熊谷 雅弘

建設会社で、現役サラリーマンしています。 趣味で書いた小説を、多くの方々に読んで頂ける…

熊谷 雅弘

建設会社で、現役サラリーマンしています。 趣味で書いた小説を、多くの方々に読んで頂けるとは、noteって素晴らしい!と思う今日この頃です。 仕事の合間に執筆していますので、投稿は不定期になりがちなのは、どうかご容赦を(汗) どうぞ、よろしくお願いします。

最近の記事

アオハル♂ストライカー 第6話

☆選考対象外ですが、ぜひ読んでみて下さい! 鷲ヶ峰サッカー部員たちが、猛練習に明け暮れた週の土曜日。 全国高校サッカー選手権大会の神奈川県2次予選2回戦の試合が、県内各地で行われた。 県立鷲ヶ峰高校サッカー部は、県立いずみ野高校に6-0と勝利した。 この試合では、悠真が2点、泰斗に貴芳、颯一と歩夢も1点ずつを挙げた。 危うい場面もあったものの涼太が万全のセービングで、相手チームを零封する快勝だった。 次の試合まで1ヶ月ほど間が空くが、相手は私立港南学院上大岡高校。 サッ

    • アオハル♂ストライカー 第5話

      ☆選考対象外ですが、ぜひ読んでみて下さい! ずぶ濡れで、自宅アパートに帰った泰斗。 シャワーを浴びてトレーナーに着替えていると、スマホからLINEの着信音が鳴る。 遅くなるので夕飯は弁当を買うように、との母親からのトークだ。 玄関扉を開けると、小降りにはなったが、まだ雨が降っている。 泰斗は傘を差して、アルバイト先のコンビニ店へ歩いて向かう。 コンビニ入口の軒下に着いて、泰斗が傘をたたもうとしている。 すると、入口の自動扉が開いて、中から出て来た高校の制服姿の優梨恵と鉢

      • アオハル♂ストライカー 第4話

        ☆選考対象外ですが、ぜひ読んでみて下さい! 「――あれ?…」 背後に気配を感じた陽菜が振り向くと、生徒会副会長の坂井明日香が立っている。 生徒会活動を終えた制服姿の明日香が下校しようとしていたら、泰斗が放ったドライブシュートの派手な音に足を止めていたのだ。 「坂井ぃ、帰るの?」 陽菜は1年生の時に明日香と同じクラスだったので、わりと親しい。 「相変わらず、スゴいシュート撃ってるネ」 陽射しを避けて、額に右手をあてている明日香。 「…塚本、どうしたの?」 グランドで走る泰

        • 交縁少女AYA 最終話

          『獣』から首を絞められ、朦朧とする意識の中で、綾の視界に浮かんできた葉月の顔… ≪――早かったジャン、こっち来ンの…≫ ――…こっち? 葉月のセリフに、戸惑いまくっている綾。 ≪そっかぁ…、アヤもようやく楽になれるンだネ≫ ――はあぁ?…どういうコトよ? ≪だってサァ、いまのアヤは、とっても辛いンでしょ?≫ ――それは…、そうだケド… ≪生きてンのってサァ、ふざけんなっつーぐれぇ、クソ辛ぇジャン≫ ――そうだネ…、ホント、そうだ… ≪五体満足でフツーに生きてたらサァ

        アオハル♂ストライカー 第6話

          アオハル♂ストライカー 第3話

          高校の夏休みが終わって、9月の始業日の朝となった。 泰斗はサッカーの練習用ユニフォームを着て、スポーツバックを左手に持ち、右手でアパートの隣室の扉をノックする。 すると高校の制服姿の宮内萌が、扉を開けて出て来た。 「泰斗くん、おはよう」 「おはよう」 自分の通学カバンを背負った萌は、泰斗のスポーツバックを受け取り、玄関前に停めてある自分の自転車前籠に入れる。 「いいよ」 萌が言うと、 「ヨロシク!」 泰斗が走り出す。 自転車に跨った萌が、泰斗の後を追う。 泰斗はトレーニン

