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【本要約】カリスマ論


2021/12/14

現代のカリスマとは?

働かずに食べていきたい
仲間や友達がいっぱい欲しい
好きなことだけやって生きていたい
自分の夢や成功をみんなに応援して欲しい

カリスマゆえに働かずに生きていける。周囲に支えられ、自分のやりたいこと・やるべきことのみを見つめて生きていける。カリスマの研究書であり、ノウハウ本である。

世界はカリスマと一緒に動いている。カリスマの周りにヒト・モノ・カネは集まり、カリスマの近くでいつも、新しいことが起きている。

これまでは、お金を中心にビジネスが生まれてきた。お金を持っている人ほど、もっとたくさんのお金を稼げる仕組みになっていた。
今は、カリスマが中心にいると、そこにビジネスが生まれてくる。

ビジネスが得意な経営者が、儲かるビジネスモデルを考える。有能な人材を高いお金で雇って、もっと儲かる仕組みを作る。普通の人材に給料を払って面倒な作業をやらせる。

本当におもしろいイベントやプロジェクトがあったら、人は無報酬でもお金を払っても参加したい。

社会変化は、評価経済社会への移行過程である。

これまで、大勢の人に強い影響を与えることができたのは、国家・宗教・マスメディアに限られていた。私たちの人格や価値観や行動は、様々なメディアからの影響によって形成されている。インターネットの登場で、この仕組みに大変化が起こった。個人でも影響を与えることが可能になった。カリスマという高い評価を得られる人ほど、他人に強い影響を与えられる社会が、評価経済社会である。

社長に対して、社員である参加者が給与を払う。社長は、コンテンツを低コストで世の中に公開し、自分の影響力を高めていく。

カリスマとは「何か人生に影響を与えてくれる」という機能を持つ人

「カリスマから影響を受けて近くに集まる」というより「強い影響力を受けたい」という欲望を刺激されて、大勢の人が集まっていく。カリスマは広い範囲に影響を与え、自分の元に引き寄せる性質がある。

カリスマと似た言葉の中で、最も閉鎖的な存在が「教祖」である。「自分が一番正しい、否、唯一正しい」と考えている。宗教に限らず、「教祖」と呼ばれるような人は、自分の教えを他人が勝手に解釈することを認めない。「教祖型リーダー」の元で何かを学ぶ場合は、教義を細かく定義されるし、細かく指導もされるし、少しでも違っていれば、細かく怒られる。教祖と弟子の関係は非常に閉鎖的で、自由度が低い。

カリスマは、他の指導者の存在を認め、絶対に否定しない。「他の指導者を認める」ということは、「自分以外のやり方・生き方・価値観を認める」ということだ。スキルや人生観で、生徒や弟子を束縛したりしない。

・「来るもの拒まず、去るもの追わず」という姿勢で、カリスマとその周りは、開放的な人間関係を築く。
・人を群れと見なし、個々人には拘らない。
自分の行動で、勝手に影響受ける存在として、群れを見ている。

カリスマ型ビジネスでは、いかにして知名度を上げ、影響力の及ぶ人間の数を増やしていくかが肝になる。薄く広くのビジネスである。

・カリスマ型は、教義を持たない。
・教祖型は、教祖の意思のこもった教義があり、信者に教義を従うことを求める。
相手に強い影響力を与えて心身を縛る。自分の言う通りに相手を支配する。

カリスマは、強い影響力によって大勢の人を周りに集め、その人たちに働きかけを行う。カリスマは働きかけによって、自分が属しているジャンルの世界観・価値観の変革を行う。自分自身の強い影響力を行使して「世界を変えよう」とする。カリスマの行動原理である。

カリスマたる人間に必要なのは、成功ではなく、自分自身の有り様である。

カリスマの分類

【カリスマの持つ4つの属性】
①シナリオライター
②パフォーマー
③プロデューサー
④トリックスター

①シナリオライター

この世界を「物語だ」と捉えている。世界がどうなっていくか、先のストーリーが見えている、未来は自明である。自分自身の描く未来図に絶対の確信を持っている。
カリスマ以外の人々にとっては、世界は「現象」である。

②パフォーマー

自ら演じることで人の心を動かす。変化していく世界において、自分自身に役割があり、その役割を率先して演じることができる。自分の役割を強く意識している。

③プロデューサー

未来が自明であるから、自分の属している業界の構造を変えたり、新しい生き方を提示する。他人の人生に口を挟んでしまう、お人好しでお節介である。「どう人に影響を与え、どう人を動かすのか」を見極めて働きかける。

