シェア
asami_kun
2021年6月12日 14:25
「チカムリオ」について、少しお話ししたいと思います。「チカムリオ」は、僕が学生時代から、少しずつ書き溜めてきたファンタジーです。ストーリーは、ジュンとキヨシとユミという3人の小学生が、謎の紳士が運転するタクシーに乗って、時空を超え、めくるめく不思議の世界を旅するというものです。その後、3人は成長してそれぞれの道を歩みますが、30年後のある日、よれよれの四十男になったジュンはふたたびそのタク
2021年6月11日 21:07
チカムリオひとり酔いどれてさ迷い歩き たどり着く真夜中の公園ふと目覚めれば深い霧 人の姿もなく(アア、ワタシニハナニモナイ)音もなく(アア、モハヤナニモナイ)あるのはただあまりに深い後悔の念とその時霧の中より浮かびあがる漆黒のTaxi驚き、よろめき、歩み寄り、音もなくひらくDoor「どちらまで?」「いったい何処へ?」私は途方に暮れて立ちすくむ「で
2021年12月31日 20:15
七「さてどうするかね。このままチカムリオまで行くかね」「いえ、すみませんが、あの公園に戻って下さい。できるならもう一度、始めからやり直したいんです」「ふむ。私もそれに賛成だ。人生はいつでも、何処からでもやり直しがきくものだ。あのときは言わなかったが、一人一人の人生は不確定要素が多くてね。実に変化に富んでいるのだ。まあ、このへんのことになると理論的には少し難しいんだが。不確定性原理という
2021年12月11日 08:26
過去回りの旅私は車窓に顔を押し付けるようにして、外の景色が見え始めるのを待った。今はまだ深い霧のため何も見えないが、やがてそこに自分の過去の光景が映り始めることを知っていた。私は紳士に尋ねた。これから残された時間がどのくらあるのかわからないが、この人物には、いろいろと聞いておきたいことがあるのだった。「そういえば、僕たちのほかにも、これに乗った人々がいるんでしたね」紳士は私の質問に
2021年10月10日 15:39
「さてそれでは、過去回りでいくかね、それとも未来回りにするかね」(前回のつづき・・・)この運転手はいったい何を言っているんだろう。 僕はこの車に乗ったことを次第に後悔し始めていた。『この人は誘拐犯人かもしれないぞ。きれいな目立つ切符をあちこちに落としておいて冒険好きな子供達をおびき寄せ、誘拐して外国に売り飛ばすつもりなのかも。もしかしたら、あの幽霊屋敷の住人なのだろうか?ああ、やっぱ
2021年10月8日 09:34
一まだ夜明け前なので、辺りに人の気配は感じられない。車の音も時折遠方からかすかに聞こえてくる程度だ。公園の中は濃い霧に包まれ、街灯の光が淡く漂っている。私はベンチに腰掛けたまま何度かくしゃみをした。こめかみのあたりが鈍く痛む。 昨夜はずいぶん酒を飲んだ。つい今しがたまで、ここに腰掛けたまま、しばらく寝込んでしまったようだ。どうやってここにたどり着いたのだろう?まるで記憶がない。