          アオハル♂ストライカー 第3話

          アオハル♂ストライカー 第2話

          「いいジャンかよ、別にぃ。いい想いしたンだからよぉ」 悠真に言われるが、 「悠真みてえな奴には、分かンねえよなぁ。俺のピュアな気持ちが」 仏頂面で毒づいている貴芳である。 次の日は、県立鷲ヶ峰高校サッカー部の練習日だ。 泰斗はチームメイトの悠真と貴芳の三人横並びで、夏休み炎天下の高校グランドでランニングをしている。 練習用ユニフォームは汗まみれで、三人の顔面を汗が滴り落ちている… 「何だよ、俺が不純みてえな言い方しやがって」 むくれている悠真。 「大体よ、女子に抱き着かれ

          アオハル♂ストライカー 第2話

          アオハル♂ストライカー 第1話

          あらすじ泰斗はサッカーに青春を賭ける…とはいえ、女子との恋愛に興味バリバリの高校2年生男子。 小学生の時に、サッカーの試合で一度だけ対戦した優梨恵と、6年ぶりに海で出会います。 ところが泰斗は、優梨恵のことを思い出せません。 それほど優梨恵は、可愛く成長していたのです。 家に帰ってようやく思い出しますが、すでに泰斗はアパートの隣人、同学年の女子高生、萌に夢中。 バイト先のコンビニで優梨恵と再会しても、泰斗は友人として接するだけ。 実は泰斗は友人たちと中学時代に、全国大会に

          アオハル♂ストライカー 第1話

          交縁少女AYA 第29話

          報告のため一旦集合した愛莉たちが、再び綾を探しに夜の新宿の街へと散って行く。 粘り強く、隅々まで歩き廻るしかない… 五十嵐と藤村も、雑踏の中へと踏み出して行くが―― ――…えっ?! 腕を組み合ったカップルとすれ違いざま、五十嵐の感覚に電流が走る。 ――背丈と髪型が、酷似している… 「――すみません…」 素早くカップルの前に入り込んだ五十嵐の顔に、失望の色が拡がる。 ――違う… 中年男性と腕を組んだ少女は、何だコイツ?という具合に五十嵐を睨んでいる。 一方の男性は眼

          交縁少女AYA 第29話

          交縁少女AYA 第28話

          忽然と、綾が姿を消した。 戸田の支援ハウスにはいないし、高校にも登校して来ない。 自宅マンションにはもちろん、広島の父親の所にもいない。 電話に出ないのはおろか、LINEにも既読が付かない。 まるで関わる人たち全ての視界から、逃れるかのように… この状況に、最初に動いたのは愛莉だ。 ――ゼッタイ変だ、これは… 最初に訪れた『マザーポート』の事務所で、愛莉が聞かされたのは驚愕することばかり。 新宿中央警察署で少年課係長の藤村の元に押しかけると、さらに驚愕することばかりと

          交縁少女AYA 第28話

          交縁少女AYA 第27話

          新宿駅から五十嵐が住むアパートまでは、歩いて20分ほどだ。 駅を後にした綾と牧山は、黙々とアパートへと歩を進めている。 牧山によれば、保護していた児童が里親に引き取られる際には、何をさて置いても五十嵐は立ち会っていた。 それが当日になって、全く連絡が取れないとは… 二人は明治通りを横断して、東京医大通りに入る。 綾も牧山も顔を強張らせていて、一心不乱に前へ歩いている。 ――一体、何が… 行く手に、コンビニエンスストアが見えてきた。 その先の路地が、アパートへの道なのだ