④トリックスター

権威があったら反発せずにはいられないが、権威の中心に就くことはない。「権威を利用しようとか、取り入ろう」といった志向は希薄である。権威に対する執着はない。
既存の権威の一部として生きている人からすれば、この世界はずっと続いていくものであり、変化を嫌う。「権威によって守られている秩序を脅かそう」とする存在は「排除しなければならない悪だ」として、攻撃する。

カリスマは、自明の未来を前提で行動するので、常に世界を変える側へと回ることになる。未来の変化の中で、自分の目的が達成されたかどうかかの方を重んじる。

大勢の人を引き寄せる人間・モノ・場所、それらをカリスマと捉え、「ファンやサポーターが、どうつながれるか」を考える。その考え方によって、既存のビジネスを新しく生まれ変わらせたり、大きなムーブメントを起こしたりすることが可能になる。

マネタイズ

カリスマビジネスをテーマにすると、一番気になるのは「どうやってマネタイズするのか?」という方法論である。私たちがマネタライズを考えるのは「お金がないと暮らしていけない」と思い込んでいるからだ。その前提を覆すことから、小さなカリスマが始まる。

カリスマビジネスでは「他人のやりたいこと、叶えられなかった夢を集めること」が大事だ。「夢を一緒に叶えよう」という姿勢である。

カリスマとして目立つための競争は、年々激化している。カリスマは伝説を作り続けなければならない。チャレンジのハードルをどんどん高くしていく。苦労する状況を無理矢理にでも作りだし、自分たちの伝説を作っていく。

カリスマはファンという土壌があってこそ成立する存在である。カリスマは自分がやりたいことをやるだけでなく、ファンの願望を上手に聞き出し、一緒に実現しようとする。ファンが、カリスマを応援する醍醐味は、自分も物語作りに参加するということである。

万人にウケるだけの人は、カリスマになれないし、特定の人にしかウケない人は教祖になってしまう。

・みんなが参加できるイベントを考える。
・みんなが集まる場を用意する。
・みんなのやりがいや仕事を考える。

影響力

消費者の購買行動は、カリスマへの人気投票という意味合いが強くなってきている、世界はカリスマで動いている。

SNSの登場以降、私たちの文化は大きく変容した。つながる、盛るが、行動の基本になった。人とつながり、上手に自分の生活やキャラに盛ることで、他人に対してより大きな影響力を行使することができる。

昔の立身出世とは、大金持ちになることだったり、高い社会的地位に就くことだった。現代の立身出世とは、他人に対してより大きな影響力を行使できるカリスマを目指すことである。

格差社会

アメリカは、自由の国ではなく、格差があり、階級の固定化が進んでいる。日本でも、格差が広がってきている。

格差が固定化されると、階級が生まれ、階級特有の文化が生まれる。文化を共有する集団は、次第に部族を形成していく。例えば、身の回りの友達や家族がスマフォしか使わない集団とそうでない集団では、行動様式が違ってくるのは、必然である。

部族の人口が増えて家族や従来の仲間以外ともつながるようになれば、文明化されて開放的になる。逆に部族の人口が減っていくと、仲間内だけでつるんで、どんどん閉鎖的になっていく。

子ども

欧米において「子どもは大人になる前の未完成な存在だ」と見なされる。「未完成な存在は理性を持たず、大人が管理しなければならない」というのが、欧米流の価値観である。一方で、日本では、子どもを独立した人間と見なし、お小遣いを与えて自由に使わせる。これは、文化の違いである。

欧米人は、なぜ、子どもにオモチャを与えるようにお小遣いを与えないのか?

お金が武器であるからだ。
武器とは、誰が使っても他人に大きな影響を与えられるモノのことだ。

銃が危険なのは、大人でも子どもでも、力があってもなくても、理性があってもなくても、同じように殺す能力を発揮できるからだ。お金も同様である。誰が使おうがお金はお金はである。子どもであってもお金さえあれば何でも買えるし、人の行動を変えることだってできる。「そんな危険な武器を、理性のない存在である子どもに持たせることはできない」と欧米人は考える。

ネットも武器なので、欧米的な思考では、ネットを子どもの自由に使わせてはいけない。子どものネット利用やゲームを親が制限する、ペアレントコントロールは、欧米的な発想である。


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