威厳は心の底光り
堂々として厳かなことを「威厳」というが、内部から発する底知れぬ雰囲気であるだけに、その人となりが推し量られるものである。
「新刀のあだ光り」という言葉があるように、今どき出来た粗雑な刀が、厳選された玉鋼で熟練した刀匠が精魂を込めて鍛え上げた「古刀の底光り」には到底及びもつかないように、人の輝きもまた同様である。いかに外見を整えたところで、凛とした内部からの輝きは伝わってこないのである。
人が全身全霊を傾けて物事に取り組んでいる姿や、従容とした振る舞い、何時如何なる相手に対しても慇懃な態度で対応する姿にも、思慮深い冷静な行動にも、奥歯を噛み締めて眼光炯々として人を圧する面構えにも威厳を覚える。
「畢竟は気をぬかさず、正念なる所が基にて候」と締め括っているように、日頃何事にも顰蹙を買うことの無いように真剣に対処していく気構えの積み重ねが、侵し難い雰囲気を醸し出すのである。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?