          交縁少女AYA 第27話

          交縁少女AYA 第26話

          佐野美幸は、静岡県に住んでいた。 小学2年生の時に母親が失踪して、父親の男手ひとつで育てられていた。 しかし父親は、あろうことか美幸に、性的虐待を繰り返していた。 ところが美幸は、虐待を父親の愛情表現だと信じ込んでいた。 裸体を隅々まで撫でられ、時には性器をいじられたりもしたが… ――美幸が可愛いから、お父さんはナデナデするんだよ… そうやって違和感を覚えないように、父親が信じ込ませていたのだ。 だが成長するにつれ美幸は、次第に違和感を覚え始める。 女の子の友達は、皆が

          交縁少女AYA 第26話

          交縁少女AYA 第25話

          キーンコーンカーンコーン…―― チャイムが鳴り、一日の授業が終わった。 脱兎のごとく、北澤高校の女生徒たちがビルのエレベーターに殺到する。 部活動をする一握りの生徒を除いて、皆が帰宅してしまうのだ。 ――いや…、何処にも寄らずに自宅に帰る生徒は、皆無なのだが… 高校が入る高層ビルの外に出た綾と愛莉は、外の真冬の寒さに、思わず身震いしている。 「――そういゃあサァ…」 綾から話し掛けられた愛莉が、ん?という具合に視線を向ける。 「陽太のコトは、どうなったン?」 遂に来たか

          交縁少女AYA 第25話

          交縁少女AYA 第24話

          「――ハァぁ~…」 一日の仕事を終えた五十嵐が、ため息をつきながら足取り重く家路についている。 今日は成人の日の翌日、3連休明けの火曜日だ。 当の五十嵐は仕事だったので、連休は関係ないのだが… 『マザーポート』の仕事は、多忙を極める。 保護した少年少女たちの自立支援、警察や関係機関との折衝、家庭環境調整に保護施設と里親間の調整斡旋、合間を見ては街に出て少年少女たちに声を掛ける等々―― 国や自治体、宗教法人からの財政支援はあるが、五十嵐をはじめスタッフたちの気概に頼る所が

          交縁少女AYA 第24話

          交縁少女AYA 第23話

          年が明けようとしている頃合いで、新宿区東大久保公園先の路地裏にあるアパートの、五十嵐の部屋では… 「ハッピーニューイヤー!」 テレビでアナウンサーが新年を告げると、ちゃぶ台を囲んで座る綾と五十嵐、藤村の三人が、ジュース缶を威勢よく合わせている。 「…ジュースで乾杯かぁ~」 ゴクゴク飲んでいる五十嵐と藤村の前で、ジュース缶片手に不満顔でいる綾。 「おまえに酒飲ますわけには、いかんからな」 「そうそう、未成年もいいトコなんだから」 二人が口を揃えて、綾に言い放っている。

          交縁少女AYA 第23話

          交縁少女AYA 第22話

          年の瀬迫る、大晦日のたそがれ時… 街なか家なかを問わず、世間は年越しの雰囲気だ。 埼玉県戸田市にある『マザーポート』の自立支援ハウスでは、来訪して年越し蕎麦を食べ終えた少年少女たちが、三々五々家路についている。 ガヤガヤと賑やかだった1階の大部屋はガランとしてしまい、テレビの音声だけが寂しげに流れている。 そのテレビの前の大テーブルに、綾と五十嵐が少し離れて、横並びで座っている… ハウスで寝泊まりしている心愛たち四人の少年少女たちは、早々と2階のベットルームにこもってし

          交縁少女AYA 第22話

          交縁少女AYA 第21話

          年の瀬迫る大晦日… 綾はNPO法人『マザーポート』の戸田市にある、適応支援ハウスに来ていた。 ここで綾は、泊まり込みで『マザーポート』の仕事を手伝っている。 世間の学校が冬休みになると、ハウスに通う少年少女たちが増えて忙しくなり、人手不足になる。 ハウス内の掃除や、少年少女たちへの食事の調理手伝いが主な仕事だが、そこは引きこもりだったせいで家事に手慣れている綾である。 丁寧かつ綺麗に掃除して、さらに料理の出来栄えには、五十嵐が舌を巻いたほどだ。 綾がここで手伝うようになっ

          交縁少女AYA 第21話