流が一方通行になりがちです。もし特別支援で実践されている事例があれば、対応できることがあれば教えていただきたいです。

回答3: 私自身が特別支援学級で直接実践したことはないのですが、確かにけテぶれは特別支援との相性がいいと思います。通常学級での経験から言えば、ずっと通級や取り出しで学習していた子が教室で学びたいと言い始めるようになり、実際に普通にできるようになるという効果を感じています。

特別支援教育の本質は、その子が決めて、その子がやって、その結果を自分で受け取るというプロセスをデザインすることです。これはけテぶれの考え方とも一致しています。

ただ、学年が異なる中での交流の一方通行性については確かに課題があると思います。この点については、来週の「おしゃべり会」で特別支援学級の部屋を作れたらいいなと思っています。そこで、実際に特別支援学級で実践されている先生方と意見交換ができると良いでしょう。去年のけテぶれ会でも、特別支援学級の先生が楽しそうに実践について話されていました。

質問4: 葛原先生は挙手指名のスタイルを行いますか。けテぶれを使って自由進度学習を行っていますが、月で取り組む人が多く静かな学習になってしまうことがあります。このままで良いのでしょうか。

回答4: 挙手指名に関しては、ほぼ行いません。ただし、授業の最初の5分間で計画を立てる時と、最後の5分間で振り返りをする時には少し異なります。

計画を立てる時には、自分の計画が書けたら挙手してもらい、その子を指名して「今日の学習はこういう風にやろうと思います」と言ってもらいます。私がそれに対してコメントをします。この時、他の子たちは別に発表している人の方を向く必要はなく、自分の計画を書きながらそのやり取りを聞いています。これにより、他の子の計画に影響を受けて自分の計画を調整することができます。振り返りの時も同様です。

静かな学習になることについては、時と場合によります。あまりにも任せている中で月(静かな学習)っぽくなって動きがないなと思ったら、「月禁止」と言って、一旦ガッと動かすこともあります。どちらの学習にも価値があり、どちらの学習も経験してほしいと考えています。

例えば、「今日は一旦月をやめて太陽だけでやりましょう」とか、逆に太陽ばかりの教室では月を推奨するなど、教師のコントロールで一回体験させることもあります。その中で良さを感じて、必要に応じてやれたらいいねみたいな感じでやるといいかなと思います。

質問5: 葛原さんが校内で研究を担当しているとおっしゃっていたと思います。校内でも学校研究としてけテぶれQNKS心マトリクスなどを取り込まれているのか、取り組んでいるとしたらどのように行っているかを教えていただければ幸いです。自分が担任をしている学級や自分の授業ではけテぶれなどが子供たちの共通言語となりやってきてよかったと思えているのですが、学校全体に広げるまでには困難性を感じています。具体的には他の教員からけテぶれて難しそう、今までのやり方があるしという感じでなかなか浸透していかないという雰囲気です。

回答5: 現在は研究主任を外れていますが、実践としては本校にちょっとずつ広がっています。去年は3年生の全5クラスでけテぶれが導入され、今年は3年生と4年生の合計10クラスで完全導入されています。

この広がり方は、押し付けではなく自然な流れでした。例えば、数年前に一緒に組んだ先生が、私のけテぶれ実践を見ていて、今年から挑戦したいと言ってくれたことがきっかけで、学年全体での実践が決まりました。そして、その子たちが4年生に上がった時に、4年生の先生たちも引き継ごうということになりました。

研究主任をしていた時は、意図的に研修の場自体を先生たちにコントロールを渡すようにして、ただ聞くだけの研修にならないように工夫しました。けテぶれのような実践を体験してもらい、今までの研修と比べてどうですか、頭の回転度や充実度が違うと思いませんか、というように問いかけました。

ただ、「けテぶれをやりませんか」と言って、すぐに「やります」と返ってくることはほぼ不可能だと思います。むしろ、実践現場で実践できる状況があって、それを他の先生たちが見てくださっているという状況が大切です。私は自分のスタイルでやっていて、他の先生たちのやり方を否定したりはしません。

時代の流れもあり、「結局けテぶれじゃないか」と思う瞬間が教育業界では多いです。そういった中で、ちょっとずつ繋がっていき、ちょっとずつ身に行かしてもらうという広がり方が豊かだと思います。

押し付けたら絶対に反発を食らうので、そういったアプローチは避けるべきです。研究主任という立場がある場合は、体験を重視します。けテぶれでやっていることをそのまま先生たちにも体験してもらうことを仕組んでいくといいでしょう。

質問6: フィードバック時間はどのようにされていますか?

