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交縁少女AYA 最終話
『獣』から首を絞められ、朦朧とする意識の中で、綾の視界に浮かんできた葉月の顔…
≪――早かったジャン、こっち来ンの…≫
――…こっち?
葉月のセリフに、戸惑いまくっている綾。
≪そっかぁ…、アヤもようやく楽になれるンだネ≫
――はあぁ?…どういうコトよ?
≪だってサァ、いまのアヤは、とっても辛いンでしょ?≫
――それは…、そうだケド…
≪生きてンのってサァ、ふざけんなっつーぐれぇ、クソ辛ぇ
交縁少女AYA 第29話
報告のため一旦集合した愛莉たちが、再び綾を探しに夜の新宿の街へと散って行く。
粘り強く、隅々まで歩き廻るしかない…
五十嵐と藤村も、雑踏の中へと踏み出して行くが――
――…えっ?!
腕を組み合ったカップルとすれ違いざま、五十嵐の感覚に電流が走る。
――背丈と髪型が、酷似している…
「――すみません…」
素早くカップルの前に入り込んだ五十嵐の顔に、失望の色が拡がる。
――違う…
中年男性
交縁少女AYA 第28話
忽然と、綾が姿を消した。
戸田の支援ハウスにはいないし、高校にも登校して来ない。
自宅マンションにはもちろん、広島の父親の所にもいない。
電話に出ないのはおろか、LINEにも既読が付かない。
まるで関わる人たち全ての視界から、逃れるかのように…
この状況に、最初に動いたのは愛莉だ。
――ゼッタイ変だ、これは…
最初に訪れた『マザーポート』の事務所で、愛莉が聞かされたのは驚愕することばかり。
交縁少女AYA 第27話
新宿駅から五十嵐が住むアパートまでは、歩いて20分ほどだ。
駅を後にした綾と牧山は、黙々とアパートへと歩を進めている。
牧山によれば、保護していた児童が里親に引き取られる際には、何をさて置いても五十嵐は立ち会っていた。
それが当日になって、全く連絡が取れないとは…
二人は明治通りを横断して、東京医大通りに入る。
綾も牧山も顔を強張らせていて、一心不乱に前へ歩いている。
――一体、何が…
行
交縁少女AYA 第26話
佐野美幸は、静岡県に住んでいた。
小学2年生の時に母親が失踪して、父親の男手ひとつで育てられていた。
しかし父親は、あろうことか美幸に、性的虐待を繰り返していた。
ところが美幸は、虐待を父親の愛情表現だと信じ込んでいた。
裸体を隅々まで撫でられ、時には性器をいじられたりもしたが…
――美幸が可愛いから、お父さんはナデナデするんだよ…
そうやって違和感を覚えないように、父親が信じ込ませていたのだ
交縁少女AYA 第25話
キーンコーンカーンコーン…――
チャイムが鳴り、一日の授業が終わった。
脱兎のごとく、北澤高校の女生徒たちがビルのエレベーターに殺到する。
部活動をする一握りの生徒を除いて、皆が帰宅してしまうのだ。
――いや…、何処にも寄らずに自宅に帰る生徒は、皆無なのだが…
高校が入る高層ビルの外に出た綾と愛莉は、外の真冬の寒さに、思わず身震いしている。
「――そういゃあサァ…」
綾から話し掛けられた愛莉が
交縁少女AYA 第24話
「――ハァぁ~…」
一日の仕事を終えた五十嵐が、ため息をつきながら足取り重く家路についている。
今日は成人の日の翌日、3連休明けの火曜日だ。
当の五十嵐は仕事だったので、連休は関係ないのだが…
『マザーポート』の仕事は、多忙を極める。
保護した少年少女たちの自立支援、警察や関係機関との折衝、家庭環境調整に保護施設と里親間の調整斡旋、合間を見ては街に出て少年少女たちに声を掛ける等々――
国や自
交縁少女AYA 第23話
年が明けようとしている頃合いで、新宿区東大久保公園先の路地裏にあるアパートの、五十嵐の部屋では…
「ハッピーニューイヤー!」
テレビでアナウンサーが新年を告げると、ちゃぶ台を囲んで座る綾と五十嵐、藤村の三人が、ジュース缶を威勢よく合わせている。
「…ジュースで乾杯かぁ~」
ゴクゴク飲んでいる五十嵐と藤村の前で、ジュース缶片手に不満顔でいる綾。
「おまえに酒飲ますわけには、いかんからな」
「そ
交縁少女AYA 第22話
年の瀬迫る、大晦日のたそがれ時…
街なか家なかを問わず、世間は年越しの雰囲気だ。
埼玉県戸田市にある『マザーポート』の自立支援ハウスでは、来訪して年越し蕎麦を食べ終えた少年少女たちが、三々五々家路についている。
ガヤガヤと賑やかだった1階の大部屋はガランとしてしまい、テレビの音声だけが寂しげに流れている。
そのテレビの前の大テーブルに、綾と五十嵐が少し離れて、横並びで座っている…
ハウスで寝
交縁少女AYA 第21話
年の瀬迫る大晦日…
綾はNPO法人『マザーポート』の戸田市にある、適応支援ハウスに来ていた。
ここで綾は、泊まり込みで『マザーポート』の仕事を手伝っている。
世間の学校が冬休みになると、ハウスに通う少年少女たちが増えて忙しくなり、人手不足になる。
ハウス内の掃除や、少年少女たちへの食事の調理手伝いが主な仕事だが、そこは引きこもりだったせいで家事に手慣れている綾である。
丁寧かつ綺麗に掃除して、