ベトナム人の海外労働について④ヨーロッパ及び北米②

目次
はじめに
①伝統的な海外労働市場
②他のアジア諸国
③中東地域及びロシア、アンゴラ
④ヨーロッパや北米
⑤就労環境や人権問題などの問題
⑥ベトナム政府の最近の動き

④ヨーロッパや北米
(2)カナダ

昨年、私が調べた情報からは、カナダの2021年の国勢調査では、既にカナダの全国の労働者のほぼ 4 分の1が、移民または永住者であるという。
G7諸国の中で、最も移民率が高い国となっている。
カナダの人口増加の約 75%は、移民によるもので、そのほとんどが経済部門としての労働者として見込まれる移民たちである。

2021年時点でカナダには約5万人のベトナム人が居住しており、そのうち多くはビジネス、教育、医療などの分野で働いています。ただし、正確な数は不明であり、ベトナム人がどの程度労働市場で働いているかについての公式の統計は存在しません。ただし、カナダはベトナム人にとって人気のある移民先であり、年々ベトナム人の移民数が増加しています。

カナダでのベトナム人の海外労働において、いくつかの問題が指摘されています。例えば、

1. 不法就労の増加：
   労働ビザの取得が難しいため、一部のベトナム人は不法就労しているとされています。

2. 低賃金・過酷な労働条件：
   一部のベトナム人は、低賃金で過酷な労働条件下で働かされているとの報告があります。

3. 言語の壁：
   英語が話せないベトナム人が多いため、就職や生活に支障をきたすことがあります。

4. 非正規雇用の増加：
   一部のベトナム人は、正規雇用ではなく、非正規雇用で働いているとの報告があります。

これらの問題に対して、カナダ政府は、適正な労働条件の確保や言語支援の充実など、改善策を模索しています。

カナダの農業におけるベトナム人労働者の状況は、一般的には非常に過酷とされています。多くの場合、彼らは季節労働者として働き、収穫期間中に農場に集められます。農場主らは、彼らに低賃金で長時間働かせ、不十分な生活条件を提供する傾向があると言われています。

ベトナム人労働者の多くは、低賃金で働かざるを得ないため、人口密度の低い農村地帯から来ています。カナダの農業は、非常に過疎化した地域に多くあり、ベトナム人労働者たちは、遠く離れた農場で孤独な生活を送ることが多いです。その過疎化の状態は、私たちの北海道の過疎化とはまた、さらにかけ離れたものであるようです。カナダは、国土面積がかなりの広さがありますから、当然という意見もあります。

また、彼らの多くは言語や文化の違いから、孤立することもあります。

これに加えて、季節労働者として働くベトナム人労働者たちは、労働条件に関する法的な保護が不十分であるため、労働安全や健康に関する問題が報告されています。特に、熱中症や農薬による健康被害が懸念されています。また、長時間の労働や過重労働も問題とされています。

カナダでの農業でのベトナム人海外労働者たちは、過酷な労働環境に直面しています。農作業は季節労働であり、夏は暑く、冬は非常に寒いため、作業環境が極端になります。彼らはしばしば、古くて劣悪な住宅に住んでいます。また、孤立した地域に住んでいることが多く、言語や文化の違い、孤独、家族との離れ離れなどの問題に直面することがあります。

このような状況から、ベトナム人海外労働者たちは、メンタルヘルスの問題に苦しむことが多いとされています。

カナダでは、外国人労働者を雇用する企業には、外国人労働者の住宅を提供する義務があります。また、労働基準法により、外国人労働者が適切な労働条件の下で働けるようにすることが求められています。

カナダでの農業でのベトナム人海外労働者たちの生活状況については、複数の報告があります。例えば、カナダのBC州南部にあるフレーザー・バレー地域では、ベトナム人労働者が農場で働く一方、古くて劣悪な住宅に住まざるを得ない状況が報告されています。これらの住宅は、危険な電気設備や水道設備、断熱不良、換気不良、生活スペースが狭いなどの問題を抱えており、人間らしい生活をするには不十分であると指摘されています。さらに、これらの住宅は通常、労働者が農場で働く期間にのみ提供され、季節労働者がその後何もない状況に陥ることもあります。

カナダ政府は、外国人労働者が適切な住宅を提供されるようにするための規制を設けています。フレーザー・バレー地域においても、住宅規制が存在しますが、現実には違法な住宅が多数存在するという問題があるため、規制当局が不法建築の排除や改善が徹底されていないとの指摘があります。

カナダの労働局であるEmployment and Social Development Canada（ESDC）は、フレーザー・バレー地域の労働者の生活状況に関する報告がある場合、調査を行うことがあります。

ただし、報告される問題が特定の法律に違反するものでない場合や、証拠が不十分な場合は、調査が行われない場合もあります。また、カナダ政府は、労働者の権利を保護するためにさまざまな制度を整備していますが、労働市場において不法行為が行われることがあるため、常に改善に向けた取り組みが必要とされています。

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