回答6: フィードバックは結構丁寧にやっていますが、コメントはほぼしません。星の数でのフィードバックだけです。けテぶれノートなどを使うと、見る量は多くなりますが、その分、細かな授業準備は減らしています。ワークシートを作ったり、板書計画を立てたり、明日の授業の流れを考えたりすることはほとんどありません。そういった時間を全て減らして、フィードバックの時間に充てています。


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質問7: Voicyで以前お話されていた国語では、まず全員に学ばせるとおっしゃっていた単元の伝え方や指導方法を教えていただきたいです。三村の教科書には単元の後ろの方にある進め方の紹介がありますが、そこを活用するのかなと考えていました。

回答7: はい、その通りです。三村の教科書の後ろにある学習の手引きを活用します。そこには単元の狙いも書いてあり、右側に電球君がいて、「今日この単元でこんなことをやりましょう」と書いてあります。左端のページには、単元の最後に「こんなことができるようになりましたか」という質問があるはずです。

この質問にフルスイングで答えられるようになるのが、この単元で勉強すべきことだと伝えます。手引きの構成は、まず大きな黒いポッチで大問があって、その下に小さな黒いポッチで小問があります。これらすべてに答えることを目指します。

算数との違いは、見開き2ページで勉強が終わりではなく、それを10時間ぐらいかけてやることです。つまり、1問1問の重みが全然違います。国語では、1度出した答えを壊してもう1回作り直すことが大切で、そういう学びをしてほしいと伝えます。

1つ1つの問いをぐるぐる回しながら、じっくり取り組んでいきます。教科書の問いに答えていくうちに、「あ、この問いと黒板に貼ってある問いが繋がりそうだ」とか「じゃあこれが解決できそうだ」といった気づきが生まれてきます。

質問8: 今後、教科担任制が進んだ際、自分のクラスに語れる価値の量が減ってしまいそうです。経験量が変わってしまう。学年として導入したらベストだと思うが、この状況になった場合、葛原先生だったらどのように対応しますか?

回答8: これは本当に難しい問題ですね。確かに、教科担任制になると子どもたちと過ごす時間が減り、語れる価値の量も減ってしまいます。

私個人としては、小学校における教科担任制の流れには疑問を感じています。小学校では、全人的な学び、考えることの意味、生きることの意味など、大きなテーマを伝えていくことが大切だと考えています。生きるということは、自分で考えて自分で行動し、その結果を自分で受け取って、再チャレンジすることだと伝えていくのが小学校の役割だと思います。

ただ、完全教科担任制でやったことがないので、実際にどうなるかは分かりません。与えられた時間の中で精一杯語り切る、子どもたちの学びを見て学びの姿を価値付けていくことが大切になると思います。

ただし、教科の知識だけを詰め込んでも、子どもたちの全人的な成長には繋がらないのではないかという懸念があります。小学校では、教科の枠を超えた大きな学びの視点を持つことが重要だと考えています。


一番上の「教材研究」は各教科でそれぞれ。その下の「学び方」「考え方」そして、その更にしたの「何が”よい”ことなのか」という良さの感覚。これらを共有して初めて本質的な教科担任制ができる。

質問9: 転入生に対してどのような声かけをしていますか?

回答9: かなり気を使います。最初は「徐々に慣れていけばいいよ」と言っていましたが、それは、いわゆる「普通の(昭和の)教室」みたいなことをやっている場合、つまり前の学校とこの学校の環境が大きく違わない場合のみ。現状においては、けテぶれ的な教室はかなり特殊ななので、教師の最初の足掛かり的な声掛けはかなり丁寧にする必要があると感じています。

1学期から2学期にかけて徐々に理解してきた子たちの中に、3学期に0から入ってくる転入生は非常に戸惑うと思います。そのため、ちょっと丁寧に対応した方がいいかもしれません。

あまり焦らず、ちょっとずつ慣らしていく感じでいいと思います。その子の性質にもよりますが、かなり異文化コミュニケーションになる可能性があることを頭に入れておく必要があります。

私も以前は少し甘く見ていた面があり、反省しています。転入生への対応は、個々の状況に応じて丁寧に行う必要があると感じています。

質問10: 特別支援学級の担任をしています。実践している感じで、かなり特別支援との相性がいいなと感じておりますが、クラスの中で学年が異なるため交流が一方通行になりがちです。もし特別支援で実践されている事例があれば、対応できることがあれば教えていただきたいです。

回答10: 私自身が特別支援学級で直接実践したことはないので、具体的な事例を提供できないのが申し訳ないです。ただ、けテぶれの考え方は確かに特別支援教育との相性がいいと感じています。

通常学級での経験から言えば、ずっと通級や取り出しで学習していた子が教室で学びたいと言い始め、実際に普通にできるようになるという効果を感じています。

特別支援教育の本質は、その子が決めて、その子がやって、その結果を自分で受け取るというプロセスをデザインすることです。これはけテぶれの考え方とも一致しています。

学年が異なる中での交流の一方通行性については確かに課題があると思います。この点については、来週のけテぶれイクアウトセッションで特別支援学級の部屋を作れたらいいなと思っています。そこで、実際に特別支援学級で実践されている先生方と意見交換ができると良いでしょう。去年のけテぶれ会でも、特別支援学級の先生が楽しそうに実践について話されていました。

ぜひ、来週の特別支援部屋に参加していただければと思います。そこでより具体的な事例や対応策について議論できると良いですね。

質問11: けテぶれベースの自由動学習においての見方考え方の話はどの程度されていますか?毎時毎週?

回答11: 見方・考え方については、あまり直接的には言及していません。代わりに、次のような方法を取っています:

  1. 紙に主発問レベルの質問を書きます。例えば、筆算の単元なら「なぜ斜めにかけるの?」といった、筆算の仕組みを理解するための少し踏み込んだ発問を書きます。

  2. これをB4の紙に書いて、後ろにマグネットを貼ります。

  3. 授業が始まったら、この紙を黒板に貼ります。「この授業で解決しなきゃいけないのはこれとこれとこれだよね」と、子供たちの学習を見ながら数枚ずつ増やしていきます。

  4. 授業の後半には3枚4枚ぐらいの、単元の学習が成立したと言えるための中心的な発問が貼られることになります。

  5. 授業の最初の5分間で計画を立てる際に、「ちょっと黒板見てね」と言って、これらの問いを確認させます。

  6. 教科書をただこなすのではなく、これらの問いに答えられるようになることが大切だと伝えます。

  7. 例えば、分数の足し算なら「文字は足すけど分母は足さない。なぜ?これを言葉と図でちゃんと説明できますか」といった問いを設定します。

このアプローチの利点は、一斉授業とは違い、全ての問いを最初から提示できることです。子供たちは自分のペースでこれらの問いに取り組むことができます。また、単元の終わりにテストをする際には、これらの問いに対する答えを書かせ、それを採点に加えることで、深い理解を促進し評価することができます。

質問12: 葛原さんの学級の子供たちはどんなスタートを切っていますか?どんな学級の実態になっていますか?3学期の始め、けテぶれに関して子供たちにどんなことをお話しされましたか?参考にさせてください。

回答12: 3学期のスタートは、のんびりと始まりました。最初に書き初めがあり、その後1、2時間目が国語と算数でした。

1時間目は少しざわざわしていたので、「のんびり楽しくやったらいいんじゃないの」と言いましたが、それでも少し騒ぎすぎだったので、2時間目に冬休みのことを振り返る時間を設けました。

そこで、この場は1学期、2学期から繋がっての3学期だということを伝えました。1学期、2学期で勉強したことや学習したことを使う場として考えてほしいこと、楽しくやるのはいいけれど、この45分は賢くなるための場であることに変わりはないことを伝えました。

また、今まで何を学習してきて、それをどのように使えるのかということを毎時間、毎日考えてほしいと伝えました。

終日の時間には、月と太陽の話をしました。太陽と月が同時に出たら、月つまり集中することを邪魔しちゃうから、太陽は喋るということですね。喋るなとは言いませんが、喋ろうとした時に、周りの学習を思いやる心を忘れないでねと話しました。

けテぶれに関しては、大谷翔平選手の話をしました。自分でやるよ、という話をしたように思います。ただ、具体的な内容は忘れてしまいました。また思い出したらお伝えします。

質問13: 葛原さんと二重括弧の学び合いは関係しているのでしょうか?個人学習なのか分からなくなれば友達と話し合ってよいのが重要とのイメージがしています。

回答13: はい、関係しています。実は初任の学校が二重括弧の学び合いの実践校だったんです。西川潤先生(上越教育大学の二重括弧の学び提唱者)が直接学校に来るような感じの学校でした。

初任1年目からそれでしたので、ちょっと特殊な経験をしています。実習の時は一斉授業で授業を作っていましたが、そこに限界を感じていました。

初任で入った時、学校全体が西川式でしたが、職員室自体はかなりアンチだったんです。ほとんど誰もやっていませんでした。最初は普通の授業をしていましたが、研究授業の時に西川先生が来て、学び合いというものがあるということを知りました。

授業を見てもピンとこなかったのですが、本を読んでめちゃくちゃピンときて、これだと思い、そこからすべて切り替えました。

友達と話し合ってよいというのは重要な要素です。個人学習なのか分からなくなれば友達と話し合ってよいだけでなく、廊下で勉強してもいいし、ローテーブルを出してきてみんなで輪になって勉強してもいいです。

最近は、集中が切れたら教室の外をお散歩してくるということもやり始めました。賢くなれればそれでいいという空間作りを心がけています。


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